MBS 毎日放送

2018年02月05日 17時13分 公開

伝説の仏師・運慶と、父の背中を見て育った息子たちが遺した国宝

「教えてもらった前と後で、見る目が変わります!」を合言葉に、滝川クリステルと学ぶ今回のテーマは・・・「日本人なら知っておきたい、国宝」。一度は見ておきたい、国宝に指定されている仏像を紹介しながら、そこに隠された驚きの事実について掘り下げます。仏像界にも階級がある? 仏像の手の形に隠されているメッセージとは?といった、知っているだけでご利益がありそうな話題をお届けします。

仏像界に革命を起こした天才仏師・運慶

奈良の東大寺・南大門で参拝客を威圧感たっぷりに見下ろしている国宝「金剛力士立像」。阿形(あぎょう)と吽形(うんぎょう)の2体は、鎌倉時代の1203年、運慶が中心となり制作されました。

そんな金剛力士立像について、「週刊ニッポンの国宝100」の高橋編集長が教えてくれました。
「実はこの金剛力士像には3000のパーツがあり、プラモデルのように組み立てられたのです。」

浮き出た血管や筋肉の凹凸、木目を活かした指紋などが細部にわたって表現されています。これらは全て組み立てる前に計算して彫られたのだとか。そのパーツの数は、一体で約3000個。顔だけでも110のパーツが使われているそう。しかも驚くべきことに、設計図は存在していません。運慶の頭の中だけに存在している設計図を元に組み立てられたのです。

こうして運慶は日本の仏像界に斬新な技法を用いて革命を起こしました。
他の仏師が造った仏像と比べてみると一目瞭然。運慶の作品は、眉間の彫りの深さやほうれい線など、顔全体が躍動感をもっています。また、強烈な目力を放つ瞳には水晶が入っており、目玉や毛細血管を描きこんだレンズを内側から仏像にはめ込むことで、まるで生きているかの様な印象になっているのです。立体感と精密さ、そして輝く瞳で、運慶は仏像に命を吹き込んだのです!

さらにもうひとつ、見るものの心を鷲掴みにする天才の技が「金剛力士立像」に施されていました。
実は腰の位置を低くして、わざと短足に作られているのです。阿形と吽形の2体は「5頭身」。これは、参拝客が下から像を見上げるということを緻密に計算した運慶の知恵が反映されてのことでした。
それによって、目の前に本当に存在しているかのようなリアリティー溢れる仏像となり、鎌倉時代から800年の時を経てもなお人々を魅了してやまないのです。

運慶からすごい技術を継承された息子たち

京都の六波羅蜜寺に、運慶の四男が造ったとされる「空也上人立像」が安置されています。平安時代中期の僧・空也をモチーフにした像の口からは小さな6体の仏像が飛び出しており、それぞれが「南」「無」「阿」「弥」「陀」「仏」の意味を表しています。右手に撞木を持ち左手で鹿の杖をつき、膝を露にした足は草鞋をはいています。そして胸に金鼓を抱えて念仏を唱える空也の口からは六体の阿弥陀が現れた、という伝承を表現しているのです。写実的なこの彫刻は、重要文化財に指定されています。

そして鎌倉の明王院に、運慶の次男・肥後定慶(ひごじょうけい)が造ったといわれている「不動明王像」があります。同じく重要文化財であるこの仏像に、最新の配慮が施されていると聞いて、滝川クリステルと博多華丸・大吉がいざ鎌倉へ。
鎌倉には全く縁がないという華丸・大吉と、休日にワンちゃんを連れてよく鎌倉を散策するというおしゃれな私生活を送る滝川が、副住職の仲田昌弘(しょうこう)さんの案内で、最新装備が整っている不動明王像を参拝させていただきました。

明王院は、1235年(鎌倉時代)に四代将軍・藤原頼経により建立されました。日本が初めて外国から攻め込まれた「元寇」の際、この寺で退散の祈願が行われ、国難を救ったとされているのです。
そのエピソードから「どうしても叶えたい、ここ一番のお願い」をすると、不動明王さまのお導きがあるといわれているそう。
ちなみに、華丸が〝どうしても叶えたい〟とお願いしたのは「娘のダイエットが成功しますように!」。

ところで「不動明王像」に施されている最新の配慮とは何のことなのか。お願い事をした3人が顔をあげると、驚きの光景が!
なんと、「不動明王像」が左右に揺れているのです。
これは、震度7の揺れに対しても仏像を守ってくれるという、最新型の免震装置。しかし、なぜ仏像に免震装置を施したのでしょうか。
そのきっかけは東日本大震災。未曾有の大災害が起きた2011年、鎌倉の国宝館から「仏様の展示をさせてほしい」という要請を受けた明王院は「本来ならばお断りするのですが、不安な時にこそ、仏様をお参りしやすいところに展示して、少しでも国難の救いになれば」と、快諾したのだそう。

貸し出しして一か月半ほど経ったころ、見学していた文化庁の方から「この仏様は、もしかして...」と声をかけられたそう。それがきっかけとなり調査した結果、不動明王像は鎌倉幕府の将軍の発願によって作られた仏様の中で残っている、唯一のお像だということが判明したのです。それによってこの不動明王像は国の重要文化財に指定され、しかも免震装置を取り付け「あの国難を決して忘れないように」というシンボルになったのです。
つまり、世に出たことで不思議なお導きに恵まれたともいえるのです。