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執念の逮捕劇「一生ガーナで逃亡生活か?罪償って余生過ごすか?」公開手配と説得で容疑者が『自ら潜伏先を...』

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 国際ロマンス詐欺の手口で現金をだまし取ったとされる男が潜伏先のガーナから身柄を日本に移され、8月8日に逮捕されました。今回の逮捕劇の裏には、大阪府警の捜査員の強い思いがありました。

 (記者リポート 8月8日 関西空港)
 「国際ロマンス詐欺の指示役とみられる森川容疑者が、潜伏先のガーナからフランス・パリを経由して帰国しました。いま何を思うのでしょうか」

 8月8日、詐欺の疑いで逮捕された住所不定・無職の森川光容疑者(58)。ガーナを拠点に活動する詐欺グループの主犯格とみられ、現地当局に身柄を拘束されて8日に移送されました。森川容疑者が主導していたのはいわゆる国際ロマンス詐欺です。
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 警察によりますと、森川容疑者はマッチングアプリなどで架空の人物になりすまして日本人男性2人に恋愛感情を抱かせ、現金約150万円をだまし取った疑いが持たれています。森川容疑者らは「アメリカ人女性ライター」や「イエメン在住の女性医師」になりすまし、「口座凍結されて生活が困窮している。私を助けて、お金はあるけど足りないの」というようなメッセージで金を要求していたといいます。

 グループの口座には約4億円の入金記録があり、被害者は男女65人に上るとみられています。警察は一連の詐欺事件で暴力団組長の男など15人を摘発しましたが、その過程で指示役とみられる森川容疑者の存在が浮上したといいます。
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 その潜伏先が日本から約1万4000km離れたアフリカのガーナであることを突き止めたのは大阪府警・国際捜査課の永峰啓次警部です。永峰警部は今年5月18日、意を決して「公開手配」に踏み切りました。

 (大阪府警・国際捜査課 永峰啓次警部)
 「国内の捜査については“やりつくした感”がありました。最終的に森川容疑者を揺さぶるために公開手配が有効ではないかと考えて踏み切りました。森川容疑者に対しての圧力になるんじゃないかという意図がありました」
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 容疑者が海外逃亡している場合、帰国しなくなる可能性があるため公開捜査はしないことが多いといいますが、今回は“あえて賭けに出た”といいます。

 (大阪府警・国際捜査課 永峰啓次警部)
 「自分が置かれている立場もおそらくガーナでわかるでしょうし、当然テレビとかネットで画像は見られると思うので。あとは相手がどういう反応を示すのか待つだけというのがありました。それが上手いこと功を奏した」
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 捜査の網にかかった森川容疑者が、公開手配から1週間後、曽根崎警察署に自ら国際電話をかけてきたのです。

 (大阪府警・国際捜査課 永峰啓次警部)
 「本人は『被害金を返済するまでは帰国しない』と。強気な態度で言い訳ばかりずっと終始していた状態でしたね。その後4回ほど電話がありまして、私と森川容疑者の間に連絡手段が確立された、チャンネルができたような感じになるんですが、一生ガーナで逃亡生活を送るのかそれとも日本に帰国して罪を償って余生を日本で過ごすのか、損得計算みたいなのを一生懸命説得するように言い続けていました」

 説得に応じて徐々に態度を軟化させていったという森川容疑者。そして7月18日の4回目の電話で「アクラ市ノースレゴンのアパート。ここにいる」と潜伏先を明かしたのです。大阪府警はこの情報をガーナ当局に伝え、7月20日に森川容疑者は滞在していたアパートで身柄を拘束されました。

 (大阪府警・国際捜査課 永峰啓次警部)
 「連係プレーが非常にうまくいきまして、その結果、ガーナ当局も迅速に素早く動いてくれた。すべて正直に話してほしいですね。被害者が大勢いらっしゃいますので、正直に話して罪を償ってほしいですね」
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 取り調べに対して「ガーナ人らの指示で金を回収していただけ。私の顔などが手配されていたので腹をくくって帰国した」などと容疑を否認しているという森川容疑者。警察は詐欺グループの内情や金の流れなどを詳しく知っているとみて調べを進める方針です。

2022年08月08日(月)現在の情報です

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