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特命取材班 スクープ

大阪で深夜徘徊をする少年少女に『家に帰らない理由』を聞いてみた SNSにも深夜に書かれる「助けて」のSOS

2021年09月15日(水)放送

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深夜徘徊をする少年少女たち。コロナ禍で外に出る機会が減ったにもかかわらず、今年も深夜徘徊が絡んだ事件が相次いで起きている。警察庁によると、去年1年間でSNSをきっかけに犯罪にあった18歳未満の子どもは1819人で、過去5年で5%増加している。コロナ禍で自宅で過ごす時間が増え、SNSへの依存度が高まっていることが、トラブル多発の背景にあるともみられている。危険と隣り合わせの少年少女たちの実態に迫る。

6歳女の子が死亡 逮捕された17歳の兄

2021年8月1日、滋賀県大津市内の公園で6歳の女児が倒れているのが見つかり、その後、死亡した。当初は事故だと思われたが、女児の体に複数の皮下出血があり、警察は3日後、女児と同居する17歳の兄を傷害致死容疑で逮捕した。

(逮捕された兄)
『妹の世話がつらかった』

兄の供述などによると妹への暴行は7月22日に始まったとみられている。その前日の深夜、2人は自宅近くのコンビニにいた。妹は店の客に「1000円ください」と話したという。この直後に2人は警察官に保護された。関係者によると、一緒に暮らしていた母親はほとんど家にはおらず、育児放棄(ネグレクト)だった疑いが持たれている。届かなかった2人のSOS。

SNS上で助けを求める若者たち

大津市内にあるNPO「こどもソーシャルワークセンター」では、今年8月24日の午後11時すぎ、理事長の幸重忠考さんとスタッフらがスマートフォンの画面などを注視していた。そこに書き込まれた内容は…。
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(相談員Bさん)「毒親で、親は『でてけ』『死ね』『産んでやった』が口癖でした、と」
(記者)「(書き込みは)今届いたのですか?」
(相談員Bさん)「午後11時9分なので15分前ですね」

SNSやチャットには子どもたちからのSOSが次々と投稿されていて、同居する親からドアを壊されたとみられる画像も添付されていた。このNPOでは相談に乗るなどの支援活動を行っている。
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午前1時半には、高校生がSNS上で『名古屋市内の駅にいる』と書き込んでいるSOSを見つけた。

  (幸重理事長)「返事あるかな」
(相談員Aさん)「家出少年やん」
(相談員Bさん)「高2やで、後輩やで」
  (幸重理事長)「名古屋の真ん中の方に今いて『誰か助けてください』って言ってるけど」
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(こどもソーシャルワークセンター 幸重忠孝理事長)
「名古屋は僕らではどうにもならないので。でもたまたま知り合いの子が活動している団体があるから、“こういう団体があるよ”という紹介のメッセージを送ったところです」

相談員たちも虐待やいじめの経験者

やりとりをする相談員たちは過去に虐待やいじめなどを経験していて、経験者だからこそ通じ合えるものがあるという。
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(家出を経験した相談員Aさん)
「大体切羽詰まってるから、『頑張れ』とかはあんまり言わないようにしている。私が大人から言われて嫌だったこととか、『話し合いが足りひんのちゃう?』とか。私は精一杯頑張って伝えた、でも伝えても家を追い出された」
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25歳の相談員Bさんは、小学生の時に父を亡くし、きょうだい4人の母子家庭で育った。今年8月に起きた大津事件は他人事とは思えないという。
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(元ヤングケアラーの相談員Bさん)
「僕も母親から1000円渡されて、それできょうだい4人全員で近くにコンビニがあるから、そこでご飯を済ませてって感じで。妹が絶対におもちゃが欲しいのでぐずるんですよ。300円400円ぐらいする小さいおもちゃを絶対に買うことになっているんですよ。残りの500円600円ぐらいで、カップラーメンとか食べたりしなきゃいけない」

時には妹に手をあげることもあったという。

(元ヤングケアラーの相談員Bさん)
「けんかしたら(妹に)手は僕も出していたんですよ。兄がいたのでけんかをするときに殴られる時の痛みはだいたいわかるんです。ある程度、手加減して殴るんですけれども…」

大津事件の背景には、兄と妹2人の孤立があるのではないかと考えている。Bさんらは週に数回、午後11時~翌朝6時まで若者たちの声に耳を傾けている。

薬物取引の可能性も…犯罪抑止にもつながる夜の見回り活動

夏の夜、少年少女たちはなぜ街へと繰り出すのか?

8月27日午後9時ごろ、大阪・天王寺界隈でボランティア団体「ガーディアンエンジェルス」が見回り活動を行っていた。そのひとりの松岡さんが高校生に声をかけていた。
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(松岡さん)「こんばんは。防犯パトロールしています。もうすぐ9時になるけど、防犯ブザーとかは持ってる?」
(高校生)「持ってない」
(松岡さん)「持ってない…。9時になるので早めに帰ってください。気をつけて」
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さらに続いて松岡さんらは路上の自動販売機の周辺なども入念に見回りをしていた。その理由は?

(ガーディアンエンジェルス 松岡さん)
「通常は見ないんですけれど、薬物とかの取り引きというところで。売人って通常は薬物を持ち歩かないので、そういうところに一旦置いていたりするので、それを確認しています」
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午後9時すぎ、天王寺駅前の広場に集まる若者たち。松岡さんは声をかける。

(松岡さん)「いま何歳?」
 (高校生)「16歳です」
(松岡さん)「普通に食べてやってるだけだよね?お酒とか飲んだりは?」
 (高校生)「(首を横にふる)」
(松岡さん)「気を付けて」

繁華街周辺ではこうした見回り活動が犯罪の抑止にもなっている。

危険を感じながらも帰らない

しかし郊外ではどうなのか?

取材班が午後11時すぎに、大阪・堺市内の公園を訪れてみると、16歳と15歳の高校生たちがいた。
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     (記者)「きょうは今ここで何をされていたんですか?」
(16歳の高校生)「スケボーをしてました」
     (記者)「午後11時はもう結構遅いと思うんですけれども?」
(16歳の高校生)「特に何もないです。親に何も言われないからそっちの方が楽」

大阪府では18歳未満の午後11時以降の外出は条例で禁止されているが、深夜に徘徊しても親からは何も言われないという。
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     (記者)「補導されたりとかはいままでありませんでしたか?」
(16歳の高校生)「何回もありました」
(15歳の高校生)「自分さっきされたんですけど」
     (記者)「え、さっき?」
(15歳の高校生)「30分くらい前です」
(15歳の高校生)「名前とか住所とか聞かれてそれで終わりです」
     (記者)「怖い思いしたことはいままでありましたか?」
(15歳の高校生)「ホームレスに斧持って追いかけられました。いや、恐怖です」

高校生らは「もうすぐ帰る」と話した。
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さらに午前0時すぎ。堺市の別の公園にいた18歳だという少年たちは…。

(18歳の高校生)「普通に遊んでましたね。しゃべってました。僕は家に帰っても別に面白いことないので、外にいた方が面白いじゃないですか。友達もおるし」

親について聞くと…。

(18歳の高校生)「たまに思いますね僕は。帰った方がいいんかなと思って。お母さんに怒られるんで」
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少年のスマートフォンには、母から午後10時半ごろに着信があり、午後11時半すぎには早く帰るようにとメッセージが入っていた。

寝屋川の事件は知っているけれども「まあ大丈夫かな」

深夜徘徊する少年少女たち。2015年には大阪・寝屋川市で当時中学2年だった男女2人が男に連れ去られて殺害される事件も起きている。

8月29日午前2時すぎ、この寝屋川市を取材班が訪れてみた。すると、バイクでどこからか移動してきた少年たちがいたので話を聞いた。
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(16歳の高校生)「警察がいたから場所変えただけです」
     (記者)「なぜ警察がいたんですか?」
(16歳の高校生)「わからないですけれどもいたので、とりあえず逃げてきました。警察嫌いなんで」
     (記者)「6年前に事件があったのですが知っていますか?」
(16歳の高校生)「知っています。気を付けるという意識はちょっとありますけれども、まあ大丈夫かなみたいな」

危険を感じながらも深夜に徘徊する少年少女や、ネット上に書き込まれるSOS。家庭によって様々な事情がある中でも、子どもたちへ行き届く支援が求められている。

(9月15日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」内『特命取材班スクープ』より)

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