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レア列車『ドクターイエロー』の超貴重な車内取材「1~7号車の役割を大解剖」重要な屋上の窓やデータ集約の心臓部...JR社員でも乗れるのは一握り

2022年09月20日(火)放送

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 “新幹線のお医者さん”とも呼ばれる黄色い新幹線『ドクターイエロー』。1か月に3回だけの走行で目撃することさえ難しく、「見ると幸せになれる」とも言われています。JR社内でも乗れる社員はほんの一握りというレアな列車ですが、今回は特別にその車内を取材させていただきました。

2時間かけて見にきた人も…滅多に出会えない『ドクターイエロー』

 9月某日のJR博多駅。この日、新幹線のホームにいつもと少し違った空気が漂っていました。

 (JR博多駅のホームにいた人)
 「長崎から来ました。2時間くらいかけて」
 「子どもが好きで。(Qグッズも?)持っています。写真撮りたいですね」
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 ソワソワする親子連れ。表示には「回送列車」の文字が。彼らのお目当ては…。
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 (記者レポート)
 「鮮やかな黄色い列車がやってきました」

 目を引く黄色に凛々しい顔つき。圧倒的な存在感を放つこの列車こそ、『ドクターイエロー』の名で親しまれる滅多に出会えないレアな列車。
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 通常は乗ることができませんが、今回、特別な許可を得て車内を取材させてもらうことになりました。

 (記者リポート)
 「今からドクターイエローの中に潜入してきます」

先頭車両から潜入!7号車はレクチャールーム

 まずは先頭の7号車。中には意外にも普通の新幹線と同じく座席が並びます。何をする場所なんでしょうか?
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 (JR西日本・新幹線鉄道事業本部 赤塚繭子さん)
 「添乗室と言われていまして、部外の人がいらっしゃった際に、何かを説明をするときなどに使用する所です」
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 7号車は研修や来客向けのレクチャールームとなっていて、新幹線と同じく50席あります。座席は昔使われていたもので、今はなき灰皿もありました。
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 車両にはモニターがあり、ドクターイエローに備え付けられたカメラ映像が確認できるということですが…。

 (JR西日本・新幹線鉄道事業本部 赤塚繭子さん)
 「映さないでほしいです。ここはモザイクでお願いします」

 検測した数値はセキュリティの関係で非公開。鉄道という重要なインフラを支えているため厳重に扱われているんです。

6号車~1号車はどうなっている?順番に取材

 新幹線のお医者さんとも呼ばれるドクターイエロー。線路や電気設備の健康診断をするため走りながら検査する列車です。走行速度はお客さんを乗せている状況とほぼ同じ時速約270km。車両は7つあり、それぞれに違った役割があるといいます。
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 応接室として使われている6号車で気になっていたことを聞きました。

 (JR西日本・新幹線鉄道事業本部 赤塚繭子さん)
 「(Qドクターイエローはなぜ黄色?)白地に青いラインっていうものが一般的に営業列車に使われているので、黄色にすることでお客さまが乗る列車じゃないよっていうことをわかりやすくするようにとか。諸説あるようです」
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 5号車にやってくると突如、謎の階段が出現。階段の上には座席が1つ。
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 ここは電線から車両に高圧の電気を送るパンタグラフを観測する場所。目視で接触状態に問題がないかなどを確認することができるのです。
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 続いて4号車へ。ここはドクターイエローの心臓部だということで、検測したデータが集約される場所なんだそうです。

 モニターをじっと見つめる3人組。何をしているのでしょうか。
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 (レールテック・技術リーダー 曽根研志郎さん)
 「レールの状態を、ゆがみ・ねじれなどを収録して、線路に異常がないかを確認しています」

 異常があればすぐに指令所へ報告する必要があるため、検測中は絶えずチェックしているのです。驚くべきはその細かさ。

 (レールテック・技術リーダー 曽根研志郎さん)
 「ミリ単位で測定しているので、コンマ何ミリという差が出てくるという感じですね。気は使います。ずっと見ていますね」
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 他には、3号車でも、5号車と同じパンタグラフを確認することができます。
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 2号車には電線から流れる電圧などを確認できる機械を配備。
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 1号車では無線や信号などに異常がないかチェックしています。

検測データを使って“線路のゆがみ”を修正

 検測されたデータはどのように活用されているのでしょうか?

 終電が走り去った午前1時すぎ。案内されたのはトンネル内の新幹線の線路。この先でドクターイエローが検測した線路のゆがみを直す作業が行われているといいます。
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 歩くこと10分、見慣れない大きな乗り物が姿を現しました。
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 (JR西日本・新幹線鉄道事業本部 下野勇希さん)
 「レールを持ち上げて砂利を突き固めるという作業をしています」 
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 線路のゆがみをどう直しているのかというと、大きな音をたてながら、ドリルのようなものを線路に差し込んでいきます。
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 (JR西日本・新幹線鉄道事業本部 下野勇希さん)
 「クランプと呼ばれる丸い部分でレールを持ち上げて、枕木の下に隙間を作って、その隙間に砂利を詰め込んでいくという作業をしています」
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 新幹線が何度も線路を通ることで、砂利がばらけてレールの間に隙間ができ、下に沈み込んでしまいます。
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 そこで、砂利を寄せ集め隙間を詰めることで、線路をミリ単位で修正していくというのです。

ドクターイエローは『1か月に3回だけ走行』『ダイヤは非公開』

 新幹線の安全を下支えするドクターイエロー。ファンの間では「見ると幸せになれる」とも言われています。姫路城を見下ろす展望台には、その姿をとらえようとねじり鉢巻き姿の男性らがいました。
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 (ドクターイエローを10年以上撮影している鉄道ファン)
 「珍しいですからね。(幸せの)黄色いハンカチになぞらえて」

 ドクターイエローは1か月に3回しか走らないレアな列車。しかもダイヤは非公開で、そうそうお目にかかれないのです。

停車時間はたった1分!ドクターイエローに大興奮

 JR新神戸駅のホームには多くの親子連れがいました。
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 こちらの男の子の手にはドクターイエロー。別の男の子はTシャツがドクターイエロー。マスクだってドクターイエロー仕様です。

 でもダイヤは非公開のはず。皆さんどうやって情報をつかんだのでしょうか?

 (JR新神戸駅のホームにいた人)
 「Twitterで見ました。博多駅を出発した情報をTwitterで見たので、新神戸駅(到着)の時間を調べて」
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 そして、その時がやってきました。

 (ホームにいた人たち)
 「お~!」
 「わ~きたぞ~!」
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 停車時間はたったの1分。このチャンスを逃すまいとみんな一斉に写真を撮りはじめます。ドクターイエローの全身を見ようと走り出す子も。みんな大興奮です。

 (ドクターイエローを見た子ども)
 「かっこよかった」
 (ドクターイエローを見た人)
 「感動しました。念願のドクターイエローでした。これからも線路のために頑張って動いてください」

「ドクターイエローがあることで安全な設備が維持される」

 多くの人に見守られながらドクターイエローは新神戸駅を後に。約20分後、中間地点の新大阪駅に到着しました。このあと東京駅まで走り検測を続けます。
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 (JR西日本・新幹線鉄道事業本部 赤塚繭子さん)
 「ドクターイエローがあることによって安全な設備が維持される、(安全を守る)サイクルが回っていくのかなと思っています。お客さんに『安心して新幹線に乗れるよね』って思っていただけるのが私たちとしては一番うれしいことです」

 多くの人を魅了するドクターイエロー。人気者の顔の裏には、私たちの安全を守る大きな使命がありました。

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