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"空飛ぶイルカ"天草から関西に1日1便やってくるレア飛行機『みぞか号』 機内で"みぞか日記"をつける少年などファンも多数「みんなの支えがあって元気に泳いでる」

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 1日に約370便の飛行機が行き交う伊丹空港。毎日お昼時に“世界にひとつだけ”の飛行機に出会えます。

1日1便だけ伊丹空港にやってくる“空飛ぶイルカ”みぞか号

 飛んできたのは、白い雲に映える青い飛行機。熊本県の天草からやってきました。

 ユネスコの世界文化遺産に登録された、潜伏キリシタンの里「天草の崎津集落」や、新鮮な海の幸で有名な天草。中でも一番のシンボルが、イルカ。野生のイルカを間近で観察することできるツアーは天草観光の定番です。

 そんなイルカをモチーフにしたのが、天草エアラインの「みぞか号」。「みぞか」とは天草の方言で「かわいい」という意味です。機体には3頭のイルカが描かれています。母親イルカの「みぞか」に、男の子の「かいくん」と、まつげがチャームポイントの女の子の「はるちゃん」。そのかわいらしい姿を愛するファンが全国にいます。

 「いつも同じお昼の時間に1機だけくるっていうのが、けなげな感じというか、応援したくなる」
 「千葉の木更津からまいりました。見た目がかわいらしいのと、青い空に映える」

 関西と天草を結ぶ“空飛ぶイルカ”の1日に密着しました。

みぞか号への愛は人一倍の営業部長・川﨑茂雄さん「愛情を注がないと」

 朝6時の天草空港。みぞか号の1日は機体の洗浄から始まります。天草エアラインが所有している飛行機はみぞか号の1機だけ。1日無事に飛びますようにと、思いを込めて機体を洗います。

 天草エアライン設立当初から働く営業部長の川崎茂雄さん(54)。みぞか号への愛は人一倍です。

 (天草エアライン 川崎茂雄さん)「愛情を注がないとね。機械といえば機械ですけど。自分の車は全然洗わないのにこれだけですよ、洗っているのは」

 ピカピカになって準備は万全です。みぞか号は天草と福岡を1日3往復しています。ただ、1日1便だけ熊本空港を経由し関西へやってきます。九州以外で就航しているのは伊丹空港だけです。

天草空港から伊丹空港まで2時間20分の旅

 午前9時すぎ、伊丹行きに乗るお客さんが天草空港に集まってきました。

 (孫10歳)「(Qどこに住んでる?)兵庫県尼崎市です」
 (祖父69歳)「僕がこっち(天草)におるから、夏休みだけ5日間ほど遊びに。一人旅です」
 (孫10歳)「釣りとか海とか川で遊んだ」
 (祖父69歳)「(Qお孫さんの成長を感じますか?)そりゃそうね。ずっと写真撮って家にはりだしてますんで。それを見ながらこっちで一人で過ごしてますわ」

 天草から大阪への女子旅をする2人組の姿も。
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 「同級生が大阪にいるもんですから、いってみようかなと思って。(予定は)がっちり決めていない。きょうはワイナリーに行って、夜は焼肉」
 「ちゃんと決まってるじゃない(笑)」

 伊丹空港まで2時間20分。天草の人にとって関西は意外と身近な場所なのかもしれません。

みぞか号に一目ぼれした10歳の男の子 機内で『みぞか日記』をつける旅が実現

 天草空港では、みぞか号の姿を熱心に撮影する男の子にも出会いました。大阪に住む吉田晴翔くん(10)は、お父さんの一朗さん(40)と2人で天草旅行です。海水浴やイルカとのふれあいを満喫して、この日、大阪に帰るそうなのですが、旅の一番の目的は…

 (吉田一朗さん)「天草エアライン、これに前から乗りたいと。それありき」
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 (吉田晴翔くん)「(Q生で見たみぞか号はどうだった?)イルカの塗装がやっぱり良かった」
 (吉田一朗さん)「みぞか日記つけているんで。ずっと毎日。きょうはどう飛んだ、みたいなのを書いていて」

 飛行機図鑑に載っていたみぞか号に一目ぼれした晴翔くん。毎日、インターネットで運航情報をチェックして日記をつけてきました。お父さんにおねだりして今回の旅が実現。みぞか号に乗って日記をつける時がついにやってきました。
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 【晴翔くんの『みぞか日記』より】
 「乗ってすぐにりりく」
 「でも…やっぱりバランスくずして『うわっ!』のれんぞく…」
 「なんとかたえて水平飛行へ」
 「そして、1分でこう下開始…」
 「アプローチ中もフラフラ…」
 「上しょう気流の中でこう下してるから大ゆれ」
 「でも、なんとか着地!」
 「みぞかちゃん、おつかれさまでした」

スタッフ手作りのヘッドレストカバーや機内誌

 みぞか号が経由地の熊本空港に着いた頃、天草空港では…

 (客室乗務員)「機内のヘッドレストを自分たちで手作りしています」

 イルカや季節に合わせた絵柄のヘッドレストカバーを手作り。機内誌もスタッフ自ら取材・執筆しています。
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 天草エアラインは九州の地域の足として2000年に誕生。しかし、乗客数が減少し関西の客を取り込むために2010年、伊丹空港に就航します。そして2013年に生まれたのが「みぞか号」。愛くるしい姿が新しいファンを獲得し、満席になる日も多い人気路線となりました。

 (天草エアライン 川崎茂雄さん)「今は飛行機って単なる移動手段のひとつという位置づけが多いじゃないですか。1機のみぞか号を好きになってくれるのはありがたいなと思っています。本当に皆さんありがとうございます」

誕生日に夫からみぞか号の旅行をプレゼントされたファンも

 一方、みぞか号の到着を待つ伊丹空港。飛行機の離着陸を間近で見ることができる、すぐそばの伊丹スカイパークで、ある親子に出会いました。

 「(Q知っていますか?みぞか号?)知ってます。家の上を飛んでいくんで」

 天草出身の松本浩子さん(59)・松本拓海さん(26)親子。息子の拓海さんが学生時代を過ごした大阪まで、天草から遠路はるばる車でやってきました。ただ、伊丹空港にみぞか号がやってくることは知らなかったそうで、一緒に到着を待ちます。そして、正午すぎ、みぞか号が見えてきました。

 (浩子さん)「頑張って来たよ、ほら」
 (拓海さん)「ちゃんと見るとかわいい」
 (浩子さん)「かわいいよ。わが故郷の飛行機がちゃんとここに着いて安心です」
 (拓海さん)「(Q大阪と天草のつながりを感じました?)今まで感じたことなかったんですけど、飛行機でつながりっていう…きょう来てみてよかったなと思います」

 みぞか号の伊丹空港での滞在時間はわずか45分。今度は天草へと向かう乗客らを乗せて足早に伊丹を後にします。
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 大阪に住む大塚幸さん(69)もみぞか号の大ファンです。翌日が誕生日ということで、夫が今回の旅行をプレゼントしてくれました。

 (大塚幸さん)「(Qなぜ、みぞか号が好き?)ちっちゃい体で頑張ってるから。伊丹まで来てくれるし、毎日毎日頑張っているところかな。一番癒される、なんか顔がほころびる」

「みんなの支えがあって、みぞか号が元気に泳いでる」

 午後3時30分、みぞか号が天草へと戻ってきました。しかし、その後も福岡空港との間を2往復と大忙し。最終便が天草空港に帰ってきたのは、午後8時。1日トラブルなく、無事お客さんを運ぶことができました。川崎さんもほっと一安心です。

 (天草エアライン 川崎茂雄さん)「みんなの支えがあって、みぞか号が元気に泳いでる。良かったなと思います。(Q今後どう関西と関わっていきますか?)バンバン行きますよ、バンバン。とは言え1機しかないので、1日1往復しかできないんですけど、毎日きっちり飛んでいきたいなって思っています」

 みんなの想いを乗せて空を旅する「みぞか号」。今日も1日お疲れ様でした。

2024年09月09日(月)現在の情報です

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