「数学は人生に必要ですか?」10代の若者からの直球質問に白熱講義

5分で読める!教えてもらう前と後

2017/12/15 17:00

「教えてもらった前と後で、見る目が変わります!」を合言葉に、滝川クリステルと学ぶ今回のテーマは・・・
「池上彰が選んだ決定的瞬間から2017年を振り返り徹底解説」と、「2017年に輝いた10代からの質問に池上彰が白熱講義」
「加計学園問題」「サウジアラビアの内紛」トランプ大統領の訪日」などニュースをにぎわせた話題に池上彰が独自の視点で斬り込みます。
「こんな見方があったのか」と目からうろこの納得解説。
また「数学はなぜ必要?」「戦争が終わらないのはなぜ」といった次代を担う若者からの素朴な疑問に池上が真剣に向き合います。

17歳の天才ゴルファー・石井理緒からの質問状
「いつ使うかわからないのに、数学の勉強は必要?」

並みいる大人のゴルファーたちを凌駕する17歳の天才ゴルファー・石井理緒。
2014年、フランスのジュニア杯で優勝し、現在は東京オリンピックを目指して日々奮闘している彼女からの質問、それは...
「ゴルフの試合で長期学校を休むことがあって勉強についていけないことがあるのですが、どうして数学を勉強しないといけないんですか。いつ使うのかもわからないのに...」
と、誰もが一度は疑問に思ったことがある質問が池上に届きました。

天才ジュニアゴルファーからの質問だけに、池上はゴルフを例に挙げて説明しました。
「池の淵にあるボールを向こう側に打つ時、池に落とさないように一度安全な方向に打ってから確実に送り出せる方法を選択することがありますよね。そうした三角形を頭の中にイメージして、瞬時に考え出せるのは算数から数学を勉強したからなんです。」
さらに池上の白熱講義は続きます。
「そして、物事をわかりやすく理解する能力は、因数分解で身につくと思っています」。数学で勉強した因数分解が実際に役に立っているという池上。
「y=ax+bx+cxを因数分解するとy=x(a+b+c)と簡単になりますよね。
これが世界の様々なニュースのなかで共通点を見つけ出すのに役立つんです。
たとえば一国主義でくくると、アメリカ・トランプ大統領やフランスのルペン旋風、中国の習近平体制やロシア・プーチン大統領がひとくくりで説明できる、これは因数分解を学んだからなんです。」
さらに解説はビートたけしにも及びました。
映画監督として頭角を現し、世界の北野と呼ばれるようになったビートたけしも
「映画の制作に因数分解が役立っている」と言っているそう。
池上「彼の作品では、人が殺されるシーンがよく出てきますね。例えば、3人殺すとします。殺される人を順番に殺して並べるだけでは単調になるだけですよね。そこで彼は、1人目の殺害シーンは丁寧に見せて、2人目からはすでに倒れているところから殺した人が出て行くシーンにする。そして、3人目に至っては血がついたナイフを拭くだけで、見ている側は殺したなということがわかる。そういう演出ができるのも因数分解を学んだからだとおっしゃっていました」

卓球・早田ひな17歳からの質問状
「なぜ戦争は終わらないんですか?」

11月19日、伊藤美誠選手と17歳同士でコンビを組んだ早田ひな選手は、世界ランキング1位と2位の最強中国ペアと激突。下馬評を覆して優勝し、世界に衝撃を与えました。多い時で練習は1日12時間。さらに、世界中を遠征する日々を送る最強卓球少女・早田から池上への質問は、
「世界で試合をする事が多いのですが、ある国の選手はボールが古かったり、ラバーが中古だったりと、環境が整っていない事が原因だとは思いますが、(環境が整っていない原因は)戦争につながっているんじゃないかなと思っています。なぜ戦争は終わらないのでしょうか」

戦争や紛争地域出身の選手は、道具がそろわずハンデを背負っていることが多い、そんな状況を間近で見て、戦争はなぜ終わらないのかと感じたという早田からの質問に「本当に究極の問題で、簡単に答えることができない」と、いつになく切なげに語る池上。
「昔、貧しい時代を生きていくために、食料が必要だから領地を確保するために戦争をしてきました。つまり戦争が頻繁に起きてきた地域は、土地が豊かだという証拠。現代においては、宗教の違いで戦争が起きていると言いますけれど、結局は土地争いなんです。様々な資源や食料を独り占めしたいという思いがあると、こうやって紛争は長く続くんです。逆に言えば、そういう事がないように努力することで戦争は起きないんです。資源やエネルギーを一緒に管理しましょうと仲良くしているヨーロッパでは、いま戦争が起きていませんから」

各界が注目する10代からの質問状を受け取った池上は、
「思わぬ質問にハッとすることもありましたが、若者からの質問によって目が開かされたと思うとありがたいですね。」
そして最後に、自身が好きな言葉について教えてくれました。
その言葉とは「無知の知」。
この言葉は「自分はモノを知らないということを知っている」という意味。
池上「皆さんからの質問を聞いて、なるほどそういう質問が出るのかとか、説明しようとしたけれどもそういえば自分はこういうことを知らないんだと気づかされたりもします。モノを知らない人は、自分がモノを知らないということに気がつかないんですね。でも今回、色々なことを知った一方で、色々なことを知らないなということにも気がついたと思います。ここが第一歩なんです。自分はモノを知らないということを知れば、ここから先に進んでいくことができますよね」

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