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高級住宅街に『裸の山』...正体は突然ストップした住宅造成地 住民が不安抱く「土砂崩れのリスク」それでも「工事を再開しない土木会社」

2023年01月23日(月)放送

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 閑静な住宅街が広がる兵庫県西宮市。住みやすい街として人気の高いエリアですが、今、この高級住宅街のすぐ近くにある『裸の山』について周辺住民が憤懣しています。

高級住宅街のすぐ近くにそびえる『裸の山』

 住みたい街ランキングで毎年上位に入る兵庫県西宮市。中でも山手にある「甲陽園」は高級住宅街として知られる人気のエリアです。

 (地元の人)
 「結構住みやすいです。このごろは若い方も増えていますしね」
 「買い物も阪急オアシスがあったりいかりスーパーがあったり。神戸にも出やすいし大阪にも出やすいので」
 「静かですね。治安もいいです、ここらへん。結構最近新しい家が建てられて、人気の街かなと思います」
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 そんな住民自慢の住宅街ですが、阪急甲陽園駅から車で5分ほど進むと目を引く光景が広がります。

 (記者リポート)
 「閑静な住宅街を歩いているのですが、裸の山が見えますね。工事現場でしょうか、一気に印象が変わりますね」

 戸建てが並ぶ住宅街のすぐ隣に丸裸になった山がそびえています。ここは甲陽園東山町の約1ヘクタールの広大な土地。工事が止まったのでしょうか、重機が置かれたままになっています。
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 自然環境に魅せられて甲陽園に移り住んだという亀岡浩三さん。風景が一変したことに憤懣しています。

 (亀岡浩三さん)
 「これがきれいな森林やったんですけどね」
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 西宮市などによりますと、この土地では6年ほど前に住宅の造成工事が始まりました。山を切り開き木々を伐採するまで工事は順調に進んでいたのですが、1年ほど前に突然、工事が止まったといいます。

 (亀岡浩三さん)
 「工事がこのように止まった状態ですから。どうするんかなぁ。困っていますね、中途半端で。(業者が)やっていることは住民からしたら無茶苦茶ですね」

 この土地の目と鼻の先に住む住民は劇的な環境の変化に驚くばかりです。

 (更地の山の隣に住む人)
 「こんなところに家が建つわけないわと言うてね、いいところに来たと思ったんですけど。いや怖い。一番に怖いという感じですね。ざーっと地肌が見えてきて、すごく危険な状態でしたよ」

専門家が警鐘「花こう岩による土砂崩れのおそれ」

 周辺住民が最も心配しているのは「土砂崩れ」です。

 (周辺住民)
 「不安はあるわよ。削ったところは木が生えないでしょ。ここ2年くらい木も生えないしね。だから雨が降ったときに土砂がどのくらい流れていくのか」
 「なんかもう丸坊主ですもんね。崩すだけ崩しているので緩んでいる気がするので。大雨とか降った時の土砂災害とかが不安と」
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 では土砂崩れのおそれはあるのでしょうか。現地を視察した斜面災害の専門家である京都大学防災研究所・斜面災害研究センター長の王功輝教授はこの周辺の山を形成している『花こう岩』に問題があると指摘します。

 (京都大学防災研究所・斜面災害研究センター長 王功輝教授)
 「危ないなと思います、正直に言うと。花こう岩は風化が速いんですよ。今は大丈夫ですけど、ずっとほっといてしまうとよくない。風化した花こう岩は特殊な性質を持っています。ちょっと滑りだすと一気に滑りだす。そして落ちてくると土の中に大きい石が一緒に入っていることがよくあるんですよ。現場を見たらそういう石があってもおかしくないと感じた」
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 花こう岩でできた地盤は、雨や風に長い間さらされて風化すると、表面部分が土のように柔らかくなります。一方で、その内部では岩の形のまま残る部分もあり、大雨が降った際に土とともに岩も一緒に流されて大きな被害を及ぼすおそれがあるのです。
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 2018年に発生した西日本豪雨では、風化した花こう岩が原因で土石流が起こり、流れ出た岩によって被害が拡大したといいます。

市が何度も勧告や指導するも…土木会社『継続して事業を行うのは難しい』

 西宮市もこの土地の現状を問題視しています。

 (西宮市・開発審査課 田村英男課長)
 「『すみやかに工事を再開しなさい』という中で、それについてはもちろん話はしております。ただ、危険な状態で止めておかず、災害のない状態にして休止するのはやむを得ないと思いますけれども」
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 市は土地の造成工事を行う土木会社に対して安全対策を行うよう勧告や指導をこれまでに7回行いました。その後、工事が完全にストップしたことから、去年9月には強制力のある措置命令も出しました。

 市は、現状は安全は確保されているといいますが、今後の工事の行方については次のように話します。

 (西宮市・開発審査課 田村英男課長)
 「(業者との)お話の中で、やはり継続して事業を行うのはなかなか難しいというようなことも聞いておりますので」

取材班が土木会社を訪ねるも“回答はなし”

 山を更地のまま放置し続けるつもりなのか。取材班が工事を行っている土木会社を訪ねると…。

   (記者)「すみません、毎日放送です」
 (土木会社)「はい」
   (記者)「西宮市甲陽園東山町の工事現場について話をお伺いしたいんですけれども、今ってお時間は…」
 (土木会社)「あー忙しいですね」
   (記者)「ちょっとだけ話を聞かせていただくことって…」
 (土木会社)「あー忙しいです。申し訳ない」
   (記者)「住民の方が…」
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 取材班はその後も土木会社に今後の工事の見通しなどについて取材を依頼しましたが、期限までに回答はありませんでした。

 西宮市によりますと、工事が止まってしまったのは、この土木会社が資金繰りに困っていることが原因とみられるということです。また業者は現在は違う業者を探すなどしていて、市も協力して対応を進めているということです。
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 住民は諦めの声をあげるばかりです。

 (亀岡浩三さん)
 「住民としてはもうどうしようもないです。子どもの代、孫の代まで問題が残っているんじゃないですか」

 放置された『裸の山』。工事が再開して住民が安心できる日はくるのでしょうか。

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