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30年以上続く『トラックの迷惑駐車』道路で"立ち小便"も ドライバーを直撃すると「とめるところないんや」積み荷待つ"時間調整"などの事情

特盛!憤マン

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 大阪市鶴見区で30年以上続くトラックの違法路上駐車。近隣住民が「危険だ」と憤懣しています。なぜこの場所に路上駐車をするのか?取材班がドライバーを直撃するとさまざまな問題が見えてきました。

「見通し悪い」「危険」大型トラックが路上駐車し1車線を占拠

 4月28日朝の大阪市。大阪府警鶴見署の交通課員が声をかけたのは路上駐車している大型トラックです。なぜここで取り締まりが行われたのか。取材班は1週間前、この場所を取材していました。

 (記者リポート)「こちらの道路、3車線あるんですが、トラックが路上駐車をして一車線を完全にふさいでしまっています」

 大阪市鶴見区の幹線道路・花博通。一帯はすべて駐車禁止となっていますが、おかまいなく大型トラックが路上駐車し1車線を占拠しています。こうした違法な路上駐車は長いときで、鶴見緑地の南側から門真ジャンクション付近まで約1kmにわたって続いているといいます。

 トラックの数を数えてみると、午前7時(4月21日)の時点でその数なんと31台。多くは他府県ナンバーで、遠方からのドライバーが多いようです。取材の最中にも、次から次へと入れ替わり立ち替わりトラックが路上駐車していきます。
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 こうした状況に近隣住民は…

 (近隣住民)「毎日とまっていますよ。ずっととまっています。運転していて左に曲がりたいときは、ここにとまっていると見通し悪いからすごく走りづらい」
 (近隣住民)「(路上駐車が)もっとないほうがよろしいよ。これもうだいぶ前からですよ。そら危険でしょう。取り締まってもらったほうがありがたい」

 大阪府警によると、この場所での違法駐車について「見通しが悪く危険だ」「エンジン音がうるさい」などとして、去年は40件を超える苦情が寄せられたといいます。

 トラックの違法駐車を巡っては、大阪府内の別の場所で、2009年にバイクがトラックに突っ込み1人が死亡したほか、去年は19件の事故が起きていて、危険です。夜間に「ハザードランプ」を点灯せず、後続が追突するケースもあるといいます。

『時間調整』のため路上駐車…大型車が待機できる駐車場がない

 なぜ、この場所に路上駐車をするのか。ドライバーを直撃すると…

 (記者)「路上駐車をしている理由はある?」
 (ドライバー)「ありますよ。『時間調整』や(目的地付近が)狭いから待機できひんわけや」
 (記者)「ここに駐車する理由は?」
 (ドライバー)「道が広いから邪魔にならへん。それだけや」
 (記者)「コインパーキングとかにとめるのは?」
 (ドライバー)「そんなん4t(トラック)なんかとめられますか?とにかくとめるところないんやって。道の駅なんかに集中する。みんなそこしかとめられへんやん」

 別のドライバーにも聞くと。

 (記者)「ここ駐車禁止じゃないですか?」
 (ドライバー)「おまえら路駐せえへんのかという話になってくるで。いっさい路駐せえへんのかとなってくるやろ」
 (記者)「みんなやってるやろと?」
 (ドライバー)「そういうことや。車が大きい小さいだけの話ちゃうの」
 (記者)「大きい車はとめるところがない?」
 (ドライバー)「ない。小さい車やったらコインパーキングあるやん」

 ほかにもこんな声が…

 (ドライバー)「だめなら移動しますけど、もうとめさせてくれって思うしかない」
 (記者)「ドライバーとして路上駐車しないと仕事がまわらない?」
 (ドライバー)「本当はしたくないですよ。どこかいいところがあれば。高速道路のパーキングはいっぱいだし」
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 ドライバーの目的は、近くの工場などの積み荷を待つ“時間調整”で、工場周辺に待機できる駐車場がないため、車線が多いこの場所で、やむなく路上駐車をしているといいます。

 たしかに、近くにコインパーキングはありますが、大型車がとめられる区画は限られています。また、有料であるため経費を削減したいというドライバーの考えも見えます。

業界関係者は『2024年問題』も指摘

 さらに、業界の関係者は別の問題も指摘します。

 (大阪トラック協会 上野耕一郎常務理事)「『2024年問題』が起こってから、ドライバーの時間の管理を厳格にしなさいというのが大きな課題。ですから連続運転が4時間を超えないようにしようと思うと、やむを得ず(休憩のため)とまってしまう」

 『2024年問題』とは、去年スタートしたトラックドライバーに対する新たな労働規制に関する問題を指します。4時間以上運転する場合、30分以上の休憩をとらなければならず、法律を守るにも休憩する場所がないという“ジレンマ”が生じているのです。

 (大阪トラック協会 上野耕一郎常務理事)「国や自治体のほうで数多くトラックが駐車できるようなスペースを作ってもらえれば、一番ありがたいと考えております」

道路上で「立ち小便」をするドライバーも…

 ドライバー側の汲むべき事情もあるようですが、一方で、擁護できない行為も…。道路上でおもむろに「立ち小便」をするドライバー。これはいけません!

 (記者)「駐車禁止というのは把握してる?」
 (ドライバー)「みんなわかってるでしょ、トラックの運転手は。逆に言えばそういうこと言うたらなにもできひんくなる」

 “路上駐車はしかたがない”と主張。そのうえで立ち小便については…

 (記者)「立ちションしてました?」
 (ドライバー)「してた、ごめんごめん。ほんまはあかんけど」
 (記者)「迷惑行為だと思いますが?」
 (ドライバー)「しょうがないわ、みんなやってること。みんなやってたらあかんねんけど。ある意味トラックの運転手ならしょうがないわね」

警察が取り締まりを開始

 そして4月28日午前6時半。しびれを切らし、ついに、警察が動きました。

 (警察官)「違反となりますので、降りてきてもらってもいいですか。今回1点減点と1万2000円の反則となります」

 違反しているトラックに対し、反則切符を交付。ドライバーは反則金1万2000円を支払わなければなりません。

 (警察官)「時間調整?」
 (ドライバー)「そうですね」
 (警察官)「5時くらい(からいると)言うてたもんね」

 警察はこの日、ドライバー4人を摘発。反則切符を交付されたドライバーは…

 (記者)「反則金1万2000円はどうですか?」
 (ドライバー)「痛いね」

 なくならない大型トラックの路上駐車。安全を守るために根本的な解決策が求められます。
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2025年04月29日(火)現在の情報です

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