2022年08月12日(金)公開
祝福2世だった女性が見た旧統一教会会見「それがあれば先祖が家に住める...が霊感商法じゃなかったら何が霊感商法なんだろう」
編集部セレクト
8月10日に行われた「旧統一教会」の記者会見。そこで繰り返し強調されたのは『教団には問題がない』という主張でした。親が旧統一教会の合同結婚式で結婚して生まれた子どもは『祝福2世』と呼ばれていますが、その祝福2世だった女性はこの会見をどのような気持ちで聞いたのでしょうか。話を聞きました。
8月10日、安倍晋三元総理の銃撃事件後2度目となる会見を開いた旧統一教会(現在の世界平和統一家庭連合)の田中富広会長。事件をめぐる報道について激しく抗議しました。
(旧統一教会・田中富広会長の会見)
「今日の異常な宗教迫害ともいえる偏向報道がきっかけとなって、新たな被害が発生することを真剣に危惧している」
「何の謝罪だったのかなというのが全体を見て率直な感想」
その様子を真剣な面持ちで見る横浜市の小川さゆりさん(26・仮名)。さゆりさんは6年前まで旧統一教会の信者でした。旧統一教会の信者同士が合同結婚式で出会い生まれた子どもは『祝福2世』と呼ばれ、教会内で特別な扱いを受けるといいます。さゆりさんはその祝福2世でした。自宅には壺や印鑑がある一方で、お金には困窮して厳しい生活を送っていたといいます。
(元信者で祝福2世 小川さゆりさん)
「宗教的な迫害を受けていると言っていると思うんですけれど、私としては迫害という言葉を使っていいのは本当に何の罪もない人だけだと思う」
(旧統一教会・田中富広会長の会見)
「社会の皆様にも様々にお騒がせしていることに深くお詫び申し上げます」
会見の冒頭、田中会長は謝罪をしましたが…。
(元信者で祝福2世 小川さゆりさん)
「何の謝罪だったのかなというのが全体を見て率直な感想ですね。やっている行いを認めて謝罪してくれるのかなと少し期待はあったんですが、全くそういうものではなかったように感じました」
「それが霊感商法じゃなかったら何が霊感商法なんだろう」
事件以降に取り沙汰されている高額献金については。
(旧統一教会・田中富広会長の会見)
「霊感商法と称される類のものは当法人の信徒において行われていません」
教団側は2009年のコンプライアンス宣言以降、献金などに関連する民事訴訟は減っていると強調しました。その教団の変化をさゆりさんは感じていたのでしょうか。
(元信者で祝福2世 小川さゆりさん)
「いえ、全くないです。両親はその当時もそれ以降も100万円する善霊堂と言われているものを買っていましたし、それがあれば先祖が家に住むことができる、というのが霊感商法じゃなかったら何が霊感商法なんだろうと思いますけどね」
「軽い理由で関わっていい団体ではない」
教団は合同結婚式として知られている祝福結婚についてもこんな数字を示しました。
(旧統一教会・田中富広会長の会見)
「家庭連合の祝福結婚式に参加して結婚手続きをされたカップルの離婚率は2%以下であり、多くのカップルは幸福・円満に過ごしております」
(元信者で祝福2世 小川さゆりさん)
「(両親が)お金をこういうことに使ったでしょとかそういう言い合いとかを見ていましたね。ずっと親が喧嘩して家で過ごしづらいって言っている2世が本当にたくさんいて、むしろ親が仲がいいですっていう人の方が少数派だった印象ですね」
事件後、注目されているのが山上徹也容疑者のような『2世信者』たちが受けた苦しみです。さゆりさん自身、今は夫と子どもの家族3人で幸せに暮らしていますが、かつては自殺を考えたことも。しかし今回の会見では2世の問題についてはほとんど言及されませんでした。
(元信者で祝福2世 小川さゆりさん)
「大人になっても本当にずっと苦労している2世が多いので、その問題は深刻だなと思っています。今回出てきている事件っていうのは、高額な献金をして家庭が崩壊してしまったというところがかなりメインだと思うので、2世問題っていうものはもうちょっと触れて欲しかったっていう思いがあります」
一方で、この1か月の内に旧統一教会と政治との関わりが明るみに出てきました。さゆりさんは政治家にも自分たち2世の苦しみを知ってほしいと訴えます。
(元信者で祝福2世 小川さゆりさん)
「今後もし改善していく様子がないのであれば、私たちのような苦しんでいる2世たちを見殺しにしているんだなって思ってしまいますね。選挙に利用したいからとかそんな軽い理由で関わっていい団体ではないと思っています」
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