鍛金職人・寺地伸行 #68 2017年09月10日(日)放送
鍛金とはアルミや銅、真鍮などの素材となる鉄の板を打ち延べて、鍋などを成形する伝統技法。その発祥は紀元前ともいわれており、武具や仏教美術にも取り入れられてきました。
鍛金職人の寺地伸行さんは、祖父の代から三代続く鍛金職人の家系に生まれた当代。国宝・三十三間堂の西側に「WEST SIDE 33」という鍛金専門店を構え、鍋に代表される調理器具を日々制作しています。
鍛金の魅力を「思い通りの形に成形できること」だと語る寺地さん。金属を叩き鍛える音だけで、それが上手に打てているのかを判断できるといいます。
職人技で作られた鍛金鍋は、厚みが均一。調理の際にムラなく火が通るとされ、料理人の間では寺地さんが作った鍋が、広く愛用されています。その一人が、ミシュラン三ツ星料亭「菊乃井」主人の村田吉弘さん。「包丁に料理人の魂がこもるように、当然鍋にも魂が入る」と語る村田さんは、寺地さんの父である先代のころからの付き合い。菊乃井では特注の鍋など、数多くの鍛金調理器具を寺地さんが作ってきました。
そんな当代、寺地伸行さんが力を入れているのが「ライフスタイルに溶け込んだ鍛金」。従来、鍋のような調理器具がメインだった鍛金に新しい風を吹き込むものとして注目されています。
番組では、鍛金職人として第一線で活躍する、そんな寺地伸行さんの日常を紹介します。
【INFORMATION】
鍛金工房WEST SIDE 33
〒605-0943 京都府京都市東山区大和大路通七条下ル七軒町578