2025年10月06日(月)公開
【大阪・ミナミ″地面師"詐欺事件】不動産会社代表になりすまし14.5億円を搾取か 検察が男に懲役6年を求刑「組織的、計画的かつ巧妙で悪質」 男は「賭博で友人に800万円の借金があった」「両親に危害を加えられるかもしれない」
編集部セレクト
大阪・ミナミが舞台となった「地面師詐欺」事件で不動産会社代表になりすましたとされる男の裁判で、検察は懲役6年を求刑しました。
起訴状によりますと、住所不定・無職の粂陵平被告(25)は、2024年2月下旬から3月にかけ、福田裕被告(53)や氏名不詳者らと共謀して、不動産会社の代表になりすまし、その会社が所有する大阪・ミナミのビル3棟と土地を、別の不動産会社2社に売却し、計14億5000万円をだまし取った罪に問われています。
■不動産会社代表に「なりすまし」その手口とは
粂被告はどのようにして「不動産会社の代表」になりすましたのか。
まず、ビルを所有する不動産会社代表の女性(70代)に金を貸しているとするニセの借用書を区役所に提出し、女性の住民票の写しを入手。
これを元に偽造した運転免許証で、女性の印鑑登録を変更し、その後、法務局に不動産会社の代表が粂被告にかわったとウソの登記申請を行って、不動産会社代表の女性になりすましたとみられています。
■「前代表の孫」「ゲーム会社を設立する資金」などと架空の設定
初公判で、粂被告は「(間違いは)ありません」と起訴事実を認めました。
検察は冒頭陳述で、粂被告は知人から「名義貸しをすれば報酬をもらえる」などと誘われ、氏名不詳者と連絡を取り合うようになり、″地面師詐欺”を認識したと指摘。
福田被告の指示で不動産会社の新代表になりすまし、「前代表の孫で、ゲーム会社を設立する資金を調達するために会社を引き継いだ」「前代表はけんかをしたので、電話に出ない」など架空の設定を覚え、報酬として約580万円を得たと指摘しました。
■なぜ“地面師”に…男「賭博で友人に800万円の借金」「両親に危害を加えられるかもしれない」
6日の被告人質問で、粂被告は名義貸しをした理由について「賭博で友人に800万円の借金があった」と話しました。
しかし途中で詐欺と気付き、やめたいと伝えたところ、指示役の外国人とみられる男から「実家の住所を知っている。次にこんなことあったら知らんぞ」などと脅されたといいます。
粂被告は「両親に危害を加えられるかもしれない」と感じ、やめられなかったと話しました。
報酬の約580万円については…
(粂被告・被告人質問で)
「300万円は指示役などを通じて借金をしていた友人に」
「残りの280万円は海外で仮装通貨でもらったものの、帰国の際に現金化しようとアプリを開いた瞬間に、ハッキングされて全てなくなった」
■検察「組織的かつ巧妙で悪質な地面師詐欺」 懲役6年を求刑
検察側は、「詐取金を奪われないようにするため、護衛役など多数人が関与し、役割分担をした組織的・計画的犯行で、虚偽の設定で被害者をだましていて、巧妙で悪質」としたうえで、
「実行行為に必要不可欠な役割を果たしていて、報酬欲しさに利欲的かつ身勝手な動機や経緯に酌量の余地はない」などとして、懲役6年を求刑しました。
一方、弁護側は、「反省して捜査に協力し、社会的制裁もうけている」などとして、寛大な処分を求めました。
判決は、11月6日の予定です。
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