「ひとり世帯を狙え!」2000億円をだまし取った史上最悪の巧妙な詐欺の手口

5分で読める!教えてもらう前と後

2018/09/29 12:00

1985年、取材中のテレビカメラの前で会長殺害の一部始終が報道されるという前代未聞の結末をむかえた巨額詐欺事件、「豊田商事事件」。9月25日放送の「教えてもらう前と後」では、被害者およそ2万7000人、被害総額2,000億円にも及んだこの史上最悪の詐欺事件をきっかけに、日本である制度がスタートしたことについて弁護士の住田裕子先生が解説した。

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ありもしない「金」を売りつけ、被害が拡大

1981年、大阪で設立された「豊田商事」は最盛期には従業員7500人、全国におよそ60店舗。表向きは資産価値があると注目された「金」の販売を行う会社。しかし、その実態は「金」を持っていなかったのだ。ありもしない「金」を売りつけ、お金をだましとる"ペーパー商法"を用いた詐欺会社だった。その会社を率いて2,000億をだまし取っていたのが、テレビカメラの前で殺害された永野一男会長だ。

豊田商事は一体、どんな手口で人々を騙していったのだろう。今回番組が入手した内部資料には、異常ともいえるテンションで「ワッショイ!ワッショイ!」と大声で叫ぶ社員たちの姿が映っていた。そして、「絶対に契約できるコツを教えてあげましょう」と熱弁をふるう音声や、巨大詐欺グループの実態が明らかになる社員教育用のビデオの存在も明らかに。そこには「一人で家にいる人を狙え」「銀行預金よりやや有利だと強調せよ」「本物の純金を手に持たせて重さを実感させよ」など、ウソと巧妙な話術を駆使する方法が。さらに、「契約が取れるまで家を出るな!」など居座りや土下座もいとわないセールス方法で、ありもしない金塊を売りつけたのだ。

豊田商事事件がきっかけで、契約解除が可能に!

そんな豊田商事も、1985年に会社が破産する。
被害者およそ2万7000人、被害総額は2,000億円という豊田商事の商法は社会的にも大問題となり、豊田商事関連専用の相談窓口が設置されるほど。この前代未聞の詐欺事件を受け、消費者保護を目的とした制度ができた。いわゆる"クーリング・オフ制度"のこと。契約時点から一定の期間内であれば、消費者が契約を解除できるのだ。

住田弁護士「これまでは法律がなかったので、トラブルが起きても基本的には泣き寝入りという形だったのが、気に入らないとか嫌になったという理由でも契約を解除できるようになりました」
ただし、このクーリング・オフ制度は、定められた期間内でなければ解約は認められないので注意が必要だ。

しかし「豊田商事事件」から33年たった現在でも詐欺事件はなくなっていない。それどころか、オレオレ詐欺は増加傾向にある。2018年の上半期は、特殊詐欺の被害額がおよそ174億円にものぼった。
住田弁護士「誰に頼ったらいいかと悩んだ時は、ここに連絡してください!消費者ホットライン「188」です。関西のおばちゃん風に覚えてください「いやや」です!」

「教えてもらう前と後」はMBS/TBS系で毎週火曜日よる8時放送。
政治・経済・健康・アート・歴史など毎回その分野のスペシャリストが登場し、決定的瞬間を教えてくれる。
「知のビフォーアフター」が体感できる番組。

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