「初回睡眠率ほぼ100%」TRFのSAMが能に魅せられた理由

日曜日の初耳学 復習編

2020/02/08 16:00

2月2日放送の「林先生の初耳学」に“能フリーク”として登場したのは、人気ダンス&ボーカルグループ・TRFのダンサーSAM。昨年、57歳にして能楽の門を叩いたSAMが、その奥深い魅力を解説した。“初回睡眠率ほぼ100%”とイジられながらもその歴史は古く、芸への道は奥深い。基本動作“すり足”が難しすぎて「ムーンウォークになっちゃう」というSAMにスタジオ総ツッコミ!

"血"が引き寄せた縁
昨年3月、57歳で能楽の世界に飛び込んだSAM。名門・宝生流に入門し、半年後の9月には初舞台を踏んで正式にデビューした。
「実は、先祖にけっこう有名な能楽師の方がいたことがわかって。そういう血を引いてるんだったら、自分でもやってみようかと」と縁を感じたことが決め手だったという。
初舞台には、TRFのメンバーも応援に駆け付けた。「ダンスのステージは普段緊張しないんですけど、(能の初舞台は)めちゃくちゃ緊張しました。メンバーが目の前にいたりして」と苦笑いで振り返った。
SAMといえば、ダンサーとして四半世紀以上、第一線で活躍する"身体表現のプロ"。入門半年でデビューという急成長ぶりに、師匠である宝生流シテ方・佐野登さんも「とても見て真似るのがうまいです。普通じゃできないことを短期間でできるようになりましたね」と太鼓判を押す。

ムーンウォークになっちゃう!?
「能とダンスってどういうところが違います?」(中島健人)という質問に、SAMが挙げたのは所作の難しさ。
基本動作の"すり足"について、「少し膝を曲げて、前傾で...。僕ら(ダンサー)で言うと、ムーンウォークってありますよね。(すり足は)見れば見るほど難しくて、こう(ムーンウォークに)なっちゃうんです」と、一流ダンサーならではのジョークも交え、実演解説してみせた。
これにはスタジオゲスト陣から「そっちの方が難しそうやのに」(千原ジュニア)とツッコミも。林先生が「逆に(ダンサーとして)身体がよく動くように訓練されてるから、(能の動きは)それを抑え込む分普通の人より難しいのかもしれないですね」と指摘すると、SAMは「そうかもしれないですね」と実感を込めて頷いた。

「能は寝てもいい」って本当?
静かな空間で淡々と進行するイメージのある能。実際、演者から見ても「初回睡眠率はほぼ100%」(SAM)なのだとか。
能を鑑賞したことがあるかと問われた林先生は「能についての文章って入試でけっこう出るんですよ。で、20年くらい前に観に行きましたけど、途中から記憶がなくなりましたね...」としどろもどろ。
SAMも「失礼な話なんですけど、初めて能を見させていただいたとき、やっぱり寝ちゃいましたね」と打ち明けるなど、スタジオは"初回睡眠率ほぼ100%"の信ぴょう性を裏づける展開に。佐野さんも「(寝ている人は)わかりますね。いびきも時々聞こえます」と証言した。
林先生が「大学時代に日本文学の教授が『能は寝ていいんだ』とはっきりおっしゃったんですが、どうなんですか?」と率直に尋ねると、佐野さんは「能は(天狗や鬼、幽霊など)夢の中の話を演じてますので、時にこう、うつろうつろ...そういう世界に入っていくことは、見方としてかまわないと思います」と意外な回答。能の懐の深さに、スタジオからは驚きの声が上がった。

初心者は能面がつけられない!
ほとんどセリフがなく音楽と歌で表現する能は、いわばミュージカル。狂言では使われる「ドブドブ(酒を注ぐ音)」などの擬音語も能では一切口にできないなど、言葉による表現という点では制約も多い。
その制約と引き換えに磨かれてきたのが、視覚的な表現の数々。人気演目「道成寺」では巨大な釣り鐘の中に飛び込み衣装を早替えしたり、仕掛けも迫力満点だ。
そして、能にもっとも欠かせないのが能面。およそ250種類以上ある面それぞれにキャラクター付けがされ、「ある程度のレベルにいかないと面はつけられない」(SAM)。中でも、神を擬人化したとされる「翁」の面などは、主役級でも位の高い人にしか許されないという。
「僕はまだ全然です。まずは面をつけて演じるところまでいきたいというのが今の目標ですね」。能の奥深さに魅せられ謙虚に未来を語るSAMに、視聴者からも「SAMさんカッコいい!」「西洋のダンスを極めた人がこの年齢で日本の伝統芸能にハマるというのが味わい深い」といった感嘆の声が上がっていた。

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次回の「林先生の初耳学」は2月9日(日)に放送。デヴィ夫人が世界の王室の結婚事情を解説。"7歳でプロポーズ""バーでナンパ"など驚きのエピソードが登場!人気コーナー「中島健人の令和のお仕事ピーポー」も放送する。
【動画】

「林先生の初耳学」はMBS/TBS系で毎週日曜よる10時放送。博学で知られる林先生でさえ知らなかった知識を"初耳学"に認定する。
https://www.mbs.jp/mimi/

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