2025年10月27日(月)公開
【旧統一教会】"政界への働きかけ"今も続く? 教団の元広報部長が語る「狙うのは当選スレスレの議員。こちらから押しかける」 参院選でNHK党・浜田氏支援「教会員がシンパシー」
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安倍元総理銃撃事件から3年以上が過ぎた2025年10月28日、殺人罪などに問われている山上徹也被告の裁判がいよいよ始まります。 この事件をきっかけに、旧統一教会と自民党の“蜜月関係”が判明。当時の岸田政権は、旧統一教会や関連団体との「関係断絶」を宣言しました。しかし、今もまだ、教団側が政界への働きかけをはかっていることが分かってきました。 そもそもなぜ教団側は自民党に接近したのか?参院選でN党・浜田聡氏を支援したワケは?5年以上にわたり旧統一教会の広報部長を務めた男性など教団関係者を取材し、再浮上してきた『教団と政治の接点』に迫りました。
「母が多額の献金」旧統一教会に恨み…矛先は安倍元総理へ

2022年7月、奈良市の近鉄・大和西大寺駅前で参議院選挙の応援演説を行っていた安倍晋三元総理(当時67)。その最中に事件は起きました。
2回の爆音が響き渡り、騒然とする演説会場。後ろでは1人の男が取り押さえられていました。
選挙期間中に元総理を手製の銃で殺害するという前代未聞の凶行に及んだ山上徹也被告。山上被告は警察での捜査段階で、母親が入信した旧統一教会に恨みがあったと供述しました。
(山上徹也被告)「母が旧統一教会に多額の献金をし、お金がなかった。難病の兄が十分な治療を受けられず、苦しんで自殺した。私も大学に行くことができなかった」
2021年9月、旧統一教会の韓鶴子総裁が代表を務める関連団体に送られたビデオメッセージで「世界各地の紛争の解決、とりわけ朝鮮半島の平和的統一に向けて努力されてきた韓鶴子総裁をはじめ皆さまに敬意を表します」と語った安倍元総理。
山上被告は旧統一教会と強い繋がりがあると考え、安倍元総理を狙ったとみられています。
「マザームーンに花束をプレゼント」自民&教団の“蜜月関係”が判明

そして、事件をきっかけに自民党と教団側の“蜜月関係”が明らかに。旧統一教会主催のイベントに出席していた山本朋広元防衛副大臣や、安倍元総理の側近だった萩生田光一衆院議員など、党所属の国会議員179人に旧統一教会の関連団体などと接点があったことが党の調査で判明しました。
(山本朋広元防衛副大臣)「皆さまより一足お先にマザームーン(韓鶴子総裁)に先ほどカーネーションの花束をプレゼントさせていただきました」
“当選スレスレ”の議員に押しかけて支援「通った暁には憲法改正を」

なぜ教団側は自民党に接近したのでしょうか。MBSの取材班は、5年以上にわたり旧統一教会の広報部長を務めた男性の元を訪ねました。男性は選挙対策本部に入るなどして、自民党の候補者を応援していたといいます。
(旧統一教会 元広報部長の男性)「我々の目的は"憲法改正に賛成する議員さん”。(憲法改正には)3分の2が必要。憲法改正を求める議員さんをつくらないといけない。それを一番やってくれるのが自民党。それだけの話」
旧統一教会系の政治団体が、憲法9条への「自衛隊の明記」などが必要だとして「憲法改正」を目指していて、そのために自民党の政治家を支援していたといいます。中でも狙いをつけていたというのが…
(旧統一教会 元広報部長の男性)「自民党でも選挙に強い人はうちに何も頼ってこない。自分たちで勝てるわけですから。問題は『当選スレスレ』ですよ。こちらが押しかけていって、『危ないですよ。(選挙で)当選してください。当選した暁には憲法改正をやってください』と。だからみんな一生懸命にやるんです」
「過去を真摯に反省し、しがらみを捨て…」岸田元総理が“関係断絶”を宣言

関係を深めた教団と自民党。しかし、安倍元総理銃撃事件後、高額献金や霊感商法の被害、宗教2世の問題などが明るみに出ます。当時の岸田総理は、旧統一教会や関連団体との関係の「断絶」を宣言しました。
(岸田文雄総理 2022年8月)「所属国会議員は過去を真摯に反省し、しがらみを捨て、当該団体との関係を絶つこと」
「刑事的な問題はない」参院選で支援受けたNHK党

ところが、事件から約3年を経た今年6月、旧統一教会の2世信者たちが、東京地裁から受けた解散命令に反対するデモを大阪市内で行いました。
(Xより)「宗教弾圧は民主主義の危機です!」
その中で横断幕を持っていたのが、NHK党の前参院議員・浜田聡氏でした。
2025年7月の参院選前。浜田氏が所属するNHK党の立花孝志党首は「特定の宗教を応援するつもりはない」としつつ、旧統一教会には「民事的な問題」はあるものの「刑事的な問題」はないとして、組織的支援を受けることを明言しました。
(NHK党 立花孝志党首)「組織の応援をいただきます。あえて恐れずに言うと、旧統一教会、家庭連合の組織の応援をいただきます」
参院選の比例代表に立候補した浜田氏も支援を受けました。浜田氏は33万5000票余りを獲得しましたが、結果は落選。ただ、選挙後、旧統一教会系の政治団体が行った大会でこう述べました。
(NHK党 浜田聡氏)「ご協力あっての数字でございます。選挙期間中の選挙運動、多くのご支援をいただきました。本当にありがとうございました」
旧統一教会 支援のNHK党浜田氏は「解散命令請求のプロセスに疑義を唱えるなど、唯一正しい判断をされていた」

実は浜田氏は、参院選より前の2023年から、教団側と接点を持っていたといいます。
(NHK党 浜田聡氏)「(2023年の)参議院の予算委員会で質問をしました。『共産党を非合法化する方針はやるべきではないですか』と。それをきっかけに私に連絡をくださったというわけです」
浜田氏に連絡をしたのは旧統一教会系の政治団体「勝共連合」。「共産主義からの解放」を掲げる保守系の組織です。
その後、浜田氏は国会などで旧統一教会への解散命令に疑問を呈する質問を行ってきました。
(NHK党 浜田聡氏)「私の問題意識としては、旧統一教会を解散すべきという方向性に異を唱えるものでございます」
そんな中で行われた2025年の参院選。「勝共連合」から投票を呼びかけるハガキの送付などの選挙支援を受けたといいます。
(NHK党 浜田聡氏)「(ハガキは)NHK党だけで全部出そうとしていましたけど、勝共連合にもちかけたら、うちでもある程度担当しますということだったので、それで出してもらいました。『勝共連合』に協力する形で全国各地の教会などで講演しました。交通手段もセッティングしていただいた次第です」
再び浮かび上がってきた教団側と政治の接点。MBSの取材に対し、旧統一教会は「教団として特定の政治家や政党を支援いたしません」とする一方で、浜田氏については「解散命令請求のプロセスに疑義を唱えるなど、唯一正しい判断をされていた国会議員ですので、教会員がシンパシーを抱いていると思う」とコメントしています。
解散の危機に直面する教団。政界への働きかけに活路を求めているのでしょうか。
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