MBS(毎日放送)

「農家さん手づくり漬物」がピンチ?法改正で許可制に...『冷蔵庫に温度表示』『野菜だけ洗うシンク』など基準「なくなるのは寂しい...でも食の安全考えると仕方ない」

編集部セレクト

SHARE
X
Facebook
LINE

 道の駅や直売所で売られている「漬物」。地元の農家さんらが手作りしている物も多く、『家庭の味を感じられる』などの理由で人気商品となっています。しかし、この手作りの漬物が法改正で減っていくかもしれません。

 2000年に和歌山県紀の川市にオープンした「JA紀の里ファーマーズマーケットめっけもん広場」。全国でもトップクラスの売り上げを誇る人気の直売所です。
2.jpg
 なかでも目をひくのが地元の農家さんが作る漬物。たくあん漬けに、この季節ならではの菜の花漬けなど、約15種類の漬物が並びます。

 (購入者)「白菜の漬物、きゅうりのぬか漬けはよく買います」
 (購入者)「なんかやっぱり家庭の味を感じてほっこりする」
 (購入者)「人によって味がちょっとずつ違うんで、ごはんが進みます」

 日本の食卓には欠かせない漬物。しかし近い将来、この漬物を作る人が減ってしまうかもしれないのです。
3.jpg
 農業を営む田邨良子さん(76)。畑で丹精込めて作った野菜を漬物にして道の駅や直売所で販売しています。販売歴は23年になる大ベテランです。

 (田邨良子さん)「(作っている漬物は)ナス、キュウリ、ダイコン、ハクサイ、ウリ」

 田邨さんが作るおいしい漬物もやはり販売の危機に直面していました。

 (田邨良子さん)「えー大変やなと思ったよ。(でも)食の安全やん、しょっちゅう食の安全よ」
4.jpg
 2012年8月、北海道札幌市などで発生した腸管出血性大腸菌「O157」による食中毒事件で8人が亡くなりました。原因となったのは白菜の浅漬け。この事件などをきっかけに食品衛生法が改正され、これまで届出制だった漬物の製造販売が、今年6月以降は許可制になったのです。
5.jpg
6.jpg
7.jpg
 田邨さんは去年12月に製造販売許可を取得しましたが、許可をもらうためには様々な条件があるといいます。

 例えば冷蔵庫に温度表記があること。野菜を洗うシンクと野菜以外を洗うシンクを分けること。そして蛇口は肘でも動かせるレバー式でなくてはならないこと。
8.jpg
 田邨さんは法改正前からこうした設備を整えていましたが、1か所追加の設備を求められました。それが…

 (田邨良子さん)「トイレに行った後に、一旦トイレから屋外に出て、(屋外に)出たところに洗う場所を作ってほしいと」

 水道の設置代に約15万円。小さな農家にとっては大きな痛手でしたが…
9.jpg
 (田邨良子さん)「やめないでと言ってくれるお客さんもいてるしね。おいしいって言ってもらうのが一番やっぱりうれしいやんか」
10.jpg
 一方で、田邨さんの漬物も扱うこの直売所では、約15人の生産者が漬物を販売していますが、半数以上はまだ許可を取得していないといいます。

 (JA紀の里ファーマーズマーケット 山田秀樹店長)「このだれだれさんのこのカブはおいしいとか(ファンが)ついている。それがなくなるのは寂しい。でもやっぱり食の安全を考えると、口にするものですから、きちっとして保健所の許可をとったものしか出せないというのは仕方がない」

2024年02月01日(木)現在の情報です

今、あなたにオススメ

最近の記事

【カツめし】シャチを見ながら約100種食べ放題!神戸・須磨「須磨シーワールド」(2025年11月13日)

2025/11/14

自転車の危険な運転を許さない!古都・京都の安全守るため奮闘"サイクルポリス"に密着 無灯火や一時停止無視...ひっきりなしに行われる交通違反「事故を起こす人、巻き込まれる人が1人でも減ったら」と目を光らせる

2025/11/14

「わしは空襲で死んでもうたんや」聞こえてくる先代の無念...落語で戦争体験を語る『伝戦落語』 動物園での悲劇伝える「どうぶつえん1945」に込めた思いとは?【三代目・桂花團治】

2025/11/14

「ここに安倍元総理も来られているかも」「心よりおわび」山上徹也被告の母 法廷で謝罪の言葉を述べる/安倍昭恵さんの上申書 検察官が読み上げ【安倍元総理銃撃事件裁判 公判7日目】

2025/11/13

ひたすら試してランキング『ウインナーソーセージ』世界が認めるソーセージ職人ら料理と製造のプロが選ぶ 「ジューシーさ」No.1でダブルの香りで食欲を一層かき立てる1位の商品は?【MBSサタプラ】

2025/11/12

乳がん手術から1年の梅宮アンナさん「がんですと言っても変わらない社会を作りたい」 がんと向き合う"ありのままの姿勢"発信し続ける理由

2025/11/12

【ヨルダン川西岸から】イスラエルからの入植者に銃撃される村人たち...停戦発効から約1か月 パレスチナ自治区で直面する「圧倒的な力の差」とは(元ベルリン支局特派員カメラマン 和田浩記者のリポート)

2025/11/11

1通の遺書から始まった事件 冷凍庫に4年半以上も遺体を遺棄 裁判で明らかになった異様な親族関係 男らに下された判決は?

2025/11/09

SHARE
X(旧Twitter)
Facebook