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馬に乗る警察官『平安騎馬隊』の若手に密着「時代祭先導の大役に挑戦」音から逃げてしまう"元競走馬おぐちゃん"を乗りこなせるか

2022年10月25日(火)放送

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 歴史ある京都府警の『平安騎馬隊』。創設は1921年で、京都に騎馬警官が配置されましたが、戦後、自動車産業の普及に伴い一度消滅しました。しかし1994年に平安遷都1200年の記念に復活して現在も活動しています。現在は子どもの登下校時の安全対策や観光地のパトロール、さらに京都三大祭の葵祭や時代祭で先導警備を行っています。平安騎馬隊で今年の夏にデビューした若手巡査の“大舞台”への挑戦に密着しました。

街をパトロールする京都府警の平安騎馬隊

 京都市左京区の街中に突如としてあらわれた巨体。この辺りでは馬がいる風景がちょっとした名物となっています。乗っているのは警察官。京都府警の平安騎馬隊です。

 (近くにいた人)
 「やっぱりびっくりしますね、本当に。ほんま大きいなって」
 「子どもが見つけて、すごくかっこいいなと思って」
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 隊員10人と6頭の馬が所属する平安騎馬隊。登校の見守りや交通安全教室で小学校に出向くなど、警察の活動をアピールするのに一役買っています。

夢の騎馬隊に入隊した若手巡査…相棒はベテランの元競走馬

 仲田萌巡査(27)は4年前に警察官になり、交番勤務を1年間こなした後、小さいころからの夢だった騎馬隊に入隊しました。

 (仲田萌隊員)
 「小さい時に乗馬体験をしたことがあって、馬が好きというのがあって、馬を通して府民の方々に交通事故防止とか犯罪被害に遭わないようにといった活動ができるのがすごく魅力に感じたので」
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 仲田さんのパートナーの馬は、金のたてがみが珍しい「小倉号」。元は「フィールドイレブン」という名前で競走馬として地方競馬で活躍しました。入隊12年目のベテランです。

 (仲田萌隊員)
 「(Q小倉号はどんな馬?)ドジっぽいところがありますけど、人懐っこくて優しい。馬も生き物なので嫌やと思ったら全然言うことを聞いてくれないし、まず馬との信頼関係を築くのってこんなに難しいんやなと」
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 入隊後に一から学んだ馬の世話。泊まり込みでエサやりや掃除、1時間に1回の見回りなどを続け、信頼関係を築くことが大切な仕事です。
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 (仲田萌隊員)
 「(Qエサの袋が重そうですね?)30kgあるので引きずらないと持てない。(Q大変じゃないですか?)めっちゃ大変です。この仕事じゃない友達とかを見ていたらネイルしたりとか髪の毛を染めたりとか、いいなと思うことはありますけど、仕方ないのでそれは」

『時代祭』の行列先導…訓練では“大きな音や動くもの”に苦戦

 (隊員らに話す副隊長)
 「『時代祭』3年ぶりに控えています。きっちり総力戦で戦わないといけない大きな仕事です」

 平安騎馬隊で大きな仕事のひとつが京都三大祭『時代祭』です。行列の先導は例年、若手隊員の登竜門で、今年は仲田さんが任されることになりました。
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 時代祭に向けて訓練が始まりました。馬は大きな音や動くものから逃げる習性があります。祭では多くの観客や車が行き交うため、その環境に慣らそうと、あえて目の前で旗を振ったり大きな音を出したりします。
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 仲田さんも挑戦します。隊員が振る旗から逃げないよう小倉号を上手く抑えることができるでしょうか。
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 しかし、旗に驚き、逃げ出してしまいました。

 (先生役の隊員)「すぐ止める!すぐ止める!」

 思い通りに操ることができません。

 太鼓を使った訓練でも、音を嫌がり言うことを聞かずに駆け出してしまいました。

 (先生役の隊員)「すぐ止めるよ!すぐ!座って座って。両方引っ張らない。外方だけ。外に向ける」
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 (先生役の隊員)
 「乗馬は馬に指示をしないといけないスポーツなんですけれども、乗り手が自信を持って『こうしてね』と馬に伝えないとなかなか馬は言うことを聞かない。人間が何を言っているのかわからないんです」

 (仲田萌隊員)
 「まだまだちゃんとやらなあかんなと思いました」

 時代祭では4年前の2018年、馬1頭が暴れて観客など4人がけがをする事故が起きています。コロナ禍で今年は3年ぶりの開催ということもあり、騎馬隊の緊張感も一層高まっています。

 (仲田萌隊員)
 「正直緊張しすぎて、結構プレッシャーに弱いので、プレッシャーをすごく感じている状態なんですけど。やるしかないので今は頑張ろうという気持ちです」

 重圧を消すには練習しかありません。日々、小倉号と向き合い距離を縮めていきます。

訓練を続けた成果が形に

 本番まであとわずか。時代祭で着用する衣装で練習に臨んだ10月11日、日ごろの成果が出てきました。音を嫌がり逃げようとする小倉号をうまく抑え、前に進むよう指示を出し続けられるようになったのです。
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 (小倉号に話しかける仲田隊員)
 「よしよしよし。頑張った頑張った。頑張ったね、おぐちゃん」

いよいよ本番…大行列を先導して大通りを闊歩

 10月22日、迎えた本番。この日を待ちわびた多くの観客が沿道に集まります。

 (小倉号に話しかける仲田隊員)
 「大丈夫よ」
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 正午、行列が出発します。

  (副隊長)「オッケー、ゆっくり歩かせて」
 (仲田隊員)「はい、行こう」
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 平安時代から明治維新までの歴史上の人物に扮した約2000人が多くの馬とともに秋の都大路を練り歩きます。
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 大行列を先導する仲田さん。大通りを堂々と闊歩します。ここまでは順調のようです。

途中で参加者が落馬するトラブルも…平安神宮に無事到着

 と、ここで突然、連絡が入りました。

 (副隊長)「落馬?」
  (隊員)「はい。烏丸丸太で落馬」
 (副隊長)「奔馬(=馬が暴れる)していない?」
  (隊員)「奔馬はおそらくしていない」
 (副隊長)「後ろの隊員に行ってもらうわ」

 行列の参加者が落馬したとの知らせが入ったのです。ほかの隊員がすぐに現場に向かいます。緊張の度合いはさらに高まることに。
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 河原町三条に差し掛かりました。道幅が狭く、観衆との距離が近い難所のひとつです。ここもしっかりとした手綱さばきで悠々と通り抜けました。
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 約2時間半後、目的地の平安神宮に行列が到着しました。仲田さんは行列を先導するという任務を無事に終えることができました。
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 (仲田萌隊員)
 「緊張もあったんですけど、達成感というのも得られたかなと思うので、もっと成長できるように改善しながら、これからも頑張っていきたいなと思います」

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