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「勤務中に涙が出てくる」重症患者受け入れ病院も"限界" ひっ迫する神戸のコロナ病床

2021年05月13日(木)放送

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新型コロナウイルスの感染拡大で、神戸市では病床が全く足りておらず、本来入院治療が必要な患者が入院できている割合は18%(5月12日時点)にとどまっています。コロナ患者を受け入れている市内の中核病院2か所を取材すると、緊急事態宣言下でひっ迫する医療現場の実態が見えてきました。

交通事故の患者を受け入れられない事態に

今年4月末、神戸市立病院を取りまとめる「神戸市民病院機構」の理事長が、ひっ迫する現場の声を切実に訴えました。

(神戸市民病院機構 橋本信夫理事長)
「心が折れそうです。これはどういうことかというと、やはり、命の選択をしなきゃいけない。市民病院としては正直なところ限界」
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今、医療現場はどんな状況なのでしょうか。神戸の市立病院の1つである西神戸医療センターは、主に神戸市西区・垂水区・北区などの住民が利用する総合病院です。中等症以下のコロナ患者を受け入れることになっていますが、人工呼吸器につなぐ必要がある重症患者も次々と運び込まれてきます。
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変異ウイルスの影響もあり、第4波では重症患者が急増しているため、受け入れざるを得ないのです。感染防止対策室長として院内の指揮を執る磯目賢一医師は次のように話します。

(感染防止対策室・室長 磯目賢一医師)
「僕らはやれることをやりたいし、1人でも助けたいと思っている。ですが、さすがに全体のキャパを超えていることは間違いないので」
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この病院では去年3月からコロナ患者の受け入れを開始。475床ある病床のうち45床をコロナ患者用に割り当てていますが、その分、通常医療を制限せざるを得ない状況が続いています。

(感染防止対策室・室長 磯目賢一医師)
「コロナと全く関係ない交通事故の患者さんを受け入れる場所が埋まってしまうので、受け入れられない事態が起きています。現実にそれが起きているし、とっくに医療崩壊しかけているので、全診療科に協力をお願いして、入院予定患者数を削減してもらうようにしているんですけれども、それでもう手遅れになってしまってということが毎日なんですよね」

異常事態と使命感の狭間で

重症患者を受け入れ続けてきた病院も限界に近づいています。今回、神戸市立医療センター中央市民病院に取材を申し込んだところ、記者1人だけという条件で院内の取材を許可されました。5月、記者が向かうと、院内はどのベッドも呼吸器でつながれた患者で埋まり、看護師がモニター越しに治療の様子をチェックしていました。この病院では今年3月末ごろからほぼ全ての病床が埋まり、重症患者でさえも受け入れを断らざるを得ない状態が続いているといいます。
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この病院の看護師・中谷愛さんは、元々ICU(集中治療室)で勤務していたため、去年の第1波のころからコロナ患者の看護にあたってきました。

―――レッドゾーンに入ったらどのくらい出てこられない?
(中央市民病院 中谷愛看護師)
「忙しい時は4時間とか。入りっぱなしですね、体が本当に疲れますね。入らない日はないですね。人出が足りないですし」
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中谷さんの知る限りでは、退職あるいは休職した看護師は6~7人に上っています。

(中央市民病院 中谷愛看護師)
「勤務中に涙が出てくる。異常な事態と、患者さまの重症度が高いし、使命感でやらないといけない気持ちもあるし。本当に泣きながら勤務しているという感じですね」
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重症患者が日々運び込まれてくる一方、看護師不足は深刻で、本来必要な看護を提供できなくなっているといいます。

(中央市民病院 中谷愛看護師)
「マンパワー的にどうしても無理なんです。必要な人全員にできないというのがあって、病院に入ってくるまでに命の選別があって。今までだったら全員で全力でできていたことが、今は選択しないといけないということがしんどいですね。コロナの患者さんは意識があってしゃべって、『頑張ろう』と思って、送管してそのまま(亡くなる)…という。そんな感じでしんどくなっていくスタッフが多いですね」

北海道や九州から派遣される看護師 気が休まることはない医療現場

こうしたひっ迫する医療体制を少しでも緩和しようと、神戸市は今年5月から派遣看護師の受け入れを始めました。

(中央市民病院の看護師)「何かご希望ありますか?」
     (派遣看護師)「ないです、何でも大丈夫です」
(中央市民病院の看護師)「14日2週間なので、夜勤はせずに日勤だけでお願いするかなと。こんな時期じゃなかったら(神戸を)楽しんでいただけるんですけど…」
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神戸市には、大学病院などから46人の派遣が予定されていますが、中央市民病院では取材日までに北海道や鹿児島県から6人の看護師が加わりました。

(鹿児島医療センター 野中美里看護師)
「鹿児島医療センターから参りました。自分で大丈夫なのかという不安がありましたが、ここで1か月間、尽力していこうという気持ちです」
(国立函館病院 藤尾彩子看護師)
「北海道の国立函館病院から来ました。怖さもありましたが、それよりも少しでもひっ迫している医療の助けになればいいかなと思って来ました」
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受け入れ期間は約2週間。いずれも即戦力として期待できる看護師ばかりです。

(中央市民病院 中谷愛看護師)
「集中治療をされている方で、すごい戦力で。2週間でいらっしゃってくれるみたいなんですが、もうちょっと…ずっといてほしいです」
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重症患者を受け持つ“最後の砦”。コロナが終息するまで気が休まることはありません。

(中央市民病院 中谷愛看護師)
「私も夢に出てくるんです、このレッドゾーンが。夢を見ながらも、しんどい思いをしながらも、常に現場では闘っているので。感染者数を減らしていくような社会にもっとなればいいなと思います」
―――定時だが、この後もまだ働く?
「そうなんです。定時では終わりません。まだまだ終わりません」

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