2025年09月16日(火)公開
【万博】マンガの"聖地巡礼"やカラオケで異文化交流!?大人気「ヨルダン館」スタッフの日本での生活に密着...人生"初"一人暮らしでは買い物や料理に悪戦苦闘 「いろんな出会いで新しい世界が開いた」
編集部セレクト
閉幕まで1か月を切った大阪・関西万博。大人気のヨルダンパビリオンで働く外国人スタッフはどんな思いで日本にやって来たのか。休日の過ごし方は?初めての日本での生活に密着しました。
「ヨルダンと日本の友好の架け橋に」パビリオンスタッフのアンマールさん
万博で人気沸騰中のヨルダン館にあるシアターには映画『スター・ウォーズ』のロケ地にもなった世界遺産「ワディ・ラム」から運んだ砂漠の砂を敷き詰められています。
(アンマールさん)「ここはワディ・ラムの砂漠です。ワディ・ラムへようこそ。とても特別な砂漠を世界中のお客さんに楽しんでもらうため、ヨルダンから持ってきました。それがとっても大変でした」
母国の魅力を親しみやすい語り口で案内するのは、ヨルダン館スタッフのアンマール・アルマシャイエクさん(24)です。
(来場者)「めっちゃヨルダンに行きたくなりました」
(アンマールさん)「ぜひ機会があれば行ってください」
(来場者)「すごいと思った」
(アンマールさん)「ありがとうございます。こういうほめ言葉があるから、やりがいがある」
ヨルダンと日本の友好の架け橋になりたいと、今年4月に初めて来日しました。
大阪で人生初の一人暮らし
アンマールさんは、万博会場から約1時間の集合住宅で一人暮らしをしています。
遅い時は午後11時に帰宅することも。そのため…
(アンマールさん)「これは家に遅く着いたときのための冷凍ピザ。こちらは肉ですね。ハラールのミンチビーフとかハラールの鶏肉です」
イスラム教徒なので食べるものに決まりがあり、日本での買い物は大変だそうです。
(アンマールさん)「原材料をいろいろ見て豚肉とか。みりんもだめ。アルコールが入っていますので」
一人暮らしは人生で初めて。慣れない手つきでパスタを作ります。麵を焦がしてしまいましたが、明るく笑い飛ばします。
(アンマールさん)「おいしいですけど、ソースの方はまだまだ改善の余地があります。塩味とか水も足りない。そもそも入れてないので」
中学生のとき、日本語を学びはじめたアンマールさん。きっかけは日本のアニメでした。
(アンマールさん)「スラムダンクとドラゴンボールがとても好きになったんですけど、アニメを見ているうちに日本語がとてもきれいだと思って」
休日は大好きなマンガの"聖地巡礼"
せっかくの日本滞在。休日はプライベートを充実させたいと話します。
(アンマールさん)「久しぶりのこういう感じの休日です。自分だけの時間を作って日本を探索してみる休日がほしかった」
この日は滋賀県大津市。ここに来たのにはワケがありました。
(アンマールさん)「『ちはやふる』が貼っている。おじゃまします。やばい」
近江神宮の境内にある近江勧学館。マンガ『ちはやふる』の“聖地巡礼”です。競技かるたに情熱を注ぐ高校生たちを描いた物語で、アンマールさんの今一番のお気に入りです。
(アンマールさん)「かるた(百人一首)というスポーツを、海外の人にもみせるのがとても上手で、それが魅力的なところだと思います」
主人公がクライマックスとなる戦いを繰り広げた大広間に入ると…
(アンマールさん)「うわ、すごい。やばっ!」
(アンマールさん)「こういうマンガをヨルダンで読んだり、いま日本とつながっていたり、きょう来ることになるのが、本当にマンガの『力の証し』だと思います。やばい、ちょっとうれししすぎて」
ひとつ夢が叶いました。
仕事終わりには他国スタッフとカラオケ
多くの外国人が働く万博。スタッフ同士の交流も活発です。サウジアラビア館のスタッフがヨルダン館を訪れました。
(サウジアラビア館のスタッフ)「遊びにきました。(Qよく遊びに来る?)よく、3回、30回、300回くらい来ている。すごく人気ですよ。サウジアラビア館に来てくれる客でも『砂はどこですか?』とよく聞かれるので、『ここヨルダン館じゃないですよ』と」
仕事終わりには、仲間と街に繰り出すこともあります。オーストリアやアメリカなど5つの国のパビリオンで働くスタッフと合流し、カラオケが始まりました。
アンマールさんは万博のスタッフたちで作るカラオケサークルに入っていて、仕事終わりや休日に楽しんでいます。
(オーストリア館スタッフ)「こちちは『アフターワークカラオケ』。カラオケはむっちゃ楽しいよ」
交流の輪は広がり、ほかにもフットサルやハイキングなどのサークルも誕生。国の垣根を越えて、親睦を深めているのです。
(アンマールさん)「万博で世界中の人が1か所に集まることはめったにない機会ですので、違う文化の人と話せることは万博のいいところのひとつです」
「万博での出会いで新しい世界が開いた」
人気のヨルダン館で司会を務めるアンマールさんのもとに、特別なゲストが訪れました。遠くヨルダンからアンマールさんの活躍を見にきた両親ときょうだいです。
(アンマールさん)「映像が流れるため、元気な掛け声が必要です。朝でも昼でも、ヨルダン!」
(来館者)「ヨルダン!」
会場を沸かせる息子の様子を静かに見守ります。
(アンマールさんの父親)「すばらしい。とてもすてきな機会で、息子に対して誇りを持っています。日本語が流暢でヨルダンの魅力もちゃんと伝えていると思います。
(アンマールさん)「本当にありがとう。支えが無ければここまでこられなかったよ」
異国でかけがえのない経験を積んだアンマールさん。10月から東京の大学院へ進学するため、閉幕前にヨルダン館をあとにします。
(アンマールさん)「いろんな出会いで新しい世界が開いたと思っています。性格がたくましくなったと思いますし、見た目もよくなったと思います」
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