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【独自】息子が安倍元総理を銃撃...山上被告の母親が"自責の念"明かす「献金だけでなく家族での愛の問題」 一方で"より強まった"旧統一教会への信仰心

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 2022年7月8日、奈良市で参院選の応援演説を行っていた安倍晋三元総理を銃撃し、殺害したなどの罪に問われている山上徹也被告の裁判が10月28日に始まりました。 警察の取り調べに対し「母親が旧統一教会に献金して家庭がめちゃくちゃになった」と供述していた山上被告。 山上被告の母親は、事件後も旧統一教会への信仰を続けています。裁判を前にその母親がMBSの取材に応じ、胸中を語りました。

旧統一教会への「解散命令」めぐる審理続く 現役信者は「解散するんだって解散しないんだって、信仰には関係ない」

 (世界平和統一家庭連合 田中富広会長)「私たちは人間です。人間です」

 9月、大阪市内で行われた旧統一教会のデモ集会。

 (世界平和統一家庭連合 田中富広会長)「信教の自由、家庭の価値を守る。これは民主主義を守る“1丁目1番地”です」
【1本化】特集・山上の母が取材に応じる-000012534.jpg
 東京地裁が今年3月、教団に対して下した解散命令に抗議するもので、田中富広会長のほか約1600人の現役信者らが参加していました。

 (旧統一教会 信者)「守ってほしいし、私たちの意見を聞いてほしいし、認めてほしいし、応援してほしい」

 旧統一教会側は解散命令を不服として即時抗告。舞台を東京高裁に移し審理が続けられています。

 信者の多くは、今後もし解散が確定しても信仰自体には影響しないと話しました。

 (旧統一教会 信者)「法人がなくなったとしても信仰は続けるので、解散するんだって解散しないんだって、信仰には関係ないと思う」

山上被告「2世信者にとって良かったのか悪かったのか…」

 その旧統一教会への恨みを理由に凶行に及んだとされるのが、10月28日に初公判を迎えた山上徹也被告です。

 山上被告は、安倍晋三元総理が旧統一教会の関連団体に寄せたビデオメッセージを見て殺害を決意したといいます。

 (山上徹也被告)「安倍元総理と教団(旧統一教会)につながりがあると思い、狙った」

 2023年2月から大阪拘置所にいる山上被告への面会者は、4人の担当弁護士と一部の親族などに限られています。裁判を前にMBSも複数回にわたって接見を試みましたが、いずれも拒否されました。

 弁護士によると、手紙のほか衣類や食料品・現金・本などの差し入れが、今も絶えず届いているということです。山上被告は手紙や差し入れについて感謝の言葉を述べつつ、「直接返事もできず申し訳なく思う」などと話していたといいます。

 事件後の旧統一教会をめぐる動きについては…

 (山上被告)「現在の状況を引き起こすとは、思っていなかった。事件を起こしたことが2世信者の人にとって良かったのか、悪かったのか、分からない。新聞などを読んでいて、旧統一教会問題の解決の難しさを感じます」

旧統一教会に心酔した母親 なぜ家庭崩壊に至るまで献金したのか

 山上被告の人生に大きな影響を与えたのが、旧統一教会に心酔し多額の献金を行っていた「母親の存在」です。

 山上被告は事件後、母親とは面会しておらず、弁護士に対しても母親について言及することは多くなかったといいます。逮捕後の警察の取り調べに対しては「母親が旧統一教会に献金して家庭がめちゃくちゃになった」と供述していました。

 関係者によると、1990年代に旧統一教会の信者になったという山上被告の母親。事件後は奈良県内のアパートに引っ越し、1人で暮らしています。

 なぜ、家庭が崩壊するまで旧統一教会に献金を繰り返したのか。その理由を知るため、MBSは母親の自宅を9月から10月にかけて何度も訪問。母親は当初、雑談に応じるだけで、事件や裁判のことについては口をつぐんでいましたが、訪問を重ねるうちに重い口を開き始めました。

巨額の献金について母親「考えずにやりすぎてしまった」

 旧統一教会に入信したきっかけとして挙げたのは、「夫の自殺」と山上被告の兄にあたる「長男の難病」。家族の中で立て続けに起こった不幸に苦しめられていたと当時を振り返ります。

 (山上被告の母親)「(長男は)命に関わる病気だったから。右目の失明とか、開頭手術とか。そういうのをしているからすごくつらかったですよ。なぜ、私の子どもをって。自分の生き方がどうなんだろうって」

 そんなとき、近づいてきたのが旧統一教会だったといいます。母親はその教えを聞いて、なぜ自分の身に悲劇が起こるのか、その理由が「はっきりわかった」と話しました。

 (山上被告の母親)「夫婦の不倫があったり、犯罪があったり、戦争があったり、色々するのは神様から堕落した故にこうなってきたということを聞いて納得した。なぜ堕落したのかを、じゃあどうしたらいいのかを、解き明かしてくださったのが、メシア(=救世主)なんです」
【1本化】特集・山上の母が取材に応じる-000601334.jpg
 旧統一教会では、創立者の文鮮明氏がメシア=救世主であると信じられています。母親は入信を決め、献金を始めました。

 捜査段階の取り調べで、山上被告「母親の多額の献金のせいで難病の兄が十分な治療を受けられず自殺した」、「自分も大学に行くことができなかった」などと供述していたといいます。母親はいま、自身の巨額の献金についてどう思っているのか…。

 (山上被告の母親)「お金のある人はたくさんすればいいし、ない人は別に少しでもいいけど。私の場合はちょっと考えずに(献金を)やりすぎてしまった」

事件の原因は「献金だけでなく家族の愛の問題」と話す母親 一方で事件後、信仰心は「より強くなった」

 一方で、事件が起きたのは、自身の献金だけが原因ではない、とも。

 (山上被告の母親)「あの子の心の本当は、多分それじゃないと思います。なんというか、愛の問題だと思う。家族での愛の問題。申し訳ないと思っていますよ。私が母親じゃなかったら、ここまで追い詰めなかったのになと思いますよ」

 母親に山上被告に「会いたいか?」と尋ねると、ひとこと「会いたいです」とだけ口にしました。

 そして、事件の後、旧統一教会への信仰心が「より強くなった」と話し始めました。

―――「ずっと信仰してこられたにもかかわらず、事件が起きました。信仰が報われなかったとは、思いませんでしたか?」
 (山上被告の母親)「宗教自体がそうですけど、何か起こったことに対して、常に自分を振り返るというかね。なぜかっていうのは、自分に原因があるってみていくので」
―――「息子さんが事件を起こしたことも、お母さんに原因が?」
 (山上被告の母親)「そうですね」
―――「安倍元総理が亡くなられたことに対しては?」
 (山上被告の母親)「申し訳ないと思っています」
―――「お母さんに原因があるとお考えですか?」
 (山上被告の母親)「そうですね、私が原因だと思っています」

 母親は山上被告の裁判に弁護側の証人として今後、出廷する予定です。法廷で何を語るのか、注目されます。

2025年11月03日(月)現在の情報です

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