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コロナ禍でも医師も看護師も"国家試験は追試無し"!『受験生の嘆き』『問題作る側の苦悩』双方を取材

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医療系の国家試験が、2月5日6日に医師、2月13日に看護師、2月20日21日に理学療法士という日程で行われます。この国家試験には基本的に追試験はありません。新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、感染した場合や濃厚接触者となった場合のセーフティーネットはないのか、という声があります。これについて、看護師試験の受験生に話を聞くとともに、過去に医師国家試験委員を務めていた関西医科大学附属病院の宮下修行教授に解説していただきました。

追試無し…“受験生”の嘆き

【国家試験受験生から番組に届いたメッセージ】
『医師、看護師、薬剤師などの国家試験は、この情勢の中、追試験は予定されていません。大学受験は追試験などの考慮がありますが、なぜ医療系国家試験には追試験は行われないのでしょうか?医療ひっ迫の中、扱いの悪さが不思議でなりません』

看護師の国家試験を受けた油谷葵さん(21)に話を聞きました。油谷さんは2月13日に大阪の会場で看護師国家試験を受験しました。

(看護師国家試験を受験した油谷葵さん)
「(Q当日の会場の雰囲気や感染対策は?)会場に入る前に検温して、アルコール消毒も教室の前に置いてあって、受ける人たちの緊張感がありました。(Q試験当日はどんな思いだった?)まずはコロナ感染なく会場に行けたっていう安心感、それが1番大きかったですね。受けられたという喜び」

去年の看護師国家試験の合格率は90.4%で、看護師の国家試験は合格率が高いことから、受験前に就職先が決まることが多いといいます。油谷さんもすでに病院から内定をもらっていますが、もしコロナで受験できなかった場合、内定がどうなるかわからないという不安を感じたといいます。

(看護師国家試験を受験した油谷葵さん)
「(Q試験が受けられなかった場合の選択肢は考えていた?)卒業して1年間働きながら、もう1回国家試験の勉強をして、来年もう1度受け直そうというふうには思っていました。問題の傾向も大きく変わることになるので、さらに新しく試験勉強をやり直す感じ」

医療系国家試験の追試は国会でも議論

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昨年度に続きコロナの追試対応がなかった医療系の国家試験。国会でも議論になりました。

【2月10日の衆院予算委でのやり取り】
(立憲民主党 城井崇衆院議員)「国家試験の予備の問題というのは準備されているのではないのですか?」
(後藤茂之厚生労働大臣)「そういう作成・加工している状況にはありません」
 (城井議員)「命を守る現場を支える若い世代の背中を押すために、3月に追試験、工夫して努力してやりましょうよ。大臣お願いします」
(後藤厚労相)「我々としてはやはり準備ができないということを申し上げておりますし。公平性・実質性を担保する試験をしていくのが難しいのではないかということで、前回もやれなかったということで、ご理解をいただきたいと思います」
 (城井議員)「少なくとも問題作成努力をぎりぎりまでやるということを、是非大臣言っていただけませんか」
(後藤厚労相)「特別な事情があるからということで認めていくということは難しい」

この答弁を油谷さんも見ていたといいます。

(看護師国家試験を受験した油谷葵さん)
「(Q救済策を期待していた?)そうですね。期待していたというか、あるものだと思っていました。今回だけ追試を認めるのはっていう厚生労働省の言いたいこともわかるんですけれど、感染ってどうしても防ぎきれないところもあると思うので。医療従事者になろうと思う人は感染しないで当たり前みたいな感じで思われているのかなっていうのが正直ちょっとあります」

“問題作る側”から見た追試の難しさ

これについて、2014年~2020年に医師国家試験委員を務め、問題を実際に作っていた関西医科大学附属病院の宮下修行教授に話を聞きました。

(関西医科大学附属病院 宮下修行教授)
「本当に厚生労働省に我々が出向いて行って問題を作ります。最初は700題ぐらい作って、そこから400題に絞り込むわけですけれども。半年以上かけまして、とにかく議論に議論を重ねて、我々はいわゆる医者になる人たちの問題を作るわけです。すごい労力が要るんです。本当にここに関しましては。この労力を、我々は通常の診療もありながらそこへ出向いて行ってやってきたわけなんで、どんどんどんどん新しい問題が作れる、そして公平性を保てるような問題が簡単に作れる、というわけではないということがご理解いただければなというふうに私は思います」

(関西医科大学附属病院 宮下修行教授)
「例えば震災のとき、問題は一応プールはしています。先ほど言いましたように、700題、最初作ります。400題に絞るときに、その300題はプール問題にするわけですが、半年間で私たちは何をするかといいますと、その問題を1題1題ブラッシュアップといいまして、良い方向、学生が間違わない問題を作っていくわけです。その本試験問題だけで手一杯になるんです。ですからプール問題としてはありますが、ブラッシュアップされていない問題として残っているんです」

宮下教授によりますと、こうした状況から、追試問題の作成は非常に困難だということです。

2022年02月17日(木)現在の情報です

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