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「本当に病気なのか」「詐欺まがい」ペットの治療費クラファンに『誹謗中傷』...送り主の主張「ペットは生活に必ず必要なものではない」

2022年06月13日(月)放送

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 ペットが病気になったときに飼い主に生じる金銭的負担。ペットの治療費は高く、高額な費用の支払いが難しいというときに「クラウドファンディング」を使うという手があります。クラウドファンディングは、様々なやりたいことを実現するためにインターネットを使って少額を不特定多数から調達するというもので、病気のペットを支援する目的のクラウドファンディングサイトもあります。法的に問題ないはずの“ペットの治療に対するクラウドファンディング”ですが、SNSでの誹謗中傷に苦しむ飼い主がいます。

飼い猫が病気に…治療費は総額240万円

 関西に住む小林さん(仮名)。
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 一緒に住む猫・きゅんくんは、今年4月に1歳になりました。元々小柄でしたが、突然食欲がなくなり、足を引きずるようになったといいます。

 (小林さん・仮名)
 「FIPっていう診断が下りたのが2月の頭くらいですかね」
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 FIPとは猫伝染性腹膜炎という病気で、胃や肝臓を含む腹膜に炎症が起きて神経麻痺などの症状が現れるといいます。その原因とされるのはコロナウイルスです。

 コロナウイルスは、人に感染する「新型コロナウイルス」や「重症急性呼吸器症候群(SARS)」などがありますが、一方で猫だけに感染するコロナウイルス「猫コロナウイルス」も大きな脅威となっています。体内で突然変異を起こすとFIPを発症し、その致死率は100%に近いと言われています。
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 (小林さん・仮名)
 「これがFIPの薬。これが神経症状を改善する薬とかステロイドとか。全部合わせて1日だいたい1万4000円ちょっと。やっぱりものすごくお薬が高い」

 FIPの治療は、延命のための対症療法しかできず、治療には保険が適用されない海外製の高額な薬を投与する必要があるのです。

 (小林さん・仮名)
 「(Q100万円くらいしますよね?)そうですね。薬代だけでそれくらいはします」
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 小林さんの猫・きゅんくんの場合、FIPの進行を止めるために1日1万4000円分の薬を84日間以上投与し続ける必要があります。薬代だけで120万円近くかかり、治療費は総額240万円に上るといいます。

 (小林さん・仮名)
 「さすがに私だけの給料ではFIPの治療の薬を買うことは難しい。周りの方に相談したら『クラウドファンディングされている方もたくさんいるしやってみたらいいんじゃないかな?』と声を掛けていただいた」

クラウドファンディングで治療費募ると届いた“攻撃的なメッセージ”

 猫の感染症FIPを巡っては、治療費が高いことから諦める人もいる中で、すがる思いでクラウドファンディングで薬代を募るケースが急増しています。

 小林さんは夫が事業に失敗したり、新型コロナウイルスの影響で厳しい生活が続いていたことから、きゅんくんの病状を伝えて、「治療費支援」として今年2~4月末までの期間で150万円を募ることにしました。しかし…。
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 (小林さん・仮名)
 「『クラウドファンディングで猫の治療費を募るのは最低だ』みたいなことをツイートされている方がいて。私個人を攻撃するようなことがどんどん増えていった」
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 クラウドファンディングを始めた直後に寄せられたメッセージには次のように書かれていました。

 【メッセージの内容 Twitterより】
 『詐欺まがいのクラファンしている方のほうが捕まりますよ!』
 『調子悪い!持ち直した!調子悪い!って繰り返してますがちゃんと毎日投薬してるんですかね?』
 『そもそも本当にFIPなのでしょうか』
 『他人にお金を無心する図々しさがそのまま体型に表れているようですね』

 その多くが誹謗中傷ともとれる内容でした。

 (飼い猫がFIPを発症 小林さん・仮名)
 「周りの方も気づいて助けてくれていたんですけど、周りの方が反応すれば反応するほど酷くなっていって、ちょっと精神的に参ってしまって」

 なぜこうした誹謗中傷が送られてくるのか?実はこれまで、ペットの治療費を募ったクラウドファンディングで、死んだはずの飼い犬が「闘病中」などと嘘をついて支援金を騙し取ろうとした女が逮捕される事件などが起きています。こうした一部の不届き者の存在が、切実な思いで支援を求める人にも影響を与えているとみられています。

応援と共に“心無い声”…それでも「命が一番大事」

 実際に被害を受けた別の飼い主・駒井さん(31)に話を聞きました。

 (飼い猫がFIPを発症 駒井さん)
 「FIPですね。想像もしていなくて気持ちの整理はなかなかつかなかったという感じです」
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 猫・ニコちゃん(1)を飼っている駒井さん。ニコちゃんも今年2月にFIP混合タイプと診断されました。

 (駒井さん)
 「おなかが異様に膨らんでいたっていうところで気になって病院に行きました。(Q治療で困ったのは?)お金ですよね。少なくとも100万円。正直、最初は一瞬天秤にかけたというか、お金と命と。すごく考えました」
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 自身の保険を解約するなどして治療費を捻出しようとしましたが、それでも足りない分をクラウドファンディングで支援を求めました。すると応援と共に心無い声が寄せられたといいます。
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 (駒井さん)
 「『飼い主として自分たちで責任を果たせ』というような声もあれば、『本当はお金あるだろう』とか。ご指摘いただいていることも理解できるので。それも理解して、この行動に対して後悔はないというか、最終的には命が一番大事」

執拗にメッセージを投稿したアカウント「ペットは生活に必ず必要なものではない」

 クラウドファンディングで150万円の支援を求めていた小林さん(仮名)。同じ病気の飼い主などからも支援を受けて目標額を達成することができました。
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 病気が真実であることを伝えるために領収書や治療の経過を随時公表していましたが、批判はやみませんでした。
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 一体なぜ、攻撃的な言葉を向けたのか?取材班は、執拗にメッセージを投稿していたアカウントAにその真意を尋ねてみました。
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 するとこんなメッセージが返ってきました。

 (アカウントAからの返信内容)
 『ペットの飼育は人の生活に必ず必要なものではなく、あくまで趣味の範囲。一般的に家や車を購入する際、足りなければローンを組み返済していくが、ペットとなると冷静な判断が出来ない方がいる』

 誹謗中傷について回答を求めましたが、その返事はありませんでした。

「実際に見てないのになんでそんなことが言えるんだろう」

 FIPの治療を受ける小林さんの猫・きゅんくん。月に数回、自宅から車で2時間ほどかかる動物病院で検査を受けています。発症当初よりは食欲は戻り快方に向かっていますが、今後も治療は続いていきます。
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 (飼い猫がFIPを発症 小林さん・仮名)
 「私のことは言われても仕方がないかもしれないですけど、きゅんが死ぬ死ぬ詐欺だとか、本当は病院に行っていないだろうとか、実際のきゅんを見てないのになんでそんなことが言えるのだろうと」

 飼い猫を救うクラウドファンディング。ペットも家族の一員として支援を求めることに批判的な声があることは理解していますが、誹謗中傷は許されるものではないと飼い主らは訴えています。

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