9月26日(金)公開の映画「THE オリバーな犬、(Gosh!!) このヤロウ MOVIE」では監督も務める俳優のオダギリジョーが、8月10日に放送された「日曜日の初耳学」に出演。MC・林修を聞き役に、出演作品選びの根底にある信念や、過去作品のエピソードを打ち明けた。歯に衣着せぬ語り口の中にも映画への愛情が詰まったトークに、視聴者からも「『わかる、わかる』って言いながら見ていた」「有言実行でカッコいい!」といった共感の声が飛び交った。
■映画「ゆれる」で「燃え尽きちゃった」
序盤から「"流行り"とかがすごく嫌いなんです。『大多数が良いっていうものが良いわけないだろう』と思っちゃうんです」「それぞれの個性で感じるべきであって、大多数の意見に流されたくないんです」と、ゆるぎない思いを語り始めたオダギリ。
中でも、規模の大きな作品に抵抗があるという。「多くの方に見てもらうために、より分かりやすく、より平べったく作るから、深いところを深められないはずだと思っていて。ミニシアター系の、とことん深掘りできる作品にかかわっていきたいタイプですね」と、ミニシアター系作品に好んで出演する理由を率直に語った。
そんなオダギリの初主演映画が2003年の「アカルイミライ」。「今振り返っても、かなり重要な作品。自分の俳優人生でトップ3に残る一つかなと思っています」というこの作品で、彼はカンヌ国際映画祭のレッドカーペットを踏んだ。
その後も、主演映画「BIG RIVER」がベルリン国際映画祭、「ゆれる」がカンヌ国際映画祭に正式出品されるなど、"世界三大映画祭"への選出作品も多い。中でも主演映画「ゆれる」は「これ以上の作品があるだろうかと(撮影後)燃え尽きてしまったんです。ミニシアター系の作品にかかわりたいという思いを『ゆれる』がかなえてしまったんです。この先もう無理かも、と思っちゃいました」と語るほど、すべてを注ぎ込んだ作品になったという。
■「あまりに被りすぎている。ずっと断り続けていた」作品とは
徹底してミニシアター系作品に出演してきたオダギリが出演した数少ない"大作"のひとつが、映画「東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~」(2007年)。リリー・フランキーの同名小説を原作にした作品で、オダギリ演じる主人公"ボク"と、樹木希林演じる"オカン"による、病を患う母とそれを看取る息子の物語だ。
実はこの作品への出演をオダギリは「ずっと断り続けていた」のだという。「うちの母親も体調が悪くて入院していたんです。とてもじゃない、今この作品を演じられる精神状態にない、あまりに(状況が)被りすぎていると、ずっと断り続けていたんです」。自身の境遇と重ねてしまい、出演をためらっていたという。
出演を決めたのは、その母の言葉だった。「見舞いに行ったら母が原作を読んでいて。私のせいでできないのはもったいないから、絶対にやってほしいと本人から言われまして、母親の最後の望みとして、これをやってあげるのが親孝行なのかもしれないな、と思って」。母への思いが伝わるエピソードに、スタジオからも感嘆の声が上がった。
■「『ごめ~ん』って言ってもう一回入ってもらいました」
番組では、「時効警察」シリーズでの共演をはじめオダギリと公私にわたり20年来の付き合いがある"盟友"麻生久美子がVTRでコメントを寄せた。
オダギリについて「何でもできる人です。何でもできるけど、あんまりしない人」と評した麻生。オダギリにこれだけは言いたいという"クレーム"も飛び出した。
それは、オダギリが演出・脚本・編集を手掛けた2021年のNHKドラマ「オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ」製作時のエピソード。麻生曰く、「最初お話をいただいて『やりたい』と思って、普通に進むものだと思っていたら、ある時呼び出されて」「だんだん嫌な予感がしてきて...『私のこと降ろそうと思ってる?』って聞いたら『いやぁ、ちょっと今回は麻生さんに降りてもらおうかなと』って(笑)」。一度決まった出演が白紙になるという衝撃の事件が舞台裏で起こっていたという。
もちろんこれも、今では笑い話。オダギリは「麻生さんは天才なんですよ。自分が勝負だと思っていた"オリバーな犬"には絶対に麻生さんが必要だったんです。麻生さんに当て書きして(脚本も)書いたんですけど、ふと、あれ、でもこれ『時効警察っぽくないか?』と思って」と事件の真相を語りつつも「でもやっぱり麻生さんしかこの役を演じられないんですよね。『ごめ~ん』って言ってもう一回入ってもらいました」と笑顔で打ち明けた。
そんな大技も、オダギリの作品への深い愛情とこだわり、チャーミングなキャラクターがなせるわざ。麻生との信頼関係まで感じられるエピソードに、視聴者からも「やっぱりこの2人、最高のコンビ」「お互いについて語るオダギリジョーと麻生久美子のトークずっと聞いていたい」の声が上がった。
■「自分に影響を与えるものこそが映画であってほしい」
映画に携わり続ける中で今、オダギリは映画界に危機感を覚えているという。「簡単に答えを渡してくる映画が多すぎて、僕は今、それがつまらないんですよね。もっといろいろなものを受けて感じたり考えたり、自分に影響を与えるものこそが映画であってほしいと思うんです」という。
そんな、オダギリジョーの映画人としての矜持が詰まったインタビューに、視聴者からも「いつも感じてることを言ってくれて、テレビの前で首がもげるほど頷いた」「いいものはいい、嫌なものは嫌、とはっきり言ってそれを実行していく有言実行の人。カッコいい」といった共感の声が飛び交っていた。
このほか、オダギリジョーの映画への強い信念、そしてそんな彼を形成した若き日のアメリカ留学エピソードなど、彼の人となりに深く迫ったインタビューの全編がTVerで配信中。
(MBSテレビ「日曜日の初耳学」2025年8月10日放送より)
無料見逃し配信はTVerで2025年9月7日(日)まで
オダギリジョー 編!
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「日曜日の初耳学」はMBS/TBS系で毎週日曜よる10時放送。
公式HPはこちら。