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「その友達とは縁を切ろうと強く思った」練習名目で友達呼び出し勧誘...学生モバイルプランナーの実態 弁護士「業者が仕向けているなら問題」

2022年06月15日(水)放送

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 大学生の間で使われる言葉「ガクチカ」。“学生時代に力を入れたこと”の略語で主に就活生たちの間で使われている。しかし、新型コロナウイルスの流行で対面授業やサークル活動に制限がかかりコミュニケーションを磨く場を失ったことで、ガクチカに不安を抱く学生が多いという。そんな中で“就活に役立つなら…”という大学生の気持ちを利用して、携帯電話の契約を取り次ぐ『モバイルプランナー』という仕事に引き込もうとする企業が存在している。大学側も注意を促すモバイルプランナーの実態に迫った。

大学が注意喚起…『モバイルプランナー』とは?

 今年4月、立命館大学では入学したばかりの学生らに対して注意喚起を行っていた。

 (学生らに話す立命館大学・学生部の担当者)
 「友達商法と呼ばれる『モバイルプランナー』などがあります。聞いたことがあるよという人は?…ちょっとおられますね。結構今流行っています。残念ながら流行ってしまっています」

 大学生の中で流行っている『モバイルプランナー』とは一体何なのか。大学生たちに話を聞いた。

 (大学1年生)
 「(Qモバイルプランナーってご存じですか?)ご存じです。“携帯電話が安く買える”みたいなやつですよね。友達の友達の先輩がそういうことをしていて」
 (大学2年生)
 「『機種変できます』みたいな。マルチっぽいことやってるな…と」
 (大学4年生)
 「もうちょっと冷静に“ガクチカ”ってなんだろうって考えるきっかけになればいいかなと思います」

 「ガクチカ」は“学生時代に力を入れたこと”の略。取材によると、モバイルプランナーとは携帯電話を安く販売する人のことで、大学生自身がプランナーになり、SNSなどを通じて友人らに契約させているというのだ。

LINEで友人らに「営業の練習相手になって」と連絡

 取材班は『1か月間モバイルプランナーをやっていた』という学生に話を聞くことができた。

 (元モバイルプランナーのAさん)
 「長期インターンの募集をしているサイトがいろいろあると思うんですけど、時給1200円以上みたいに書かれていて。自分の経験も積めるしお金ももらえるんだったら全然やるべきだろうなと思ってやったんですけど」
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 Aさんが申し込んだという業者Xの求人サイト。そこにはこんな言葉が踊っていた。

 【業者Xの求人サイトに書かれていた内容】
 『就活で無双しまくれ!』
 『就職実績日本一』
 『このインターンを経験しておけば心配はいりません』

 求人サイトには、インターン生として給料をもらいながら営業スキルを学ぶことができて、就職にも有利になるなどと記載されていた。しかし…。
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 (元モバイルプランナーのAさん)
 「『実は歩合制なんだよね、出来高制なんだよね』と言われて。『自分で顧客を獲得しないといけないので気合入れてやれよ』みたいに言われました。(Qノルマは何人?)1日に20人とかそれくらい。LINEの友達欄から電話をかけて『(営業の)練習相手になってくれないか』とか」

 Aさんは、LINEで友人らに“営業の練習”などと言って呼び出し、携帯電話の契約話を持ちかけていたという。

 (元モバイルプランナーのAさん)
 「人を巻き込んでいるような感じがして、快く来てくれた友達もいるんですけど、やっぱり怪しい怪しいと言う人もいたので、すごく申し訳ない気持ちがありました」

 Aさんはその後、良心の呵責に苛まれて、手を引いたという。

断っても執ように勧誘され「その友達とは縁を切ろうと強く思った」

 一方で業者Xのモバイルプランナーになった友人から執ような勧誘を受けたと訴える学生もいる。

 (モバイルプランナーに勧誘されたBさん)
 「あの黒い建物です。大手キャリアの携帯会社で営業のインターンをしていると。『営業の練習に付き合ってほしい』ということで、友達のためならっていう感じで行きました」

 大学のサークル仲間から「携帯電話の営業の練習に付き合ってほしい」と言われたという。
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 LINEではこんなやりとりをしていた。

 【LINEでのやりとり】
 (Bさん)「契約をせがまれたりするんやったら、契約するつもりはないんやけど」
  (友人)「無理に契約はしないで笑」
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 (モバイルプランナーに勧誘されたBさん)
 「今まで仲良くしゃべっていた友達が、いきなりスーツを着て改まった様子で。マニュアルがあるかのような話し方をしてきたので、ちょっと気味が悪いなと思いました」
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 雑居ビルの一室を訪れたBさん。そこに座っていたのはスーツ姿の友人だった。そしてこんな話をしてきたという。

 (モバイルプランナーに勧誘されたBさん)
 「久しぶりという話をして。さっそく営業の練習が始まるのかなと思いきや、いきなり『ここでスマホを安く契約できる』っていう話をされました」

 「契約するつもりはない」と何度も断ったというBさん。
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 (モバイルプランナーに勧誘されたBさん)
 「『スマホを契約して新たに自分の友達にもスマホの契約をさせたら毎月自分にも報酬が入ってくる』と。ずっと断っていたので、友達が『ちょっと先輩を呼んでくる』と言い出して」

 モバイルプランナーになった友人が先輩を呼んでくると言って席を外した瞬間、部屋から逃げ出し、難を逃れたという。

 (モバイルプランナーに勧誘されたBさん)
 「怖かったですね。その友達とはもう縁を切ろうってその時強く思いました」

「リスクを理解しないまま学生が活動してしまっている」

 大学生を中心に広がるモバイルプランナーによる被害。取材班は今回、関東と関西の大学48校にアンケート調査を実施した。
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 20校から回答があり、うち5校の大学が『モバイルプランナーについて学生から相談があった』と回答した。「断ってもしつこく勧誘されたケース有り」、「学生が貴重な時間を長期・長時間奪われていることは教育・研究機関として看過できない」などと記されている。
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 回答を寄せた大学の中で、学生からの相談数が最も多かった立命館大学は…。

 (立命館大学・学生部の担当者)
 「モバイルプランナーの活動をすることでのリスクやデメリットが事前に周知されていない。理解しないまま学生が活動してしまっているというところが、大学としては注意喚起をすべきだと一番思っているところです」

実際のモバイルプランナーに接触

 では一体モバイルプランナーの勧誘とはどういうものなのか?取材班は情報提供者から紹介してもらい、身分を伏せた上で接触してみることにした。モバイルプランナーから待ち合わせ場所に指定されたのは大阪市内のビルの一室だった。

 (モバイルプランナーのS氏)
 「僕たちはインターンという形で働かせてもらっていまして」
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 業者Xのインターン生で20歳の大学生。すぐに携帯電話の契約話を持ちかけてきた。

 (S氏)「お使いの携帯会社は○○ですよね?頭金とかで手数料がなく広告費がかかっていないので、お客様から取る料金が低くて、その分サービスに充てますよということです。僕たちの会社が4年連続日本1位なんですよ、売り上げ台数が」
 (記者)「4年連続?」
 (S氏)「そうですそうです」

 次々と営業トークを繰り出すS氏。
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 (S氏)「ディズニーペアチケット、エアポッズの第3世代、急速充電器、ガラスフィルム、Amazonギフト券1000円分とかがもらえるもの(キャンペーン)に応募できるんですよ今なら」
 (記者)「早急に変えたいと思っていないんですけど」
 (S氏)「もし(iPhone)12がよければ売り切れるので僕が取りに行けるんですけど。例えばお持ち物が揃っていれば今日すぐに持って帰ってもらえますよ」
 (記者)「いや、そもそも、今日…」
 (S氏)「僕がお腹痛くてトイレに行ってくるので、その間だけ別の担当員に入ってもらってもいいですか」
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 何度断っても会話はかみ合わず、途中で別のインターン生が席について再び勧誘してくるなど、結局2時間以上続いた。

弁護士「電気通信事業法の禁止行為に該当する可能性がある」

 こうした執ような勧誘は違法ではないのか?消費者問題に詳しい弁護士に話を聞いた。

 (佐野翔平弁護士)
 「『契約締結をしない』という意思をはっきり出したのに契約の勧誘を続ける行為というのは、電気通信事業法の禁止行為に該当する可能性があります。学生に対して、自分の交友関係を積極的に利用するようにもし業者が仕向けているのであれば、それ自体が非常に問題だと思いますね」

 執ように契約を求める行為は違法性が高いと指摘した。

モバイルプランナーのS氏「ちゃんとした企業に勤めるまではやります」

 モバイルプランナーはこうした状況を把握しているのか?取材班はS氏を直撃した。

 (記者)「実は私、毎日放送の記者なんです。僕がけっこう断っていたのって気付きましたか?」
 (S氏)「はいはいはい」
 (記者)「会社からあのように教わっているんですか?」
 (S氏)「大体の流れは最初の新人の間に学ぶ感じですね」
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 (記者)「何回か断っているお客さんに対して粘り強くいけと?」
 (S氏)「粘り強く…方針というわけではないんですけど。モバイルプランナーというよりかはコンサルタントっていう名目でやっているので。僕はちゃんとした企業に勤めるまではやりますね」
 (記者)「再勧誘し続けると法に抵触する可能性がありますが?」
 (S氏)「知らないです」

 S氏は「コロナ禍での就活対策としてやっている」と話した。
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 S氏を働かせていた業者Xにも取材を申し込んだが「取材には応じられない」と回答した。

 取材班は今回の実態について、所管する総務省に通報した。取材した大学の多くも「警戒を強めていく」としている。

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