2021年08月19日(木)公開
繁華街で相次ぐ『不法投棄』冷蔵庫や電子レンジ..."コロナ廃業"が影響か 撤去しても止まらず街が憤懣
特盛!憤マン
大阪の繁華街でごみの不法投棄が相次いでいるといいます。新型コロナウイルスの影響で廃業に追い込まれた飲食店が不法投棄したとみられていて、商店街が怒りの声を上げています。
プリンター、電子レンジ、まな板、冷蔵庫…
大阪・キタの繁華街、阪急東通り商店街などがある堂山町。今年6月24日、取材班が訪れると思わぬ事態が起きていました。
細い路地裏にうず高く積まれた大量のごみ。目の前の空き家が隠れるほどになっています。もちろんここは、ごみ捨て場ではなく、全てが不法投棄だといいます。
(堂山町会 尾田光宏会長)
「ビデオデッキがありますね。プリンターですかね、電子レンジがいくつかあって、下の方は劣化がひどいですね。臭いもかなりする。まな板、ワインクーラーですかね。中はこんな状況ですね、グラスが放置されている」
さらに…。
(記者リポート)
「冷蔵庫があるんですけれども、大きな汚れなどはなく新しそうです。最近捨てられたのでしょうか。中には炭酸飲料が残っていますね」
他にも食用油が入ったケースなども無造作に捨てられていて、火災が起きると非常に危険な状態です。一体、誰がごみを捨てているのか?
(堂山町会 尾田光宏会長)
「新型コロナウイルスの影響で店を閉められて、ごみの処分費用が発生しているので、こちらに置いているということではないかと思っています」
コロナ禍で閉店した近隣の飲食店が不法投棄しているのではないかとみられています。
人目に付きにくい不法投棄現場
周りの店は不法投棄を目撃していないのか?目の前の飲食店に話を聞きました。
(「猫と卵」のオーナー)
「実際に捨てているところは見ていないですけれども、夜中とか昼の営業がない状態の時に、みんな捨てに来ているみたい」
地図で見てみると、不法投棄された場所は梅田の東側にあり、阪急東通り商店街や阪急東中通り商店街をつなぐ路地裏です。現場は細い十字路になっていて、人目に付きにくい場所になっています。
町内会では商店街の大通りに防犯カメラを複数台設置しています。しかし路地裏は死角になっていて、不法投棄した人物やその瞬間などは映っていませんでした。
苦境の飲食店
4回目の緊急事態宣言真っただ中。堂山町にある中華料理店「チャーシューパンチ」では、要請に従って売り上げの要となる酒類の提供をやめています。
(「チャーシューパンチ」の店主)
「いつまでもこんなことが続くようだと僕らも困りますし。働いているアルバイトスタッフも生活があるので」
帝国データバンクによりますと、新型コロナウイルスの影響で倒産した企業の数は去年2月から1886件(今年8月16日時点)に上っていて、飲食店が最多の312件と2割近くになっています。
大阪・ミナミにあるラーメン店。1杯800円の中華そばが約7年間にわたって親しまれてきました。しかし、協力金の支払いの遅れなどもあり、今年9月に店を閉めるつもりだといいます。
(閉店予定のラーメン店のオーナー)
「給付金が全然入らないので。僕も半年前ぐらいに申請して、まだ何も入ってこないし、何の連絡も何もないので。全部貯金から使ったんで、これ以上は払えない、やっていけない」
閉店を前に悩ませているのが、これまで使ってきた厨房機器の処分についてです。
(閉店予定のラーメン店のオーナー)
「処分費用を出さないとしかたないですよね。どんだけかかるかわかりませんし、だいぶ厳しいですね。正直ほんまにやっていけていないですもんね」
売り上げが激減する中、処分の費用をさらに捻出する必要があり、飲食店側は苦境に立たされているようです。
厨房機器の買取会社「処分にはまあまあの金額はかかる」
東大阪市内の倉庫に運ばれてくる冷蔵庫などの厨房機器。
(テンポスバスターズ 丸山隆行エリアマネージャー)
「焼き鳥屋さんを経営していたところの引き上げの商品です。今回残念ながら閉店という形で、うちが引き取らせてもらっています」
こちらの業者は新型コロナウイルスの影響などで閉店した飲食店から厨房機器の買い取りを行っています。基本的には何でも買い取るといいますが、それでも買い取れないものは大きいものだと数万円の処分費用がかかるといいます。
(テンポスバスターズ 丸山隆行エリアマネージャー)
「閉店した時に物件を何もない状態で戻さないといけない。搬出する作業費とか商品を処分する金額もあると思いますので、まあまあの金額はかかると思います」
大阪市が全て撤去したが…
不法投棄が続いている大阪・キタの堂山町。6月29日、大きな動きがありました。町内会の要請を受け、大阪市が空き家の所有者の許可を得て、不法投棄されていた全てのごみを撤去することになったのです。
細い路地から冷蔵庫や洗濯機など次々とごみが運び出され、2トントラックがいっぱいになりました。
(堂山町会 尾田光宏会長)
「全然変わりました。景観が全然違う。衛生上の問題もそうですし、すっきりしました、おかげさまで。ありがとうございました」
ごみが撤去され、これまで狭かった路地裏が広々と見違えるようになりました。これで一件落着かと思われましたが…。
10日後の7月9日、町会長から連絡を受けて取材班が現場に駆け付けると、そこには電子レンジが置かれていました。
(堂山町会 尾田光宏会長)
「電子レンジですね、かなり使われた形跡のある年季の入った。おそらく昨夜(置かれた)。ひどいですよ。絶対に許せない」
町内会は警察に被害届を提出しました。
繰り返される不法投棄
再び繰り返された不法投棄。取材班はその瞬間を捉えるために、関係者の許可を得てカメラを設置することにしました。映像を確認すると、大勢の人が路地裏を通っているのがわかりますが、ごみを置く人の姿はありません。そんな中、8月16日…。
(堂山町会 尾田光宏会長)
「残念ながらここのスペースに不法投棄されていた」
今度は空気清浄機が置かれていました。その場所はカメラの死角になっていて犯人の姿を捉えることはできませんでした。
(堂山町会 尾田光宏会長)
「限りなく怒りの気持ちでいっぱいですよね。せっかくきれいにしていただいたのに。ごみ捨て場ではないのでここは。通路ですから」
飲食店にとっては厳しい状況が続いていますが不法投棄は許される行為ではありません。町内会側はさらに防犯カメラを設置するなど対策を検討しています。
(8月18日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」内『憤マン』より)
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