"安倍流"は変わるのか? 自民党総裁選

池上彰のニュース解説が読める!「生!池上彰×山里亮太」

2018/09/06 19:00

 9月7日告示、20日投開票で自民党総裁選挙が行われる。連続3回目の当選を目指す安倍総理。それに挑む石破元幹事長。国会議員票405、地方票405、合わせて810票の争奪戦が始まっている。安倍総理は既に国会議員票の約7割を固めたと言われおり、焦点は地方の405票の行方。党員票である地方票がどちらの候補を支持するのか。結果次第では今後の政治のあり様を大きく左右される自民党総裁選について、8月24日放送の『生!池上彰×山里亮太』で池上彰が解説した。

総裁選に立候補するのは安倍、石破の2人に

 当初、今回の自民党総裁選には、安倍総理、石破元幹事長のほか、岸田政調会長も立候補を目指していた。また、野田総務相も立候補を模索。しかし、岸田氏は出馬を断念し、安倍氏を支持することを決めた。総裁になるのを諦めたわけではなく、次以降のチャンスを待とうという戦略だ。
 一方、野田氏。立候補に必要な国会議員20人以上の推薦を集められず、出馬を断念。この結果、最終的に安倍氏と石破氏の一騎打ちになった。

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国会議員票で圧倒的優勢な安倍氏

 では、どちらが優勢なのか。ポイントとなるのが派閥だ。安倍氏には、出身派閥である細田派、麻生派、二階派、石原派と、これだけの派閥がついている。一方、石破氏を支持するのは自身の石破派と、竹下派。ところが、安倍氏にも竹下派がついている。どういうことかというと、竹下派の参院議員が石破氏を応援し、竹下派の衆院議員は安倍氏を応援しようということになっているのだ。
 竹下派でなぜ支持が割れたのか? 理由は2つあると言われている。
ひとつは、来年の参院議員選挙。今は安倍総理の支持率が高いが、森友問題や加計問題などで安倍総理に飽きてしまった国民もいるんじゃないか?と選挙を控えている議員たちが感じたということ。もうひとつは、政界引退後もかつてのドンとして存在感を示す青木幹雄氏。彼の息子が、石破氏の地元・鳥取と合区になった島根から参院議員になっていて、石破氏が応援した。その見返りという見方だ。この結果、竹下派は衆院議員と参院議員で対応が分かれてしまった。
 応援についた派閥からみると、安倍氏は国会議員の7割の支持を得たとみられている。圧倒的に安倍氏が有利な状況だ。では、石破氏にまったく勝ち目がないのだろうか。

地方票に賭ける石破氏

 総裁の選出方法は、以前は無投票だったが、前回の2015年から変わっている。それは国会議員票と同じ数の票を地方に与えたということ。以前は地方票は国会議員票よりも少なかった。この比重が増した地方票が石破氏に動けば、簡単に安倍氏圧勝とはいかない可能性もある。
 石破氏は2012年の総裁選にも出馬し、地方票で安倍氏を大きく上回った。このときは地方票の比重が小さく、決選投票になり、最終的に安倍氏に負けたが、今回も地方票の行方には注目が集まっている。小泉純一郎氏は総裁選に3回挑戦し、3回目で地方票を圧倒的に取った。今の内閣で、石破氏は大臣から外れ自由な立場に。そこで全国をまわり、全国の自民党の議員から人気があるのだ。一方、安倍陣営は圧勝を目指していて、前回はまわらなかった地方を今回は安倍氏もまわっている。
 もし石破氏と安倍氏が競るようであれば、来年の参議院選挙で自民党が敗北した時、自分に次の目があると石破氏はみているのでないだろうか。
 日本の場合は、自民党の総裁が、そのまま総理大臣になる。自民党総裁選とはすなわち次の総理を決める選挙。「安倍に逆らう人は冷や飯を食うのは当然だ」という派閥の領袖もいて、総裁選には結構人間ドラマがある。


『生!池上彰×山里亮太』は月1回、金曜日深夜0時20分放送
ニュースの見方が変わる! ニュースは難しくない!
そのときどきのホットなニュースを池上彰が生放送で解説する。


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