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『理財局長の指示』『修正には疑問』改ざんの経緯記した「赤木ファイル」 残されたメールから見えてきた"改ざんの実態"

2020年06月23日(火)放送

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 森友学園の国有地売却を巡る財務省の決裁文書改ざん問題で、改ざんを命じられた近畿財務局の元職員・赤木俊夫さん(当時54)は自ら命を絶った。妻・雅子さんが、国と佐川宣寿元理財局長に対して損害賠償を求めて起こしている裁判で、改ざんの経緯を記したとされる「赤木ファイル」が6月22日に国側から雅子さんに開示された。改ざん実行から4年以上を経て中身が明らかになった「赤木ファイル」の中身について検証した。

涙を流しながら書かれた「手記」

 近畿財務局の職員だった赤木俊夫さん(当時54)は、2018年3月に自ら命を絶った。俊夫さんの妻・雅子さんが2021年6月18日にМBSの取材に応じた。
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 (赤木雅子さん 2021年6月18日)
 「今日は結婚記念日だったので、改めて手を合わせてよかったと思います。ずっと一緒にいられることが私の生活になっています」
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 俊夫さんが雅子さんに託した手書きの「手記」。そこには次のように記されていた。
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 【手記に書かれていた内容(一部抜粋・原文ママ)】
 「今回の問題はすべて理財局が行いました」
 「指示もとは、佐川元理財局長と思います」
 「これが財務官僚王国。最後は下部がしっぽを切られる」
 「なんて世の中だ」
 「事実を知ってる者として責任を取ります」

 (赤木雅子さん 2021年6月18日)
 「字を見ると夫の生きてきた証というか夫の字なので。手が震えているような感じがしますね」

 そして、「手記」の中で妻・雅子さんに向けて書かれた部分では次のように書かれていました。
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 【手記に書かれていた内容(一部抜粋)】
 「雅子へ これまで本当にありがとう ゴメンなさい 恐いよ」
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 (赤木雅子さん 2021年6月18日)
 「手記の字は涙を流しながら書き残してくれたんだと思います。こういうこと(公文書改ざん)が二度とないことを夫は考えていたと思うので、それ(手記)を公にすることが私の生きていた間にやるべき仕事だなと思っています」

“政治家の名前などが削除”14件の公文書改ざん

 大阪府豊中市で小学校の開校を目指していた森友学園に約8億円値引きして国有地が売却されていた問題で、2017年に財務省の決裁文書14件が改ざんされていた。

 その発端とされているのが、2017年2月17日に安倍晋三首相(当時)が行った次の発言だった。
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 (安倍晋三首相(当時) 2017年2月17日)
 「私や妻が関係していたということになれば、これはもうまさに間違いなく総理大臣も国会議員も辞めるということははっきりと申し上げておきたい」
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 安倍晋三首相(当時)の妻・昭恵氏は森友学園の小学校の名誉校長に就任していた。
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 改ざん前の決裁文書を見ると、国会議員の名前や昭恵氏の名前が記載されているが、改ざん後、その文章が消されている。
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 さらに、国有地の貸し付け契約を結んだ際の決裁文書では『特例的な内容』や『本件の特殊性』などという文言が削除されていた。

調査報告書 佐川元理財局長「外に出すべきでない」と反応後 改ざんを指示

 財務省は俊夫さんの死から3か月後の2017年6月4日に改ざん問題に関する調査報告書を公表している。報告書によると、佐川宣寿元理財局長が決裁文書について「外に出すべきではない」と反応、反応を受けた財務省理財局の総務課長らが「(文書の内容を)直す必要がある」と認識し、近畿財務局に改ざんを指示したとされている。しかし、誰がどんな言葉で指示し、実行させたのかなど具体的なやり取りは明らかにしていない。

改ざんの経緯記した『赤木ファイル』雅子さん「夫の苦しみを知る唯一のもの」

 妻の雅子さんは生前、俊夫さんから改ざんの経緯について記した「赤木ファイル」の存在について聞いていたという。

 (赤木雅子さん 2021年6月18日)
 「夫が亡くなった原因は間違いなく改ざんをしたことです。夫も私にそれを残したと伝えているので、それを見ることが私にとってはとても大事なことで、夫の苦しみを知る唯一のものになるんじゃないかと思います」

 これまでの裁判で雅子さんは、国側に対して「赤木ファイル」の提出を求めていた。しかし、国側は『改ざんの経緯について争いはない』として存在の有無を明らかにしてこなかった。

公開された「赤木ファイル」 本省の指示から数時間以内に改ざんが実行

 6月22日に国側は雅子さん側に「赤木ファイル」を初めて開示した。開示されたファイルは518ページにも及んでいた。ファイルの中には財務省本省と近畿財務局との間のメールが残されていた。そのうち、2017年2月26日の午後3時48分に財務省本省から近畿財務局に送られたメールには、次にような文言で改ざんが指示されていた。
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 【財務省本省から近畿財務局に送られたメール(2017年2月26日午後3時48分)】
 「近畿局の皆様。いつも大変お世話になっております」
 「現時点で削除した方が良いと思われる箇所があります」
 「当該箇所をマーキングしておきましたので修正・差し替えするとともに当該修正後の文書を本省にメール送付いただけますでしょうか」
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 メールに添付されていたのは、森友学園の概要が記された文書。国会議員の名前や、これまでの経緯として安倍昭恵氏が現地を視察した内容などがマーキングされていた。

 このメールが届いた2017年2月26日、俊夫さんは休日だったことから雅子さんと神戸市内の公園にいた。その際に俊夫さんは、直属の上司からの呼び出しを受けて職場である近畿財務局に駆け付けていた。その当時のことが赤木ファイルに記されている。
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 【赤木ファイルに記された内容(一部抜粋)】
 「日曜日の夕刻、本省からの指示を受け、急きょ登庁」
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 財務省本省から近畿財務局に送られた2月26日の午後3時48分に送られたメールから、約1時間半後の午後5時5分に『学園の概要は廃棄済み』、『経緯は廃棄、調書上別紙2はないので整合性も問題なし』と近畿財務局から財務省本省の担当者宛にメールが返信されている。
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 さらに、午後6時45分に赤木さんも決裁文書の修正版を東京へメールしていた。
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 その後、財務省本省から3度、訂正や修正の指示があり、午後8時59分に赤木さんは再度経緯などを修正した文書を送っている。わずか半日足らずで東京から大阪に出された改ざんの指示が実行されていたのだ。
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 (赤木雅子さん 2021年6月22日)
 「その日、無理やりやらせたんでしょうね。夫も抵抗したとはいえやってしまったんだな。これを差し替えろとかこれを消せとか指示が来たのだなと思うと悲しいです。辛かったと思います」

改ざん実行約1か月後のメール 佐川元理財局長から“直接の指示”

 改ざんが実行されてから約1か月後の2017年3月20日。財務省本省から赤木さんらに次のようなメールが届いていた。
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 【財務省本省から近畿財務局に送られたメール(2017年3月20日)】
 「局長からの指示により調書につきましては、現在までの国会答弁を踏まえた上で、作成するよう直接指示がありましたので、改めて、調書を修正後、局長説明を行う予定です」

 決裁文書の改ざんは佐川元理財局長からの指示だった。
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 財務省とのメールの中で、俊夫さんが一言、指示に抵抗する内容を送っている。
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 【俊夫さんが財務省本省に送ったメールの内容(2017年3月8日)】
 「既に意思決定した調書を修正することに疑問が残る」

 俊夫さんが本省に抵抗する内容を送ったメールについて雅子さんは次のように話しました。

 (雅子さん 2021年6月22日)
 「夫はこうやって抵抗していたと思うし、やりたくなかったし、やるべきじゃないということを伝えたのに。とっても何とも言えない気持ちです」

ファイル開示後初の裁判 国「ファイルで綴じられている物は全て交付した」

 6月23日、雅子さんが佐川元理財局長や国に対して損害賠償を求めた裁判の第4回口頭弁論が開かれた。法廷で雅子さん側は国に対し、「赤木ファイルはこれで全てか」と尋ねたところ、国側は「ファイルで綴じられているものを全て交付した。これ以上の確認は必要ない」と答えた。
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 その後、雅子さんは法廷で「改ざんの具体的経緯を明らかにしないことは『国民の疑惑や不信を招くような行為』」だとして、「財務省内部のメールなどを提出してほしい、ファイルの全てが開示されたか明らかではないのでファイルの原本を確認したい」と要望しました。

 4年以上が経って明らかになってきた具体的な経緯。改ざんの引き金は、結局、官僚による忖度だったのか?未だに多くの疑問が残されたままだ。

 (6月23日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」内『特命取材班スクープ』より)

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