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『水素』をめぐり「世界が大競争」!?発電所や運搬船の開発も進む"次世代エネルギー"のいま

2021年06月25日(金)放送

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家庭や企業で使われるエネルギーの多くは『石炭』や『石油』が担っていて、エネルギーを使った際にはCO2(二酸化炭素)を排出しています。しかし、「水素」をエネルギーとして使った場合、CO2は排出されず、できるのは水です。水素は『クリーンエネルギー』と長年言われていますが、なかなか普及してきませんでした。しかし、近年、にわかに追い風が吹いているというのです。水素のいまを取材しました。

水素で「車」や「電車」が走る

今年5月、静岡県でスポーツカーの『24時間耐久レース』が行われました。無事に24時間走り抜いたTOYOTAの「カローラスポーツ」の燃料に使われたのが“水素”です。
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このほか、福島県には水素で走るバスや海外では水素を燃料とする列車も運行されています。

「CO2を全く出さない」クリーンエネルギー『水素』 普及の課題は…

水素の製造・販売を手がける岩谷産業(大阪・中央区)を訪れ、水を電気分解して“水素そのもの”を見せてもらいました。

(岩谷産業 津吉学水素本部長)
「ブクブクたくさん出てきているのが水素です。量が少ない方が酸素です」

水から出る小さな泡が水素です。
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そして、試験管にたまった水素に火を近づけると、ポンと音を立てて燃焼しました。あとに残るのは水だけです。これがクリーンエネルギーと言われる所以です。

(岩谷産業 津吉学水素本部長)
「CO2を全く出さないクリーンなエネルギーです」

しかし、街で水素について聞いてみると、あまり知れ渡ってはいないようです。

(街の人たち)
「化学物質…前に水素水って流行ったなくらいしか」
「水素って聞いて、車の新しい燃料としか思い浮かばないです」
「(Q水素の元素記号は?)H2O?※正解はH」
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なぜ、地球に優しいエコな水素がなかなか浸透しないのでしょうか。その課題は…。

(岩谷産業 津吉学水素本部長)
「端的に言えば、コストだと思います。需要がないと供給が大きくなりませんので。たくさん作らないと安くならないです。将来的にはコストというのは大量に消費されることで安くなっていくと思います。どんどん使ってもらって、どんどんマーケットが大きくなって、どんどん安くなっていくというのを我々は計画しています」

課題を解決するのは『大量生産』『大量消費』。その実現に向けていま、追い風が吹いています。

大量消費につながる「水素発電所」が神戸に

川崎重工業は神戸市中央区のポートアイランドに「水素発電所」をつくりました。市街地で水素のみを燃料として電気を供給する施設は世界で初めてです。
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燃料となる水素を燃やして発生する蒸気を利用して風車のようなガスタービンを回し、発電します。二酸化炭素は出ず、水だけが排出されます。
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2018年に行った実証実験では、周辺の国際展示場やスポーツセンターなど4つの施設に安全に電気を送ることに成功しました。今後、発電所が実用化されると水素の『大量消費』が可能になります。

(川崎重工業・水素戦略本部 足利貢さん)
「発電所として水素を使うことができるようになると、一気に水素の利用量を拡大させることができる。脱炭素化のためには利用段階でCO2を全く発生させない水素発電は非常に有効な手段だと考えています」

将来的な「大量生産」に向けて…オーストラリアから液体水素を運搬へ

また、川崎重工業と岩谷産業などは液体水素の運搬船「すいそふろんてぃあ」を開発。実証実験用のこの船で75トンの液体水素を運ぶことができます。
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水素を作るのは日本から遠く9000km離れたオーストラリアで、広大な土地からは日本の発電量の240年分が賄えるとされる褐炭(=水分を多く含む石炭)がとれます。
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その褐炭から水素を取り出し、-253℃の液体水素にして今後日本に運びます。運搬船が実用化されると水素の『大量生産』が可能になります。
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(川崎重工業・水素戦略本部 西村元彦副本部長)
「2030年には水素の大型発電所が動かせるくらいの、この船の130倍の量を運べる船を2隻建造して運行し、水素を使えるようにしていきたい。今後、いま使っている化石燃料の代わりにどんどん水素を世界のいろんなところから運んできてみなさんが日常的に使えるようになってきます」
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単体で地球上に存在せず、生成するところからコストがかかる水素。現在その需要は燃料電池車など限られたものしかなく、大量生産・大量消費のマーケット確立に向けていままさに世界中が動いているタイミングだと専門家は話します。

(九州大学水素エネルギー国際研究センター 佐々木一成センター長)
「コロナ後の復興というところで何を取り上げますかといったときに、気候変動対策、カーボンニュートラルというのを世界の国々が動き始めたというところが大きなきっかけになっています。世界中で水素を作れる国とのパートナー探しでいままさに世界大競争が始まっています」

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