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【連続強盗関連】「今まで4人が送還されなかったのは"日本が強く要請してなかったから"」...元国際捜査刑事・小川泰平氏が指摘

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 全国の連続強盗への関与が疑われていて、別のキャッシュカード窃盗事件の容疑者4人は、フィリピンの収容所から日本に強制送還されることになりました。フィリピンでは2019年11月に詐欺グループの一斉摘発があったにもかかわらず、4人が日本に引き渡されなかったのかなぜか?谷公一国家公安委員長は「何もしていないということではない」と釈明しましたが、小川泰平氏は「日本政府がある程度強く要請すればフィリピンからは送還してもらえるはず」と指摘。そのうえで今回は罪名が窃盗だったことやコロナ感染で収容所がロックダウンしていたことから送還手続きが渋滞していた可能性があったことも付け加えています。(2023年2月7日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」より)

小川泰平氏(犯罪ジャーナリスト、元神奈川県警勤務、国際捜査課の捜査員など30年勤務)

百戦錬磨の捜査員は「(容疑者は)口裏合わせしているのは想定内で質問ぶつける」

---犯罪ジャーナリストの小川泰平さんに解説をしていただきます。ここまでの動きをおさらい。フィリピンから帰国した今村容疑者、藤田容疑者2人は7日、フィリピン・ビクタン収容所を出発し、マニラの空港に。そして午後に成田空港に着き、その後2人は別々の警察署、都内の警察署に移動しているということですね。では、フィリピンに残っている2人はどうなのか。渡辺容疑者と小島容疑者の2人に関しては7日、フィリピン国内での告訴が棄却されたため、8日にも帰国の見通しかと言われています。なので同時とはいかなかったのですが、ほぼ同じタイミングで4人が帰国することになりました。小川さん予想されていた通り、少しずれましたけどもほとんど同じタイミングでの送還になりそうということでしょうかね。

 そうですね。逮捕の時間が7日午後ですから、8日もし強制送還されれば、9日木曜日に同時4名同時に送検することが可能になると、まあ可能にならなくても、9日と10日で1日ずれるぐらいなら大きな問題はないのかなと思います。

---逮捕は別のタイミングだけども、送検は同じタイミングでいけそうだということですね。あと成田空港到着して、あの通路を歩く2人の様子ご覧いただいたと思いますけども小川さんはどのように見ましたか。

 多少下を向いてましたけども、今村容疑者の方はちょっと落ち着かない様子で正面だけではなくてキョロキョロ周りを見ながら、やはり動揺が皆見られるなという感じがしました。あと藤田容疑者は終始うつむき加減で、前の捜査員の背中、足元を見ながら歩いていて、やはりカメラ撮られているのが当然わかってるわけですから、多少ですけども動揺が見られたなという感じがしました。

---そんな2人の容疑者が成田空港到着しましたが、今回4人に出ている逮捕状に関してなんですが、容疑は窃盗となっています。内容は2019年、他の仲間と共謀し、東京都足立区の高齢男女に嘘の電話を掛け、キャッシュカード10枚を盗み、現金を引き出した疑いということなんです。ただこれとは別に警察はこの4人の中に連続強盗事件の指示役ルフィがいる可能性があるとみて捜査をしています。ではこのルフィの関与が疑われている事件ですが、8都県14件の強盗事件があるということで、既に実行犯など30人以上が逮捕されています。さらに別に、6府県の強盗事件についてもルフィの関連が捜査されているということです。

 結局、逮捕をした時点がスタートになります。まず48時間以内に警察庁に送検する。その後10日間の拘留必要があればもう10日間の拘留この20日間の拘留で起訴するかどうかを決めなきゃいけない。例えば数日のずれならいいんですけども、1ヶ月も2ヶ月もずれてしまうと、2名だけ先に取り調べて2名の取り調べが後になってしまうと、犯罪事実にしても何にしても、正確なところが書けない、または供述をした場合、否認をした場合、それぞれの供述の裏付け、整合性がそこで必要になってくるわけです。もちろん口裏合わせをしているのは想定内なんですけども、そこで実際に質問をぶつける。その時の相手の表情とかそういったもので、これは本当の話なんだろう、うその話なんだろうと比べていくときに4人の取り調べができてない時点で処分を決めるってのは非常に難しいという判断になります。

---渡辺容疑者、小島容疑者に関しては8日以降に強制送還という運びになりそうだということですね。ただ気になるのは、4人の容疑は者ずっと同じ収容所にいて、多分コミュニケーション取れる環境だったと思うんですけども、例えば口裏合わせをしているとか、何らかの相談をしていて、捜査に支障をきたすってことはないんでしょうか?

 支障をきたさないとは申し上げませんが、そこはね、百戦錬磨の捜査員ですから、口裏合わせをしそうな事項と口裏合わせをしてないものって必ずあります。そういったところを突いていくと。私も取り調べをずっと主にやってましたけど、そのあたりは皆さんが心配しているようなことはございません。

「ある程度強く言えば、フィリピンは送還してくれる」

---いま帰国のタイミングという話ありましたが、そもそも2019年の11月、フィリピン当局が詐欺グループの拠点に踏み込んだということがありました。これによって2021年7月までに36人が日本に帰ってきているんです。なぜこのタイミングで4人は日本に引き渡されなかったのかというのも争点となっています。これに関して3日、谷(公一)国家公安委員長はこう答えています。
「日本政府としてはフィリピン当局に対し、順次退去強制を要請してきた。何もしていないということではありません。ただ、我々は要請する立場なので、フィリピン当局においてどう検討されてきたのかは答える立場にない」
としているのですね。そもそもこれ2019年の11月にもう踏み込んでるということなので、そのあたりの今まで時間がかかったのに、今回一気にそれが進んだわけですけども、このタイミングというのはどのように見ていらっしゃいますか。

 これは谷国家公安委員長があんまりこういった事柄を知らないで喋ってるんだと思います。実際にわたし国際捜査課というところにいて、2000年前後に実際この手口というのは以前からあるんです。日本に帰国したくないために虚偽の申告をフィリピン人にさせてとどまる。そのうち裁判が始まるってなると告訴を取り下げる。そしてまた違う告訴をするといったような繰り返しが多いんですね。ただこれまでもですね、有名な地面師、フィリピンに逃走してた地面師が捕まったこと記憶ある方もいるかと思うんですが。その時もそんなに長い間滞在していたわけではないということで、日本の政府がね、ある程度強く言えば、フィリピンからは返してもらいます。これまで棄却されなかったことは一度もないんですね。こういった事柄で、ただ今回はこの4名の罪名が窃盗であったということと、この収容所自体がロックダウンをしていて定員140名のところが実際700名ぐらい入っていた時期でもあるんです。これはコロナの関係なんですけども、そういったことで、日本に帰国する者が渋滞していた。それプラス、帰りたくない者がいたということが合わさってこうなっているだけで、これまで今回の1週間というのが特別早いわけではありません。これまでも1週間程度で帰国した。強制送還した例はいくらでもあります。もちろん今回大統領が来るということで、8日の日にちに合わせたということは手土産的なものであるかもしれませんけども。そうでなくてもね、これまでも強制送還にフィリピンと日本の警察非常に友好な関係を保っているので、可能だったということは言えると思う今回大統領が来ることをいい機会とするかどうか。政治的な関与があると思うんですけども、やはり一番はですね、フィリピンの職員等の給料が安いということなんですね。大体日本円にして年収50万から60万円ぐらいなんですね。そういったときに、例えばWi-Fiを1ヶ月、この収容所にWi-Fiがあること自体が間違ってるんですが、このWi-Fiを教えてもらうだけで大体6000円、1ヶ月6000円払う、あと個室に入れてもらう、エアコン付きの個室に入ると12万円ぐらいとかですね、もうなんかべらぼうな金額ですから、この日ビクタン収容所の職員になりたいがために入管の職員でも、通常の入管だとですね法務省の管轄だと給料が安いわけですね。どこも同じなんですが、ただこの外国人がいるビクタンの収容所bの職員になると賄賂がいくらでももらえるので、ここに異動したい。異動するためには自分たちの上司にまた賄賂というか。そういうつけと付け届けをして、この職員にさせてもらいたい。ただ職員も5年も6年もやれるわけじゃなくて、数年でまた異動になってしまう。ですから今回も所長とこの渡辺容疑者というのは非常に近い関係にあったようです。
そういったところから今回法務大臣がですね、局長が30何名全員、ビクタンの職員を入れ替えましたけども、それは形だけのことで、また同じようなことが繰り返される可能性があると思います。フィリピンはですねここ数年通常は収容所を拘置所刑務所とはですね、お金でどうこうというのが非常に減ったとmいうふうには聞いています。これはフィリピン人がいるところですね。ですからフィリピン人に話を聞くとですね、今は刑務所とか拘置所すごい厳しいよ。って言われるんです。ただ唯一ビクタンの強制送還等で自国に帰らせる者を一時的に収容するところ、ここだけはお金がないと地獄の沙汰も金次第じゃないんですけども、お金がないと自国だと、ただお金があればホテルとまでは言いませんけども、外出もできたりとか、いろんなことが自由にできる場所であるというふうには言われています。

今後の取り調べは?「キャッシュカード窃盗の次は特殊詐欺か強盗か」

---今後のことを考えると日本の犯罪の温床になりかねない環境ですが、ただフィリピンのお話なので日本がなかなかそこまで口挟めないという事情もありそうです。さて帰国したら容疑者ら、今後の捜査はどうなるんでしょうか。2人は窃盗事件、特殊詐欺事件で逮捕されているわけですけども、今後、連続強盗事件殺人の捜査どう進めていくのかというところなんですけども?

 まずはキャッシュカードを盗んだ件でですね。逮捕されますからこの20日間48時間と20日間でですね、起訴するかどうか、ただこれはですね共犯者等も捕まってますし、起訴されることは間違いないだろう。いうことで次にどの事件をやっていくかということなんですが、警察庁長官がおっしゃっていた60億の振り込め詐欺、特殊詐欺に関わってるんだということで特殊詐欺の余罪も当然考えられるんですが、やはり今回はですね、連続強盗事件について今14件ぐらいわかってるわかってますが、そこで固い事件ですね。あとは本人がこの窃盗事件を含めてこの4人どの程度喋るかですね。例えばもう諦めてちゃんとした本当のことを自供するのか。それとも否認するのか、それとも黙秘するのか、また4人の中で話する者、話しない者っているのかどうかですね。そういったことによって次回この拘留いっぱいで起訴された時点で再逮捕する事件を決めるだろうと思われます。この強盗致傷事件になると思うんですが、それとも別の強盗致傷事件起訴するのがですね、再逮捕するのか、そのあたりをこれからどのようにやっていくかという作戦を立てるというと変ですけども、捜査を見立てていくんだろうと思われますね。

---その窃盗罪と強盗殺人罪。これで法で決められている刑というのが大きく違うんですね。では実行役ではない、指示役の量刑についてはどう考えるのか?川崎弁護士に聞きました。法律の理論上は指示役も実行役と同じ立場として扱われる。
しかし実際には、より上位のもの、指示役のものがより重い量刑となることが多いとされています。改めまして今村容疑者藤田容疑者は創刊されましたそして明日以降渡辺容疑者小島容疑者も遅送還される見通しであるということです。

2023年02月07日(火)現在の情報です

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