北海道で震度7 ブラックアウトで全道が停電 池上彰が解説!

池上彰のニュース解説が読める!「生!池上彰×山里亮太」

2018/09/27 12:00

 9月6日(木)北海道で最大震度7の地震が起きた。震源地の厚真町ではいくつもの山肌が崩れ、土砂が家屋や住民を飲み込んだ。札幌市では液状化が起きたり、道路が陥没したりするなどの被害が出た。死者は40人を超えた。想定外のことも起きた。発災当時、ほぼ半分の電気を供給していた苫東厚真発電所が被災して停止。すると、ほかの稼働していた発電所も相次いで停止し、北海道のほぼ全域が停電するブラックアウトが起きたのだ。地震の活動期に入ったとみられる日本列島、今、私たちに必要なことは?

震度とマグニチュードの違いは?

 今回の地震では最大震度7を観測したが、震度はかつて体感や周囲の状況から推定していた。気象庁の職員2人が、揺れたら、1人が立ち、1人が座って、それぞれで揺れを感じて震度を決めていた。あるとき、職員が寝ていて地震に気づかなかったことなどもあり、今は地震計で観測。人間の体感に近い震度を測定できるようになり、揺れの程度は10階級に分かれている。
 地震が起きると、震度のほかにマグニチュードが発表されるが、その違いは電気スタンドを例にとると分かりやすい。電気スタンドに近いと明るいが、離れるにつれだんだん暗くなる。スタンドの光そのものがマグニチュード、離れたところの明るさが震度。だから、マグニチュードは同じでも、場所によって震度が違ってくる。

なぜ北海道のほぼ全域が停電?

 今回の地震では北海道のほぼ全域が停電するブラックアウトが起きた。苫東厚真発電所が地震で停止したが、この発電所で北海道のほぼ半分の電気を供給していた。そこが止まったため需要と供給のバランスが崩れてしまった。バランスが崩れると、発電所のタービンが壊れる可能性などがあり、自衛のために、ほかの発電所も相次いで停止。そしてブラックアウトが起きた。発電所が止まってブラックアウトが起きるのは初めてのことだった。
 今、北海道には泊原発があるが再稼働しておらず、苫東厚真発電所に頼らざるを得なかった。そこで考え方が分かれて、「だから原発が必要だ」という意見と、「原発に頼っているからこうなるのだ、もっとバランスよく発電所をつくればいいのじゃないか」という意見が出てくる。
 また、停電したときに気を付けるべきなのが通電火災。電気が戻った時に電気ストーブなどから火災が起きる恐れがあり、阪神淡路大震災のときに注目された現象だ。避難する前にブレーカーを落としておけば防げるので、「今、ぐらっと揺れたらどうしよう」など、普段からシミュレーションしておくと良い。

想定を大きくし巨大地震に備える

 最近、北海道では、十勝沖、根室沖、色丹島沖および択捉島沖のエリアでマグニチュード8.8程度以上の超巨大地震が起きる可能性が指摘されている。東日本大震災では3つの震源域が動いて、大きな被害が出た。東海地震、東南海地震、南海地震もそれぞれ別々に起きるだけでなく、全部一度に動くかもしれないということで、南海トラフ巨大地震という言い方がされるようになってきた。想定外ということをなくすため、大きな想定で地震に備えようということになっている。北海道でも同じで、大きな想定で考えようということになってきている。
 大地震の際の避難場所の確認や、ばらばらにいたときに落ち合う具体的な場所など、家族で改めて話し合っておくことが重要だ。


「生!池上彰×山里亮太」月1回、金曜日深夜0時20分放送
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