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くら寿司の加工場で親子3人で働き生きるウクライナ避難民『来年は自分の家で親族と新年を祝いたい』日本で迎えたクリスマスや年越し

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 年末年始も止むことはなかったロシア軍によるウクライナへの攻撃。そんなウクライナから大阪に避難してきた家族がいました。

 去年12月25日、一家は府営住宅で静かにクリスマスを祝っていました。去年7月に家族4人でウクライナから大阪府堺市へと避難してきたアンサリーさん一家です。
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 (アンサリー・メケジーさん)
 「いつもだったらクリスマスや新年は友達とか親族を呼んでみんなで集まって、飲んで歌ってということをやります」
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 夫のメケジーさん(43)と妻のリュバさん(48)、長男のラミンさん(16)の3人は、去年10月から回転ずし大手の「くら寿司」の加工場で働いています。包丁を使いマグロを手際よくさばきます。

 (アンサリー・メケジーさん)
 「エンジニアとして働いていました。2~3か月が過ぎたので慣れました」
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 「くら寿司」は堺市からアンサリーさん一家のことを聞き、少しでも支援できればと職場への受け入れを決めました。

 (くら寿司大阪センター・マネージャー 小中太郎さん)
 「お寿司のネタを切るというのはすごく難しい作業になるんですが、それをしっかり習得してきれいなネタを切っていただけている」
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 ロシアによる軍事侵攻からまもなく11か月。収束の兆しは一向に見えず、避難した人たちの生活も長期化しています。

 年が明けた1月3日、改めて一家を訪ねました。アンサリーさんらは、首都・キーウで暮らしていましたが、軍事侵攻が始まり避難を決意しました。

 (アンサリー・メケジーさん)
 「すべてが怖かったです。戦争という場所はお互い撃ち合ったり攻撃しあったりして命を失う。戦争というのは本当に怖いものです」
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 自宅付近の集合住宅や店舗も空爆を受けました。ウクライナでは子どもが3人以上いる成人男性は出国が認められていて、アンサリーさん一家は去年3月にスロバキアとオーストリアを経由してドイツに避難しました。そしてウクライナ人の知人を頼り、去年7月に大阪・堺市へとやってきました。
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 次女のアニータさん(9)は地元の小学校に通っています。すぐに友達もできました。

 (次女・アニータさん)
 「漢字を覚えるのは難しくないけど、単語を覚えることは少し難しい」
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 少しずつ日本での暮らしにも慣れてきましたが、何よりも心配なのがキーウに残る家族のことです。長女・ヤーナさん(27)は結婚し、現在は妊娠5か月で、キーウで暮らしています。
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 【リュバさんとヤーナさんがテレビ電話する様子】
  (母・リュバさん)「赤ちゃんはお腹をけってきますか?」
 (長女・ヤーナさん)「けってきます。赤ちゃんは元気よ」
  (母・リュバさん)「あなたのことをいつも心配しているのよ」
 (長女・ヤーナさん)「泣かないで、安心して」
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 (母・リュバさん)
 「私は泣いてしまうんです。娘は帰ってこなくていいと言うんです」

 今、家族の一番の願いは5月に生まれる予定のヤーナさんの赤ちゃんに会うこと。そして…。

 (アンサリー・メケジーさん)
 「自分の家に帰って、長年付き合ってきた近所の人や親族を呼んで新年を祝う。次の年はそんな年になればいい」

2023年01月05日(木)現在の情報です

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