4月17日放送の「日曜日の初耳学」に、イェール大学で助教を務める経済学者・成田悠輔氏が登場し、林修先生と対談した。東京大学を卒業後、マサチューセッツ工科大学で博士号を取得し、現在は研究者としてソニーやYahoo!といった名だたる企業に意見を求められる成田氏だが、少年期は複雑な家庭環境で過ごし、不登校も経験した。人生のどん底から東大へ、驚きの逆転人生を送ってきた成田氏が、日本の格差や入試制度に潜む問題点をあぶり出した。
■「どうやったら格差を作り出せるか」を考える
成田氏との対談は、林先生自身が熱望した。入念なデータ分析を背景に、間違った常識や先入観を乗り越える"未来を見抜く力"が世界で評価される成田氏に、林先生はまず「日本の格差拡大についてのご意見をうかがいたいんですけれども」と切り出した。
成田氏の答えは「誤解を恐れず言うと、あんまり格差とか気にしない方がいいんじゃないか。というより、むしろ、どうやったら格差を作り出せるかという問題を考えたほうがいいんじゃないかなって」というもの。
続けて、経済指標などのデータを踏まえ「日本はここ数十年間で大きな産業、新しい富はほんとんど生み出せなかった。お金持ちも貧乏人も同じように貧乏になって、ある種の"一億層貧困社会"みたいなものが生まれてしまっている」と指摘。「弱者を助けるためにこそ、一時的に格差を作り出して、稼ぎまくって納税しまくる人を作り出すことが大事だと思うんです」と訴えた。
思い込みや常識にとらわれない自由な発想を貫くことは、なかなか難しい。その理由を成田氏は「やっぱり僕たちの中に、仕事や肩書を手に入れた時にそれを離すまいとするすごく強い心があると思う」と指摘。
そして、「そこから自由になるために、自分がいる業界と全然違う世界とかかわってみる、全然違う世代の人と突然かかわってみる、アウェイな状況に飛び込んでいく経験が重要だと思うんですよね。そういう経験をすればするほど、自分に沁み込ませてしまった、凝り固まった価値観を少しキャンセルできる」と、コツを打ち明けた。
■成田氏が考える理想の大学入試システムとは?
輝かしい経歴を持つ成田氏だが、生い立ちは壮絶だった。物心つく前から家計は苦しく、高校時代に父親が蒸発。母親は病気で倒れ、実家は自己破産した。自身も精神的に不安定で、不登校も経験し「なんでこんな人生を送ってるんだみたいな感じがすごくある子ども時代だった」という。
複雑な家庭環境からイェール大学助教へ。大逆転人生を実現するうえでポイントとなったのが、"詰め込み型"と揶揄(やゆ)されることも多い日本の大学入試システム。
「日本の入試って、よく叩かれるじゃないですか。でも実際は、カギカッコ付きではあるけども『公平』な仕組みなんじゃないかと思っていて」「どんな場所に生まれた人であろうが、親にお金があろうかなかろうが受験というゲームを乗り越えさえすれば学校に入れると保証されている」と指摘した。
その一方で、「(学業など)特定の能力だけを重視しすぎるものになってるのは間違いない」とも指摘。日本の受験制度の将来について「いろんなタイプの能力を測れるような形で、いろんな試験が共存する。評価の仕方自体が何百個もある入試」こそが理想だと語った。
■「自分の中の個性を見つめ続けて」若者へのメッセージ
常識にとらわれず、自由な発想で質問に答えてきた成田氏。最後に林先生から「これからの時代を生きていく若者、日本人に最後のメッセージを」と求められると、世界を担っていく若者たちへ、期待を込めてこう語った。
「僕たち所詮、自分以外の存在にはなれないじゃないですか。お手本にどう近づくかを考えるより、それと自分は違う存在なんだっていう違いを認めて、近づこうとする欲望に抗って、今自分のいるところ、自分の中の自分の個性を見つめ続ける。それを他人に向かってどう説明したり、叫んだり、表現するかを考えることの方が重要なんじゃないかな。どんな人も、その人の個性を突き詰めると"変な人"になれるんじゃないかな」
誰にでもある無意識の"思い込み"に注意を促し、新しい視点を持つことの重要性に気づかせてくれる成田氏の言葉の数々。対談を終えた林先生は、「これが世界の本物かと。何一つ反論が出ない」と深く感じ入っていた。
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「日曜日の初耳学」はMBS/TBS系で毎週日曜よる10時放送。
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