MBS(毎日放送)

「鶏肉店」なのに一見すると『肉がない』80代の愛されおしどり夫婦の店を救った「起死回生の策」は廃業危機から...良いこと尽くしの状況に

編集部セレクト

SHARE
X
Facebook
LINE

 京都の商店街で半世紀以上続く鶏肉店。廃業の危機に迫られ、施された「応急措置」が起死回生の策となりました。

 京都・東山区、昔ながらの商店街にある1967年創業の鶏肉専門店「鳥寿」。ここには肉店ならどこにもである“アレ”がありません。

  (記者)「こんにちは!あれ…お母さんこれ、商品ケースにお肉がないんですけど、もう売り切れですか?」
 (従業員)「いや、そんなことないです。このケースに写真が入っている分は何でもあります」

 そう、店の商品ケースに「実物の肉」がないんです。代わりに並んでいるのは値段が書かれた「肉の写真」です。
3.jpg
2.jpg
 店主は西井正治さん(85)と、明るい人柄で地元の人たちから親しまれる妻の和子さん(83)。
4.jpg
 厨房にはなぜか和子さんの昔の写真が飾られていました。

 (鳥寿 西井和子さん)
 「(2年前に私が)大腿骨を骨折してな、(コロナで面会ができず)その時に4か月間旦那が私に会えなくなったんや。ほんで旦那が寂しいからこの写真を持ってきて貼ったらしいで笑」
5.jpg
 商店街きってのおしどり夫婦を去年6月にトラブルが襲います。

 (鳥寿 西井正治さん)
 「1年くらい前に陳列(ケース)は全然冷えないし、壊れてしまったんや」

 約30年間、肉を陳列してきた商品ケースが故障したのです。修理代が約300万円で、後継者もおらず、そのまま店を畳むつもりでした。

 (西井正治さん)
 「頑張ってやってきたんやけどなぁ。この際やめようかなと思っていたら、商店街の事務員さんが『私こんなん作ってあげるわ』って言ってな」
6.jpg
 同じ商店街の「白川まちづくり会社」の高瀬京子さんがスマートフォンで肉を撮影・編集して店に並べたのです。

 (白川まちづくり会社 高瀬京子さん)
 「絶対、商店街に居てもらわないと困るとみんな思っていると思います。あと鶏肉もめっちゃおいしいんでね」

 すると、注文ごとに切り分けるため廃棄する肉が減り、ケースの電気代が不要となりました。一方、売り上げは故障前と変わらなかったので、逆に利益が上がるなど良いこと尽くしです。お客さんは次のように話します。

 (客)
 「ちょっとびっくりしました。でもいいよね。状態が良いお肉を出してくれるから」
7.jpg
 西井さん夫婦の今後の目標は?

 (西井正治さん)
 「90歳くらいまでやらしてもらおうかなぁと。故障があってかえって良い方向に向かったなぁ」

2023年05月15日(月)現在の情報です

今、あなたにオススメ

最近の記事

発達障がいある受刑者には「ぬいぐるみ部屋」 "懲らしめ"から更生へ...刑法改正で刑務所に変化? 背景に『再犯率の高止まり』個々の特性に合わせて支援細やかに

2025/12/17

ひたすら試してランキング『とん汁』6年連続ミシュランガイド三つ星に輝く京割烹「祇園さゝ木」の佐々木浩さん「とん汁は野菜」 注目の1位とは?【MBSサタプラ】

2025/12/17

人気フェリー「さんふらわあ」総勢100人超で挑む"年に一度"の大規模メンテナンス "船の病院"ドックで陸揚げ...エンジンは約3000パーツに分解!?【密着】

2025/12/16

「心の中に獣を飼ってしまう」26年前に交際相手へのストーカー行為...いまだ断ち切れぬ思い 更生支援するのは逮捕歴ある"元加害者" 回復するために大切なことは?

2025/12/14

【カツめし】父子繋ぐ27年 天然温泉&海鮮和食  奈良・生駒「音の花亭」

2025/12/12

"最後の砦"心臓病の妊婦支える医療チーム 出産は難しいと言われていたけれど...「安心して産むことができた」「希望が見えて未来が楽しみに」

2025/12/12

ひたすら試してランキング『ロールケーキ』 ドラマ「グランメゾン東京」でスイーツを監修した一流パティシエとアンタッチャブル・柴田が選ぶ「"口ほどけ"がいい」別格の味 注目の第1位とは?【MBSサタプラ】

2025/12/10

報道被害を受けた遺族が「被害にあわれたあなたへ」取材対応リーフレットで支援 それでもマスメディアにかかわり取材を受ける"メリット"とは...【附属池田小事件 被害者支援part4/全4回】

2025/12/07

SHARE
X(旧Twitter)
Facebook