MBS(毎日放送)

大阪・十三で53年愛された『イカ焼き』 "おばちゃんの味"を守る!レシピ受け継いだ36歳が新店をオープン「世の中の人がおいしさにまだ気づいていないと思って」

編集部セレクト

SHARE
X
Facebook
LINE

 大阪・十三で愛されてきたイカ焼きの店「光栄堂」が今年2月に閉店しました。そんな中、店の「おばちゃん」が作るイカ焼きを“敬愛しすぎる”36歳が、なんとレシピを受け継いでお店を開きました。「おばちゃんの味を守る」イカ焼き復活物語です。

十三の人々に愛されてきた「イカ焼き」

 イカがたっぷり入った生地をアツアツの鉄板にのせ、焼きます。待つこと40秒、昔懐かしいイカ焼きの完成です。
2.jpg
 今年9月、大阪・十三。鉄板の前に立つのは久田和子さん79歳。みんな親しみをこめて「おばちゃん」と呼びます。

 (店の人)「おばちゃん、水。暑いから」
 (久田和子さん)「ありがとう。気が利くわ」

 (お客さん)「おばちゃん、お久しぶりー!うれしい!」
 (お客さん)「めっちゃうれしい、涙出そうやな、ほんまに。復活したなと思って」
7.jpg
 1970年、和子さんは夫の正次郎さんと十三でお好み焼のお店「光栄堂」を開きました。そこで人気だったのが、イカ焼きでした。安さとおいしさ、何より2人の温かい人柄で十三の人々に愛されてきました。
6.jpg
 しかし去年、正次郎さんが体調を崩したため、今年2月、53年続いたお店を閉めることにしました。

 (久田和子さん)「楽しいこともみなそこでもう、子育てもあの店1本でやってきたし。なんか泣きそうやったよ、胸いっぱいになって」

子どものころから大好物…十三で生まれ育った36歳が味を受け継ぐ

 そこで、光栄堂のイカ焼きの味を守りたいと手を挙げたのが納(おさめ)隼人さん36歳です。
10.jpg
 十三で生まれ育った納さん。光栄堂のイカ焼きが大好物でした。

 (納隼人さん)「世の中の人がおばちゃんのイカ焼きのおいしさにまだ気づいていないと思っている」
8.jpg
 納さんは本業であるジムのトレーナーを続けながら、おばちゃんのレシピを引き継いでイカ焼き店をオープンすることにしました。

 (久田和子さん)「自分の身内でもないのに、そこまで考えてくれてたんやなと。やっぱり小さいときからかわいがってよかったわ」

オープン当日 光栄堂の常連客も来店

 そして9月13日、納さんのお店のオープン当日。

 (納隼人さん)「(Qぎりぎりまで準備している?)はい。当日にテント張ってますから」

 お店の名前は「奄美堂」。おじちゃんとおばちゃんの故郷・奄美大島から名付けました。
13.jpg
 心配したおばちゃんが手伝いにきてくれました。

 オープン30分前の午前11時30分、開店を待ちきれないお客さんが集まり始めました。営業は正午からのはずが…。

 (お客さんに確認する納さん)「イカ焼き2枚とお好み焼き1枚ですね?」

 (納隼人さん)「(Qもうオープンしている?)もうオープンしてますね。もうやるしかないですね、頑張ります」

 段取りが整わないまま、次々と注文が入ります。

 (納隼人さん)「イカ焼き2枚の人は白衣のお姉さんです。すみませんお待たせしました」
12.jpg
 かつての常連さんも顔を出します。

 (光栄堂の常連客)「きょうから忙しくなりますね。応援してますので」
 (店の人たち)「ありがとうございます」

 (光栄堂の常連客)「5枚買いました。お家で食べます。今からお昼ご飯です。なじみの味やけど、ちょっと手間取ってたから心配」

 飲食店で働いたことのない納さん、なかなかうまくいきません。

 (久田和子さん)「どれくらい入れてるの?もうちょっと入れて、キャベツだけ」
16.jpg
 (納隼人さん)「すみません、お好み焼き。めちゃめちゃごめんなさい、遅くなってすみません」
 (お客さん)「遅い」
 (納隼人さん)「申し訳ないです。次から気を付けます」

 やっと落ち着いたのは午後2時。おばちゃんはここまでです。段取りがうまくいかなかったからか、表情のさえない納さん。それを見たおばちゃんは…。

 (久田和子さん)「なでといてあげるから。頑張れ」
 (納隼人さん)「まあなんとかする」
18.jpg
 夕方、店には子どもたちが集まってきました。納さんは次々と注文をこなします。

 夜になっても客足は途絶えません。納さんも手慣れてきたようです。

 (納隼人さん)「いやー楽しいな、イカ焼き焼くのが」

「みんなに愛される店にしたい」

 午後8時、この日の営業は終了。目標の200枚を上回る、約300枚のイカ焼きを焼ききりました。

 (納隼人さん)「やっぱりみんなに愛される店にしたいですね。(Q何十年ぐらい続けますか?)最低、光栄堂は超えないといけないですよね。その時ぐらいに、昔子どもだった子が『俺が継ぐよ』と言ってくれる人が出たらいいなと思いますね」
21.jpg
 十三で愛される味をこれからも。納さんの挑戦は始まったばかりです。

2023年09月19日(火)現在の情報です

今、あなたにオススメ

最近の記事

【カツめし】創業79年!兄弟で営む新世界の激安ホルモンうどん店 大阪・浪速区

2025/02/13

「極限まで熟した"朝どれ"あまおう」を新幹線で即日輸送!揺れが少ないメリット生かし「産地でしか手に入らない名産品」を全国へ JRグループ各社が連携

2025/02/12

【多様化するいちご狩り】食べ放題にスイーツビュッフェをつけても農家が赤字にならないワケ 「夜限定」や「時間無制限」など特別な体験にインバウンドも熱視線

2025/02/11

ひたすら試してランキング『チョコレートスイーツ』清水アナが「これぞバレンタインデーに食べたいチョコスイーツ!」と絶賛した第1位は?プロから「だからコンビニに勝てない」とぼやきも!?【MBSサタデープラス(サタプラ)】

2025/02/11

"チカイジュウ"で叶えた憧れの山暮らしは驚きの連続!?厳しい現実の中でもたくましく育つ子どもたちとそれを支える家【住人十色】

2025/02/07

【カツめし】79歳寮母のガッツリ×愛情満点めし! 京都・左京区

2025/02/06

ひたすら試してランキング『泡ハンドソープ』独自成分で洗った後もすべすべ「保湿力」がダントツの1位は?清水アナも「今すぐ買いに行きたい」と絶賛【MBSサタデープラス(サタプラ)】

2025/02/06

かつて不登校だった女子生徒...高校で写真部に入り神戸市のビッグプロジェクトに参加「少しでも社会の一部になれてうれしい」 "自分と向き合った経験"を生かしシャッターを切る!

2025/02/03

SHARE
X(旧Twitter)
Facebook