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石破前総理「緊張状態MAXから戻れた」生出演で語ったコメ政策や日米関係 「アメリカはああ見えて非常に冷徹。イエスと言うことが素晴らしい同盟関係とは思っていない」【全文まとめ】

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総理大臣の職を辞して約2週間。石破茂前総理大臣がMBS「よんチャンTV」に生出演。議員会館の背景には万博公式キャラクター「ミャクミャク」がいる中で、万博の思い出、今の心境やコメ政策、日米関係の今後等について大いに語った。

「何やっても叱られるのが総理大臣という仕事」

――今の石破さんの心境。率直にはどんな気持ちなんでしょうか。

石破茂前総理 :それはどっちもありますよ。やっぱりやめた次の朝、日本国を背負ってないというのは、本当に肩の荷が下りたというか、緊張状態MAXからそうじゃない状態に戻れたっていうのは、正直言ってほっとしたところあります。だけど、やりたいことは相当やったつもりだけども、やり残したことなんてのは山ほどありますからね。議員を辞めるわけでもないんで、それをやっぱりやっていかなきゃいかんですよね。

――ラーメンもカレーも好きなだけ食べてますか。

石破茂前総理 :いや、だからさ土曜日の昼にラーメン食べに行ったら、なんでこう叩かれなきゃいけないのかよくわからんけども、何やっても叱られるのが総理大臣という仕事ですからね。好きなようにラーメンが食べられる、カレーが食べられる、好きなようにコンビニに行けるってこんなに幸せなんですね。

――人にいろいろ言われたことを気にしちゃうタイプですか?あまり気にせずガンガン前に進むタイプですか。

石破茂前総理 :やっぱり気にしちゃいますよね。こういうふうに受け取られるんだなっていうのは。世の中で言われてることの9割は悪口だからね、褒めてもらえるのが1割あるとめちゃくちゃ嬉しいんですけど、やっぱり批判9割で辛かったけど、やっぱり何を言えばこういう反応になるのかなっていうのを見るのも大事なことだった。

万博「やればできるんだ、っていう日本に変わる契機になるかも」

――我々は関西の放送局ですが、万博はものすごい盛り上がりでした、振り返って石破さんはどんな思いでいますか。

石破茂前総理 :始まる前はどうせ失敗するんだとか、赤字が出たらどうすんだとか、誰が負担するんだ、みたいな話ですごいしんどかったですよ。何が何でも成功させたいと思いました。経産省を中心として、本当に政府は総力を挙げましたね。大阪府・大阪市にも民間の方々にもすんごい協力もしてもらったし、3日前くらいに政府で万博に携わった人たちの「ご苦労さん会」をやったんです。若い人が多かったけど、みんな辛かったけど楽しかったって言ってましたね。すごい達成感はあってね、ひょっとしたら日本が、みんなが悪口を言ってつまらないことばかり考えている日本から、やっぱりやればできるんだっていう日本に変わる。そういう契機になるかもしれないなと思って嬉しかったです。

――万博っていうと、維新とか、吉村知事の功績で、政府の功績がちょっとマイナスにされてるような感じや、何か納得いかない点はありませんか。

初めて人間ではないもの(ミャクミャク)に感謝状を渡した
石破茂前総理 :いいじゃない、うまくいけば。私はそう思うんだね。本当にみんな一生懸命頑張りました。ミャクミャクも首相官邸の玄関にドーンと置いてね。最初は喋らなかったのよ。何とか喋れるようにするぜって、日本語喋るようになって、そのうち英語喋るようになって、フランス語喋れねーか、みたいなことになって。万博が終わってミャクミャクがいなくなると、こんなに寂しいのかって。最初私、ミャクミャク見たときになんだこりゃと思ったんだ、正直言って不思議な感じがしたんですけど、うちには娘2人いるんですけど「ミャクちゃんかわいいー」と言って、娘の子供にいたっては毎晩ミャクミャクを抱いて寝てるんですよ。やっぱりこれはみんなに愛されるキャラクターなんだって思いましたね。

万博の期間中は90か国の大統領とか首相と会談したんですけど、必ずミャクミャク置いといたんです。で、帰りがけに「これは、おたくの国に行く初のミャクミャクです」なんて渡したら、みんなめちゃくちゃ喜んでました。万博の成功はミャクミャクなくしてはあり得なかったんですね。だから感謝状を渡しました。キャラクターに感謝状なんか渡したことありませんので、これは法律的にできるんか、みたいなこともあって、初めて人間ではないものに対して感謝状を渡したりして、本当にミャクミャクとともに頑張った万博っていうイメージでした。

「給付金やめだ、と言われたときに私はえっ!と思った」

――石破内閣の物価高対策、次の高市政権ではどうなるのか。参議院選挙の公約になっていた給付金は見送るという形になりました。食料品の消費税ゼロについては、レジシステムの改修に時間がかかるというふうに述べられています。ガソリンの暫定税率は12月31日廃止で正式合意。現状の動きを石破さんはどのようにご覧になってますか。

石破茂前総理 :(高市早苗)総理がね、給付金やめだと言われたときに、私はえっ!と思ったんですよね。それは総理が言ってるように、消費税下げるといってもレジシステムとかそういうものを直すのに1年ぐらいかかるわけです。今物価高に苦しんでる人がいっぱいいるわけだから、消費税の減税よりも給付金だということを申し上げました。早くて、困っている方に重点的にってことで給付金ってことにしたんだけど、それやめますっていうことになると、じゃあどうするんだろうねっていうのがこれから多分、高市さんが打ち出すんだろうと思うんですけど。

給付金というと反対という人は多いんだけど、でも減税は聞こえはいいけど時間はかかる、そしてお金持ちほどたくさん消費するわけだから、絶対額で言えばお金持ちの方が利益を得るわけですよ。それはおかしいでしょうと。本当に困っている人に重点的に早くということで給付金を打ち出したんで、私はあの政策が間違ってたとは思ってないんだけども、選挙で自民党が負けたわけです。給付金出しますよって言って支持されなかった、それが民意であるということであれば、それに従うのも政治でしょう。

――レジシステムの改修に時間かかる、もちろんそうだと思うんですけれど増税するときは結構すんなりやるじゃないですか。これは何の違いなのか疑問に思います。

石破茂前総理 :実際に今まで消費税について税率を変えるっていうのをやってきました。すぐ上がるって言うけども、全てにシステムが行き渡るまではやっぱり時間かかるんですよ。ただ、上げるときはかなり早くから準備してましたからね。上げますってことを前提に、システムなんかもずっと前から準備をしていました。で、消費税下げるっていうことを決めてから、やっぱり準備する時間はかかるってことであって、消費税を上げる時はパッとできて、下げるときには時間かかるっていうのは、それは事実とは違います。

――石破さんが総理になるときに、期待がすごくあったと思うんですが、総理になられた後はそのトーンが少し落ちたといいますか、陰りを見せたのではないかという指摘もあります。

石破茂前総理 :去年総理になってね、すぐ解散総選挙やって負けたじゃないですか。自民党公明党で衆議院で過半数を割っちゃいましたよね。そうすると自民党の中の議論も大事だけれども、この政策は立憲民主党、この政策は国民民主党、この政策は維新の会、それぞれの政党と調整しないと法律案1本通らないわけですよ。自公で過半数持っていると早いわけだけど、過半数割っちゃうとそれぞれの政党さんと協議しなきゃいけない。そういうところに助けてもらえないと決まらないわけだから、本当に丁寧に丁寧に丁寧に説明するのはそれは時間もかかります。だからスピード感が落ちたっていうのは、やむを得ないことだったと、言い訳っぽく言えばそういうことです。

公明党が連立離脱「自公は一種のベストマッチングだった」

――今回大きな動きがあったのは、公明党の連立離脱、それから維新の連立入り。この2点についてはどういうふうに思われますか。

石破茂前総理 :実際協議に参加してないから本当のことはわかりません。わかんないからいい加減なことは言えないんだけどね。やっぱり公明党さんと連立組んで4半世紀じゃないですか。3年3か月は野党だった。いいときに一緒の人っていっぱいいるんだけど、つらいとき苦しいときに一緒にやってくれる人ってそんなにいないんですよ。野党のときに私は自民党の政調会長だった。公明党さんの政調会長は代表もやった石井さんだった。つらいとき苦しいときに支えてくれた公明党に対する恩義っていうのはすごくあったと思っています。自民党ってどっちかっていうと、自由主義経済に重きを置いているし、安全保障を強化することに重きを置いてるわけで、公明党さんは平和と福祉の党で、自民党がいろんな政策を打ち出すときにちょっと待ちなさいよっていうのは公明党だった。

公明党の皆さんが「わかったよ」って言ってくださるために、我々もずいぶん工夫したし、公明党さんと自民党ってのは一種ベストマッチングだったと思っているんです。単に選挙で協力してもらうっていうだけじゃなくてね。カラーが違う政党が一緒にやったってことの意義は、私は大きかったと思うし、それは今も変わらないです。

――維新の連立入りについては?

石破茂前総理 :維新の方向性って、自民党と似てるじゃないですか。維新がスタートしたときは、大阪の自民党の方々が母体になったわけでしょ。それから新しい方もずいぶん入ってこられたけれども、結局、基本が自民党的であるということなので、自民党の政策を、更にエンカレッジするっていうか、強化していくって役割を持ってる。それはそれでいいことだけども、党の性格が違うところが一緒にやるっていう妙味ていうか、持ち味っていうのかな。そのことの意義っていうのも私は忘れちゃいけなかったなと思っています。

――米政策。石破さんはどう思っているんでしょう。

石破茂前総理 :世界中に主要穀物ってあるじゃないですか。米と麦とトウモロコシ。世界中農地を増やして、農業生産も上げてるわけです。全世界がマーケットだからね。そうなっていくときに日本だけが、どんどん耕地面積は減る、農業者も減る。その根幹に米政策があったわけで、それは転換しなきゃいかんのでしょう。その需要を増やすっていうのは、海外向けを増やしていかなければなりません。そして主食が高ければいいって話にならないです。やっぱり主食は安い方がいいに決まってます。土地改良ってのは国民の税金を使って大規模化もやってるわけで、何のためにやってるかっていうと、消費者にリーズナブルな値段でお米を提供するためにやってるんでね。その利益は消費者が得なければなりません。

海外に輸出するために努力した、コストを下げるために努力した、そういう努力をした人には、何らかの補償的なもの、所得補償とは言わないけれど、どんどん米の値段が下がっていき、米つくるのやってられませんよっていうことを止めるための政策は、また別途打たなきゃいけないんです。耕作放棄地の面積がどんどん広がっていくのは、決していいことだと私は思っていないんです。需要をどれだけ広げていくか。どれだけコストを下げていくか、そういうことに向けてやっていかなきゃいけないんで、そのときだけの利益プラスマイナスだけ見て判断してはいかんのです。

――石破さんはやっぱり地方創生。過疎化少子化になり、なんぼ言うても若者が都会に出てくるんです。地方の将来をどう思われていますか。

石破茂前総理 :地方からどんどん都会に人が出ていくわけです。地方を維持することがもう不可能になりつつあるわけで、だけども特に東京はいつ首都直下型地震があるかわかりません、そういうときにいろんなものが集中している東京が本当にこのままで大丈夫ですかってことがあるわけです。東京をもっと安全にしていかなければならない。東京をもっと住みやすいまちにしていかなければいけないということと、地方が元気になっていくってことは両立する話なんです。

地方の農業漁業林業、中小企業サービス業、今まで東京にどんどん人が出ていくだけで、活かしきれてなかった地方の潜在力を最大限に引き出すってことはできるんです。今までやってこなかっただけの話。地方創生ということと、東京をもっとコンフォータブルで安全な街にする。それを両立させるのが国家じゃないですか。地方創生ってそのためにやってきたんでね。

だから、東京からいろんなものを取り上げて、地方にばら撒くなんてことを考えてはいません。東京も地方もどちらもメリットがないと政策の名に値しないんだよね。

日米関係の今後 石破前総理はどう見た

――外交に関して、石破政権ではトランプ関税が大きな大きなテーマになりました。赤沢大臣も何度もアメリカに足を運び、関税15%に収めました。続く高市政権では日米首脳会談が行われました。日米関係の今後にどんなことを期待、どんなことを懸念されていますでしょうか。

石破茂前総理 :同じ自民党中心の政権だから。がらっとかわるわけがないんです。赤沢大臣が一生懸命努力をしてきた関税対策で、日本はアメリカに世界最大の投資をして、世界最大の雇用を生み出してるわけだから、これがなくなっちゃったらどうにもなんないじゃないですか。アメリカに対しては関税よりも投資ですよということをずっと言ってきたし、トランプさんもそれを理解して15%に収まってるわけです。日米の協力によってより良い製品を世界中に売っていくっていうね。日米ともに利益をえる形でそれを目指していくことは、高市さんになっても変わるとは思ってないし、変わったとすればそれはいかんことだと思いますが、今見る限り、それは変わらないと思っている。

ただ、日本とアメリカは違う国なんで、安全保障において、本当に日本はいかなる役割を果たすのか、アメリカはいかなる役割を果たすのか。同盟国だけど一つの国じゃないんで、お互いが果たすべき役割っていうのはきちんと述べていかないと、国益にはならないです。

アメリカは非常に冷徹な国

石破茂前総理 :日本とアメリカは違う国で、国益も違うのであって、日本がいかなる役割を果たすかっていうのは本当にシビアに見ていかなきゃいけないことだと思っています。アメリカは、ああ見えて非常に冷徹な国なんで、そのことをよく『読んだ』上で、日本がアメリカにとって、なくてはならない国なんだということを示すために、日本が相当に努力をしていかなければいかんです。今だって自衛官が全然足りてないんだからこれでどうやってやれますか。食料自給率が38%で、ウクライナを見てもガザを見ても、最近の戦闘って長いんですよ。そうすると、日本の持続力っていうのかサステナビリティをどうやって確保しますか、っていうのを考えるのは日本の責任なんです。

アメリカの言う通りにやっていれば日本は大丈夫ですという考え方ではないのであって、さっきの関税の話でもアメリカはとにかく「貿易赤字を減らせ」って言ってきたわけで、「いやそれは違うでしょ、日本はどれだけアメリカに投資をするかが大事なんであって、それは関税だけじゃないでしょ」ってことを言えば、それをアメリカはそうかもしれないって思うわけですよ。だからアメリカの主張に全てイエスということが本当に素晴らしい同盟関係だと私は思っていない。そこは高市さんもアメリカの議会のスタッフもしてたわけだから、その辺は十分承知の上でこれから外交を展開すると思いますよ。

――2020年、今から5年前にMBSのスタジオにお越しいただいたことがあるんです。そのときに石破さんは私達の問いかけに「夢を諦めてはいけない。政治は感動を起こさなければならない」と話しました。今の石破さんが叶えようとしてる夢は何で、感動は何で起こしますか。

石破茂前総理 :それは日本のあり方っていうのをきちんと示すことじゃないですか。戦争が終わって80年の所感というのを出した。それは日本国の主権者である国民の皆さん方と一緒に、この国が20年先も50年先もやれますか、っていうことを示していく。それは素晴らしいワクワクドキドキするような話ばっかりじゃないけどこの国が生き残っていくために何をするのかっていうこと。国民は政治家を信じてないかもしれないけど、では政治家は国民を信じているんですか。国民を信じない政治家は、国民から信用されるなんて思っちゃいかんですよ。だから本当に真実を勇気をもって語るっていう。それが感動に繋がったらいいなと思っています。(22025年11月7日 MBS「よんチャンTV」)

2025年11月08日(土)現在の情報です

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