日本が劇的に変化!アレもコレも歴史的事件がきっかけだった!

5分で読める!教えてもらう前と後

2018/05/10 16:27

「教えてもらった前と後で、見る目が変わります!」を合言葉に、滝川クリステルと学ぶ今回のテーマは……池上彰と学ぶ「ニッポンが動いた日」と「君たちはどう生きるか」。「ニッポンが動いた日」編では、歴史に残る大きな事件や出来事をきっかけに日本がどう変わったのかを池上目線で解説します。また「君たちはどう生きるか」編では、池上が小学生の頃に出会い、心から感動したベストセラーを読み解きます。

「三億円事件」をきっかけに給料の支給方法が変わった

1968年(昭和43年)12月10日。府中刑務所裏の路上で現金輸送車が襲われ、現金2億9400万円が奪われた......。
白バイ警官を装い、現金輸送車を停めた犯人は「爆弾が仕掛けられている」と告げて運転手たちを降ろし、輸送車に乗って逃走。そして50年経過した現在も犯人と現金の行方は分からないまま。
昭和の未解決事件として今でも日本人の記憶に残っている大事件のひとつである。

警察は目撃者の証言などから、犯人の顔の特徴を捉えた様々なパーツを合成したモンタージュ写真を公開。ヘルメットをかぶった男性の写真は、当時、警察署や交番はもちろん、街のいたるところに貼り出されていた。
しかし、そのモンタージュ写真が逆に捜査を混乱させた可能性があるかもしれないという。

そのことについて池上は、
「様々なパーツを組み合わせているうちに、実は犯人の顔とは似ても似つかない顔になってしまったのではないかとか、先入観を持たれてしまったのではないかと言われています。このことを教訓にして、現在では写真ではなく手書きの似顔絵捜査が主流になりました。人の手で描く似顔絵の方が犯人そっくりになることがあるようですよ」と解説した。

そしてここからが本題。池上は、捜査方法だけではなく、この事件がきっかけで日本人の生活スタイルが大きく変わったと教えてくれた。
「三億円事件をきっかけに、給料が振込みになりました」
いったいどういうことなのか。
「盗まれたのは大企業のボーナスとして運ばれてきた現金です。当時給料は、現金手渡しが主流でしたが、盗難にあう危険性があるから銀行振込みにする会社が増えてきました。そのことは、銀行にも良い結果をもたらすことになるんです。振込みにすると銀行にもお金が残り、これを貸し出すことができますよね。当時は高度成長期でしたから、日本の経済に良い効果があったといえます」

給料振込みをきっかけに防犯カメラに驚きの進化

さらに、給料を振込みにすることによって銀行の窓口業務も変化することになった。
「現金を窓口で引き出す時代でしたが、無人の預金引き出し機が登場します。1969年(昭和44年)、日本初のキャッシュディスペンサーが住友銀行の新宿支店と梅田北口支店で導入されました。暗証番号は金庫のようなダイヤル式で、当初は千円札を10枚、袋に入れて出す方式で金額は指定できませんでした。開発は食券の販売機を製作していた立石電機(現在のオムロン)です」と池上は解説する。

そして、時代とともに現金を引き出すだけのキャッシュディスペンサーは、預け入れや振り込みなどもできる機械〈ATM〉に姿を変えていきます。
「ATMは、オートマティック・テラー・マシーンの略です。銀行の窓口で顧客の応対をする人のことをテラーというので、人の代わりに預け入れや振り込みもできる機械がATMなのです。そして窓口が無人化することによって防犯カメラが普及し始めます」

日々進化を続けている防犯カメラ、なんと現在は犯罪を未然に防ぐことができるという。
日本で開発された最新機器。その驚きの機能とは、「犯罪をおこす前に不審者を見抜く」こと。このシステムは2014年ソチオリンピック会場の入場ゲートで採用され、1日あたり平均2600人の不審者を検知した。
カメラで写した映像を見てみると、不審者と感知されなかった人は緑の枠で囲われているのに対し、不審者と感知された人は赤の枠で囲われている。このカメラは、皮膚や唇、そしてまぶたなどの細かい振動を捉えることができる。こうした動きは精神状態によって変化するため、振動を分析して「攻撃性」「緊張」「ストレス」など様々な行動パターンを数値化した。それが一定基準に達すると不審者の赤枠になるという。
つまり、見た目ではなく精神状態を見抜く防犯カメラなのだ。

東日本大震災がきっかけで「LINE」が誕生

2011年(平成23年)3月11日。東北地方全域を襲った「東日本大震災」。この震災による犠牲者と行方不明者はあわせて2万人を超え、40万人を超える人々が避難所暮らしを余儀なくされた......。
首都圏でも交通機関が止まり帰宅困難者は500万人を超え、通信網も大打撃を受けて固定電話120万回線、携帯電話は1万5000もの基地局が停止するなど、大混乱に陥った。
この大震災をきっかけに、混乱の中でも連絡が取れるシステムが開発される。
それが、国内の利用者が7000万人を超える携帯アプリ「LINE」だ。

開発者は、家族と連絡が取れず不安になっている人たちを見て「こんな状況でも連絡が取れるシステムを作ろう」と考えたそう。そしてツイッターのシステムを利用できないかと思い立ち、わずか1か月半で完成させたという。
相手がメッセージを確認すると「既読」と表示される機能は、返信がなかったとしても生存確認がとれるという画期的なシステムだ!

震災のホットラインとして生まれた「LINE」の本社を滝川クリステルと博多華丸・大吉が訪れた。
社員の平均年齢は34歳。若い人たちが中心の社員用カフェは、ビリヤードやダーツも設置されているおしゃれな空間になっている。パソコンを持ち寄って打ち合わせをしている人もいれば、畳が敷かれたスペースで寝転んでリラックスしている人もいる。
それを見て「馴染めるかしら...」と不安気な華丸に対し、大吉は「この空間の中、これだけ人がいる場所でダーツする社員さんは大したタマだと思いますよ!」

三人はさらに災害時に役立つ「位置情報通知」機能について教えてもらう。
自分が居る場所の地図を相手に送信できるこの機能。これを使えば、災害で混乱している中でも家族や知人に居場所を知らせることができるのだ。
華丸「もう、そこから何が見える?とか聞かなくてもいいんですね!」
大吉「◯◯を背中にして右、左とかも言わなくていいってことですね」

2016年の熊本地震では「LINE」を使った情報伝達が話題になった。
グループを作ってお互いの安否を確認したり、教師が生徒へ一斉にメッセージを送って、既読機能を使って短時間で生徒の無事を確認したという。
滝川は「きっかけがやはり東日本大震災だったということで、社員の方は熊本で活用されたのは何よりも嬉しいことだったのでは」と感じたという。
今後、さらに災害に強い「LINE」となるべく、新たな機能も開発中だそう。

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