MBS(毎日放送)

『ブルーの103系』が引退へ...所要時間わずか4分のJR和田岬線では22年間活躍 「特別な水色」「寂しい」ファンらが別れ惜しむ

編集部セレクト

SHARE
X
Facebook
LINE

 兵庫駅から和田岬駅までのわずか2.7kmをつなぐJR和田岬線。この路線を走る「103系」が3月18日で運行を終えます。3月17日の和田岬駅には、別れを惜しんで大勢の人が集まりました。

「色がいい」「無骨な音がする」鉄道ファンを魅了する103系

 3月17日午前7時すぎ、本格的なカメラを手に神戸市兵庫区にあるJR和田岬駅に集まった人たち。そのお目当ては、18日にJR和田岬線での運行を終える「103系」。どこか懐かしさを感じるブルーの車体が目を惹きます。

 (岩手県から訪れた人)
 「103系がサラリーマンの時から好きで。昔から国鉄で決められた色があって、それを使った色がいい」

 別の人は…。

 「無骨な音がするんですよね。ドアが閉まる時の独特な音とか。なくなるのが寂しいですね」

 103系は1963年以降に量産され、ブルーの車体はJR阪和線などで通勤電車として活躍してきました。車両は時代とともに次々と新しいものに入れ替わっていきますが、103系は国鉄時代の原型をほぼそのまま残す数少ない車両として、鉄道ファンを魅了し続けてきました。大の鉄道ファンであるMBS馬野雅行アナウンサーも過去に取材。

 (馬野アナウンサーリポート 2008年)
 「すごい!初期の形のものというのは、もうたまらないね。わからないかな?この103系独特のプシュー、ガラガラガラガラ(※扉が開くときの音)。あの音は呼吸しているんです。103系が」

 日本で引退した後、海を超えて、インドネシアの首都・ジャカルタで人々の足として第二の人生を送る車両も。

「もう昔から見てますからね」沿線の喫茶店も別れを惜しむ

 そんな103系、和田岬線に導入されたのは2001年のこと。走るのは兵庫駅~和田岬駅間の2.7km。所要時間はわずか4分です。運行は朝と夕方以降のみで、主に近くの企業で働く人たちを運んできました。

 22年間の別れを惜しむファンの思いを酌んでか、車内ではこんなアナウンスが流れていました。

 【車内アナウンス】
 「ただいまご乗車されております水色の103系列車は、3月18日をもちまして定期運行を終了いたします。1963年から3447両が製造され、東は仙台から西は福岡まで、全国各地で皆さまの足として活躍してまいりました。最後まで103系電車をご愛好いただきますよう、よろしくお願い申し上げます」

 沿線で約50年続く喫茶店「チェリー」の店主は、生活の中にいつもブルーの103系があったといいます。

 (チェリー 店主)
 「もう昔から見てますからね、あのブルーの電車をね。あの水色はJRの“特別な水色”だと思っているんで」

 店内では自分だけの1枚をカメラにおさめようと、ファンが特等席を陣取り、一瞬のシャッターチャンスに思いを込めます。渾身の写真が撮れたようです。

老舗駅弁メーカーは限定記念弁当を発売

 そしてJR三ノ宮駅では…。

 (取材班リポート)
 「まだ開店前なのですが、103系の勇退弁当を求めて、すでに行列ができています」

 老舗駅弁メーカーが、神戸らしい、いかなごのくぎ煮などが入った限定記念弁当を発売。さっそく聞きつけたファンが最後の思い出にと買い求めていました。お揃いの103系Tシャツを着た親子連れに話を聞きました。

 (親子)
 「(103系は)子どもが好きになって、私も一緒に好きになりました」
 「(Qこの103系のお弁当箱どう?)めっちゃいいと思う」

 103系は、えんじ色が兵庫の播但線で、あおみどりが加古川線でもうしばらく運行されますが、ブルー和田岬線は18日で見納めです。

2023年03月17日(金)現在の情報です

今、あなたにオススメ

最近の記事

「他の人にも被弾した可能性」弾丸の状況などを捜査した警察官が証言 検察側は安倍元総理の体内に残っていた弾丸を証拠として提示【山上被告第4回公判】

2025/11/04

『命がけの出産』赤ちゃんの足型を副葬品に 生と死が身近にあった、縄文人の死生観 土偶や土製品に込めた願い

2025/11/04

【独自】息子が安倍元総理を銃撃...山上被告の母親が"自責の念"明かす「献金だけでなく家族での愛の問題」 一方で"より強まった"旧統一教会への信仰心

2025/11/03

強度行動障害のある28歳息子と初めて離れて暮らす決断 「自分たちが世話が出来なくなる前に」両親はパニックに対応できる施設を6年間探す...届いた「受け入れ可能」のメール

2025/11/02

【独自】旧統一教会の"財産移転先"天地正教とは 「弥勒菩薩は文鮮明氏」宣言から濃くなった教会の色...過度な献金要求を元信者が証言 二代目教主「乗っ取られた」旧統一教会の見解は

2025/10/31

【カツめし】夫婦で50年!路地裏の昭和釜めし 京都・下京区「月村」

2025/10/30

「被告人は『当たったか?』と言葉を発した」山上被告を取り押さえた警察官が明かす緊迫の状況 提示された安倍氏の傷痕の写真を食い入るように見つめた山上被告 自作のパイプ銃は「発射罪」適用されるか?

2025/10/30

「早く供養してあげないとと。思いついたのが、土に埋めてかえしてあげること」死産した赤ちゃんの遺体を大阪市内の公園に遺棄 24歳女の孤独「産まれるとなっても、誰の顔も思い浮かばなかった」【裁判ルポ】

2025/10/30

SHARE
X(旧Twitter)
Facebook