MBS 毎日放送

2018年08月04日 05時30分 公開

39歳天才クライマーが「魔の山」K2の底なし氷河を撮影

未踏峰・未踏ルートにこだわり、世界が驚く数々の新ルートを制覇してきた登山家の平出和也。登山界のアカデミー賞と言われる「ピオレドール賞」を日本人として初受賞し、近年益々挑戦的な登山をする一方、山岳カメラマンとして自らの登はん映像を撮影する平出には海外からも依頼が舞い込む。7月29日放送のドキュメンタリー番組「情熱大陸」では、世界第2の高さを誇るパキスタン・K2の新ルートを探す旅を追い、彼らが撮影した通称“魔の山”の迫力溢れる映像に視聴者からは驚きの声が上がった。

難攻不落のシスパーレ攻略後に燃え尽きた男。39歳の「自分探し」

去年の夏、パキスタン・カラコルム山脈にそびえる標高7611mの鋭鋒「シスパーレ」を、平出は難攻不落といわれた北東壁から攻略した。氷と岩が入り組んだ垂直の壁を這いつくばり、成功までに実に15年もの年月を費やしたビッグプロジェクトだ。世界はこの快挙を絶賛し、クライマー人生で最高の時を迎えたはずの平出だったが、登頂から1年、平出は悶々とした日々を送っていた。

「(シスパーレの登頂以来)全然頑張れない。あまりに強烈すぎて燃え尽きしてしまった。次に(自分は)何をしたいのか...」

39歳にもなってまだ自分探しの旅をしていると苦笑いする平出。だがやはり、山に魅了された男が挑むのは更なる困難を伴う山。平出が次に狙いを定めたのはパキスタンの奥地に位置する標高8611m、世界第2の高さを誇る「K2」だった。高さこそエヴェレストより低いものの、厳しい気候条件や雪崩、滑落の危険性、遭難者が極めて多いことから世界で最も登るのが難しいとされ、「非情の山」とも「魔の山」とも呼ばれている。

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こだわるのは、誰も足を踏み入れたことがない人類未踏の新ルートでの登頂だ。当然、資料や写真は少なく、参考にできるのは衛星写真のみ。「登ってみないことにはわからない」まずは新ルートを見つけるため、平出は1ヶ月かけて視察の旅に出かけた。

カメラが捉えたクレバス落下の瞬間

1954年の初登頂以来、K2にはいくつかの登山ルートが開かれており登山家の多くは「南東面」を目指すのが常識だ。しかし平出は頂上を西に大きく回り込んだ「西南西壁」からのアタックを試みようとしていた。登頂に成功すれば勿論世界初の快挙だ。登るどころか、西南西壁からK2を撮影したものすら誰もいない。

「どうしても身の丈を超えるような挑戦にレベルアップしていく。もっと出来るんじゃないかという錯覚を起こしてしまう。でも冒険の中でそれをやるのは自分の命がかかってくるのでとてもリスキーなのでバランスを探らないといけないんですけど・・」

旅のパートナーは、6年来の相棒である登山家で山岳カメラマンの中島健郎だ。あたりは一面の氷河。不気味な音が鳴り響く中、互いの体をロープででつなぎ、幅40cmほどの氷の上を進んで行く。足を踏み外せばひとたまりもない。まさに道なき道・・・。
入山から11日目、ついに恐れていた瞬間が訪れる。慎重に足場を確認したはずの中島が、一瞬にしてクレバスに落下してしまったのだ。

「おーーーーーい!!」

中島は大声をあげ、地上の平井に無事を伝える。落下したのは氷壁と氷壁のおよそ50㎝程度の隙間だった。真下に見える暗闇は数百メートルにも及びそうだ。今にもパニックに陥りそうな状況にもかかわらず、地上で命綱を握る平出と共に冷静に対処し15分後、見事脱出した。

その後も悪天候をテントでしのぎながら更なる奥地を目指し、ついに西南西壁からK2頂上を目指すルートの全貌が見える瞬間がやってきた。
姿を現したのは傾斜70度以上の超急斜面と、殆ど日のあたらない極限の世界。

「あー見えてしまった!見えたし、見てしまった・・見れば見るほど恐ろしいね」

これまでにない迫力に圧倒されながらも、平出の顔は完全に輝きを取り戻していた。

「そんなに簡単に終わるようなことをやってないと思っているし、こうやって楽しんでいるうちはずっと続けるんじゃないかな。楽しくなくなったら終わるとき。決して死ぬときが終わるときではない」

番組放送後、SNSなどでは、「底なしクレバスの恐ろしさと、冷静に対処する姿に感動」「クレバスに落ちた瞬間の映像恐ろしすぎる」など平出たちが撮影した映像の迫力に圧倒されたというコメントが相次いだ。


「情熱大陸」はスポーツ・芸能・文化・医療などジャンルを問わず各分野で第一線を走る人物に密着したドキュメンタリー番組。MBS/TBS系で毎週日曜よる11時放送。

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