「あの先生のところに行ったら治る」世界最高峰の脳神経外科医・加藤庸子が考える"いい医師"とは?

日曜日の初耳学 復習編

2022/10/19 12:00

10月16日に放送された「日曜日の初耳学」に、世界的な脳神経外科医の加藤庸子さんが出演。女性脳神経外科医として手術数が世界一という加藤さんが、“いい医師”の在り方について持論を語った。

■「できるだけ私の手で助けてあげたい」

「普段は"頭"の手術の中の、特に血管障害、脳の動脈瘤の手術をしています」という加藤さん。日本人に多いと言われ、死亡率も高いくも膜下出血の原因となる脳動脈瘤を、"クリッピング"といわれる技法などを使って治療する。

一般的な脳外科医が手掛ける手術数が年間30件のところ、加藤さんは年間150件もの手術を担当。これまで行った手術総数は3,000件以上にのぼるといい、この日の収録現場でも「家族を加藤さんに救っていただいた」というスタッフが2人も。

加藤さんは、自分の携帯電話の番号を書いた名刺を患者に渡し、いつでも可能な限り電話に出ることにしているという。実際この日の収録の間にも、患者からの着信が。「どうされました?ああ、心配ですね。じゃあ明日来ていただいていいですか?」と、患者の不安を直接受け止めていく。

「本当に素晴らしいことをされている」と驚く林先生に、加藤さんは「患者さんとの歴史がありますから、できるだけ私の手で助けてあげたい。電話って、掛けたい時が、返事が聞きたい時だと思うんですよね」と、名刺に託した思いを打ち明けた。

■「3分診療ではダメ」バスツアーを行う理由

加藤さんの1日は、分刻みで進む。朝4時に起床し、6時半には回診を開始。8時からカンファレンス、9時から外来の診察を行い、手術の立ち会いをしつつ午後は自身が担当する患者の手術。その後も回診や打ち合わせが続く。

40年ほど前からは、担当した患者たちを集めたバスツアーを開催している。神経が密集する脳の手術では、手足に麻ひなどの後遺症が残ることもある。

「実際に階段やバスの昇降をやってもらうと全然ダメなんです。そういうところでその患者さんが日常苦しんでいるところを掴まなきゃ意味がない。"3時間待って3分診療"ではダメなんだと」という加藤さん。ほかの患者と一緒に過ごすことで、患者自身が「今の私は大丈夫なんだ」「手術から何年経ったらこうなるんだ」と確認できるのも、ツアーのいいところだという。

さらに、発展途上国へ医療技術を教えに行く活動も行う。「補助金は、待っていてもうまい具合にヒットしないから」と、費用は自ら負担。同じ志を持つメンバーとチームを組んで、多い時期には年間20か国も訪れる。「そういう生活をされているから、飛行機に乗っている時間が"休日"だと?」と林先生に問われると、加藤さんは「当たりです」と笑顔を覗かせた。

■「技量や知識だけじゃない」いい医師の条件とは?

林先生が"いい医師"の条件を尋ねると、加藤さんは「当たり前のことですが、あの先生のところに行ったら治る、ってことですよね」と即答。

「治す力の中には技量や知識だけじゃなく心のケアが大事。患者さんは大きな風穴が胸にあいた状況で私たちの前に座られるので、患者さんが扉から入って自分の前の椅子に座るまでの間に何を悩んでるのか、どこに穴が開いてるのかわからなきゃダメなんです。そういう(精神的な)ことも大きく含めた治療ができる医者がいい医者じゃないのかな」と語った。

後輩に伝えたいことは、"困った時は患者に戻る"ということ。「困ったら『患者のために私はどうすればいいんだ』ってことに戻る。患者にとって何が一番大事かを考えて。それが一番の答えかな」と話した加藤さん。

あまりの多忙ぶりに林先生が「大変なこともたくさんおありなんですね」と驚くと、加藤さんは「そうですか?楽しいですよ」とにっこり。「これが私の生きがいかもしれませんね」としみじみ語った。


10月16日放送「日曜日の初耳学」より、世界最高峰の脳神経外科医・加藤庸子さんの貴重なインタビューを収めた<インタビュアー林修>、気になりはじめると止まらない!"フォント"に注目した<初耳トレンディ>がそれぞれTVerで見逃し配信中!

加藤庸子医師<インタビュアー林修>のTVerはここをクリック!
※10月23日(日)22:14終了予定

テーマは"フォント"<初耳トレンディ>のTVerはここをクリック!
※10月23日(日)22:14終了予定

「日曜日の初耳学」はMBS/TBS系で毎週日曜よる10時放送。
公式HPはこちら。

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