週刊少年ジャンプで長期連載、シリーズ累計1200万部という作品が実写化された「ニセコイ」。極道の一人息子だが勉強一筋のもやしっ子(中島健人)と、金髪&ハーフのケンカっ早いギャングの一人娘(中条あやみ)が、親の組織の抗争を回避するため、偽物の恋人=「ニセコイ」のフリをする。12月21日の公開を前に、その魅力のほんの一部をご紹介。
先入観を裏切られる!?「ニセコイ」の魅力とは
少女コミック映画化全盛のいま、あえて少年マンガ原作、である。小さな違いだと思ってはならない、少女コミックと少年マンガは、「めっちゃ違う」。なのでこの映画も、「マンガ原作なんっしょー?」と"いわゆる系"の見方をすると、かなり裏切られる。ふわふわドリーミーな綿菓子的空気は、ない。足をくじいて歩けずにうずくまっていたら"気になる男子"が探しに来てくれて(→たいてい、どこで調達したのか懐中電灯を手に!)おんぶしてくれる、って、んなもん、実際に起きた女子がいるならここに連れて来―い!と常々思っていた人たちにとって(そもそも足くじいたくらいでほんとに歩けないか?)、この世界観はある意味朗報ではないかと思っていた。が......なんと。「幼い頃に一瞬出会った男の子を、高校生の今も一途に思い続けている美少女」なんてのが出てくる。んなもん、いるかー!白馬の王子様より寒いわー!ってまぁ、これは男子版綿菓子世界なんだろう。是。
まるで「2.5次元舞台」を観ているよう
お伝えすべきはしかし、そんなことではない。この映画の特徴は、なんといっても「2.5次元ぽさ」である。制服も髪型も小道具も、すべて原作コミックに忠実。それを着けて演者が動き始めると、2.5次元舞台のよう。2次元(コミック)を2.5次元ぽくして、さらに2次元(映画)に戻す、という手の込みようがいい(三年かけて漬けた梅干を、食べやすいよう塩抜きして、「梅チャーハン」の具にする前にまた塩コショウする、みたいな)。加えて『アメリ』並みの妄想シーン。少女コミックにはないタイプの、雑なPOPさがすばらしい。そのくせ、終盤は意外に正統ロマンティック。そりゃケンティーだもの、「見せ場」は作らねば。ということで王子様風味もわりと濃厚にちゃんと付いているので、安心して見られるだろう。
中島健人&中条あやみがハマっている
そう、後になったが、主演は中島健人&中条あやみだ。コミックの実写化となると一番気になるのが、配役は大丈夫か問題である。人気コミックであればあるほど問題だ。コミックのほうが「本物」である以上、"どんなキャストもミスキャスト"という宿命を背負っているのが実写化、つまりは誰が演じてもそっちは「ニセモノ」。......のはずなのに、この映画にはそのニセモノ感がない。ニセコイなのに。実はこれはそうした境界を自由に行き来できる原作のスゴさ、なのかもしれない。原作者も数度撮影現場を訪れたというこの作品、これなら、「実写化してほしいコミックは?」に名前を挙げておきながらいざ実写化されるとボロクソこき下ろすめんどくさい(厳しい?)人たちでも、こき下ろし不可、だろう。ってか、中条あやみ以外の誰にこの役ができるんだ!?彼女の登場を待っていた、という点で、まさに今しか作れなかった映画、なのかもしれない。
12月21日(金) 全国ロードショー
出演:中島健人 中条あやみ
池間夏海 島崎遥香 岸優太(King & Prince)/ DAIGO ほか
原作:古味直志「ニセコイ」(集英社ジャンプコミックス刊)
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