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『使用済み核燃料』はどこへ?決まらないまま原発が再稼働 地元住民の声「後片付けもちゃんと考えて」

2021年06月24日(木)放送

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福井県の敦賀半島には、関西電力の美浜原発や日本原電の敦賀原発など、廃炉が決まったものを含めて4つの原発施設が集まっています。その中のひとつ、美浜原発3号機が6月23日に再稼働しました。国が再稼働を押し進める一方で、使用を終えた核燃料をどう処理していくのか、現実的な対応は決まっていません。こうした中での再稼働に揺れる地元を取材しました。

再稼働した美浜原発3号機

福井県・敦賀半島の先端に位置する敦賀市西浦地区。県内有数のトラフグの養殖場があることで知られています。山川浩一さんは約30年間、トラフグを養殖してきました。

(トラフグの養殖業を営む 山川浩一さん 5月31日)
「トラフグの稚魚です。長崎県の佐世保から来ました。これから生け簀に入れて1年5か月かけて出荷します」

そんな山川さんの最大の心配事は、原発敷地内のプールで保管されている『使用済み核燃料』の存在です。

(トラフグの養殖業を営む 山川浩一さん 5月31日)
「美浜3号機も再稼働するじゃないですか。やっぱり気になりますよね。再稼働すると心配です。もし地震とかが来て、(使用済み核燃料を保管する)プールの水が漏れたら大変じゃないですか」
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6月23日に再稼働した運転開始から44年が経った関西電力の美浜原発3号機。東京電力・福島第一原発の事故後、原発の運転期間は法律で「原則40年まで」とされて停止していましたが、安全審査をクリアしたとして、2016年に原子力規制委員会が最大20年間の運転延長を認めました。
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一方、地元の福井県知事は“再稼働の条件”として、高濃度の放射性物質を含む使用済み核燃料を原発敷地内のプールから県外に運び出すことを求めていました。というのも、再稼働した場合、早ければ2030年にもプールが満杯になると試算されていたからです。

青森県むつ市の「中間貯蔵施設」が持ち込み先に?市長は「論外です」

そこで関西電力の森本孝社長が提案した持ち込み先というのが、青森県むつ市にある使用済み核燃料の中間貯蔵施設でした。関西電力はこの施設を搬出先として提案し、知事から美浜3号機の再稼働への同意を取り付けました。
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ところが、MBSの取材に対して、むつ市の宮下市長は次のように話しました。

(むつ市 宮下宗一郎市長 6月4日)
「まあ論外ですね。そもそも我々の中間貯蔵施設というのはまだ稼働すらしていません。稼働していないばかりか、安全に事業ができるということでの設工認というプロセスすら終わっていない」

宮下市長によりますと、中間貯蔵施設はそもそも完成すらしておらず、完成しても東京電力などが使用することになっていて、関西電力の使用済み核燃料を受け入れる余地はないといいます。さらに…。

(むつ市 宮下宗一郎市長 6月4日)
「やはり最終処分場まで含めて、しっかりとしたサイクルを確立できるかというところが、最大の課題だと思っています」

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国は核燃料サイクルの一環として、中間貯蔵施設などに置いた使用済み核燃料を再処理工場に持ち込み、回収したプルトニウムなどを燃料工場で加工して、再び核燃料として使う計画です。しかし、再処理工場も燃料工場も完成時期が何度も延期されていて、実現性が疑問視されています。中間貯蔵施設にある使用済み核燃料の扱いが決まらない中での受け入れには、慎重にならざるを得ないのです。
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こうした現状について関西電力は…

(関西電力 森本孝社長 5月26日)
「中間貯蔵の関係は私どもにとって最も重要な課題の1つである。国や電事連のメンバーとも連携して、あらゆる可能性を追求する努力を継続している」

「使用済み核燃料」の行き先がない現実にもっと目を向ける必要があるという意見も

使用済み核燃料の扱いが棚上げのまま再稼働に向かうことに対して、福井県敦賀市の西浦地区の区会長でもある山川さんは、住民らと協議したうえで、地区を代表して、ある行動に出ました。山川さんは「使用済み核燃料を他県で受け入れることは相当に困難」であることから、「立地での保管が現実的」として、専用の保管施設を地元に作って、安全に管理すべきだと国や県に提言したのです。

(トラフグの養殖業を営む 山川浩一さん)
「立地地域の責任は(原発と)共存共栄でやってきたし、半世紀にわたって。だから最後まで面倒みると言ったらおかしいけれども。どっか他に持っていくところがあるならそれでいいですけれども。(使用済み核燃料を入れるプールも)ひっ迫しているし、いつまでも県外県外と言ったって」

福井県はこの西浦地区の意見書について「原発を運営する事業者が判断するべき内容」とコメントしています。

西浦地区を通る市道などは“災害用道路”という名目で、関西電力と地元・敦賀原発を管理する日本原電が、整備費十数億円を負担しています。また、関西電力と日本原電などは年間計100億円以上の核燃料税を県に支払っていて、原発の立地地域と事業者は持ちつ持たれつの関係にあるといえます。最終的に美浜原発の再稼働を認める判断をした福井県知事も次のように話しています。
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(福井県 杉本達治知事 6月23日)
「安全運転をしていただくことで、地元経済に継続してプラスの効果が及ぶような、そういうことを期待している」

地元でも意見はさまざまです。

(地元の住民)
「原発で成り立ってる産業もありますので、だから一概に反対とは言えないですね。原子力自体は安全なものではないので、(使用済み核燃料を)県内で処分するのは無理ですし、そうなると県外にお願いするしかないのかなもと思うんですけど」
「土地があるなら(使用済み核燃料を)受け入れてもいいんじゃないかなと思う。割り切って考えるべきだと思う。若者が年をとったときに(町が)どういう姿になっているかを加味した将来像を描いて決めていくのが一番いいんじゃないかな」

山川さんは使用済み核燃料の行き先がない現実にもっと目を向ける必要があると訴えます。

(トラフグの養殖業を営む 山川浩一さん)
「再稼働ばかりで、後片付けを1つも考えず、作って再稼働していくばかりもどうかと思いますけど。後片付けもちゃんと考えてやってくれんと。国に言いたいのはそういうことですね」

10年ぶりに動き始めた美浜原発3号機。積み残した課題の解決は見通せないままです。

(6月24日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」より)

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