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【NTT子会社】個人情報900万件流出 悪質商法ジャーナリストは「違法な業者に渡った可能性高く、強盗・詐欺など闇バイトに使われるおそれ」

解説

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NTT西日本の子会社の元派遣社員が、顧客の個人情報約900万件を不正に流出させていた問題。一部は名簿業者に渡っていたということです。流出した情報はどのように使われるのでしょうか。詐欺・悪質商法ジャーナリストの多田文明さんは「違法な名簿業者に渡った可能性が高い」とした上で、「高齢者の情報が犯罪組織に渡れば、今起きている強盗や詐欺の一助になっている可能性もある」と厳しく指摘します。(2023年10月18日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」より)

岸和田市民、河内長野市の個人情報も流出

◎多田文明:詐欺・悪質商法ジャーナリスト あらゆる詐欺・悪質商法の実態に詳しい 100か所以上で潜入取材を経験

――企業や自治体が業務委託していたNTT西日本の子会社で働いていた元派遣社員が、サーバーに不正アクセスしてUSBに顧客情報を保存し、10年近くで900万件の顧客情報を流出し、一部は名簿業者へ渡っていたといいます。名前・住所・電話番号・クレジットカードの情報(81件)も漏れていたということで、例えば岸和田市民約1万5000人、河内長野市民約4400人の個人情報が流出しました。

(多田文明氏)個人情報の価格は、相場もあるので一概には言えないですけれども、まとめて売っていると思うんです。電話番号と名前ぐらいの情報だと安いんですが、個人情報がどんどん付加されて、例えばクレジットカード情報などは、裏の世界では何千円ぐらいで売られていますので、割と高い値段で売られる名簿もある。

「違法な名簿業者に渡った可能性」

――『名簿業者』といいますが、正規のものと、そうでないものがあり、正規の名簿業者は、関係機関に届け出るなど認可制になっています。名簿業者の名称や住所、代表者の名前、個人データの取得方法、本人の求めがあれば、第三者への提供を停止することなども含めて、個人情報保護委員会へ届け出を出して、公表が必要というルールです。多田さんは「今回の個人情報流出は、違法な名簿業者に渡った可能性が高い」ということですが。

(多田文明氏)非常に心配なのは、高齢者の方とか、中高年以上の方の情報、それがもし犯罪組織の側に渡ってしまえば、実際に強盗とか詐欺とか、今起きている被害の一助になっている可能性があるということで、本当はその辺も検証してほしいところです。

――違法な名簿業者の実態として、SNSなどで簡単に情報が売買できてしまうとか、買取価格は様々ですが、例えばクレジットカード情報なら1人当たり数千円。ただ数万円する方もいるということです。

(多田文明氏)日本のクレジット情報、売買されるのは2年前ぐらいですと5000~6000円です。そこにいろんな情報が付加されると1万円前後とかで売られる可能性は十分にあると思います。今回クレジット情報が盗まれているっていうところが非常に心配で、いまのところ81件という話ですけど、もっとあってもおかしくはないという気はして、今後の調査次第なのかなと思います。

「名寄せ」で情報がまとまると‥個人情報の単価上がる

――「名寄せ」というものがあるそうです。最初は生年月日・住所だけだった情報も、カード番号とか資産額、商品の購入履歴や家族構成がわかっていくと特定された価値のある情報となるため、名簿としての1人当たりの単価が上がっていくということです。バラバラの情報をあわせて情報価値を上げていくんですね。

(豊田真由子氏)私は情報は基本漏れているって思っているし、悪いことをしようとする人がいっぱいいるという前提で、身構えるのが大事。名簿が漏れているっていう前提でオレオレ詐欺に引っかからないとか、勧誘してくる商品に慎重になるとか、自分でセキュリティを張らないと守れない時代かなと思うんです。あと抑止力が大事で、今回は多分不正競争防止法に引っ掛かると思っていて、もしそうだと「10年以下の懲役または2000万円以下の罰金」になるんです。会社の方も、それを見過ごしたということで5億円以下の罰金になる可能性がある。社会的に、するとちゃんと罰せられるというふうにしないといけない。

(多田文明氏)そうですね、曖昧にして欲しくないです。犯罪集団というのは最新の情報が欲しいんですね。そうするといろんなものに使えるので。今回は900万件ですから1年間に換算すると90万件ですよ。それだけ多くの最新情報が行き渡ってしまったかもしれないということに対しての罰というか、そうしたものが必要になると思います。

疑わしい際は「こちら側のアクションも必要」

――今回のケースは「USBで抜き取って持ち出した」そんなことあるのかなと思ってしまうんですけど実はあった。企業の情報管理の仕方みたいなところは、考え直さないといけない。

(多田文明氏)今回のケース、22年4月ぐらいに1回疑って調査してるっていう報道が既にあるんですね。リストが漏れると、急に電話とか訪問が増えることがよくあるんです。そのときに「おかしい、出所はどこだろう」と問い合わせられたと思うんですが、そういったところに問い合わせるという「こちら側のアクションも必要」です。

――また、クレジットカードの明細は定期的にチェックが必要です。もし不正利用されたら保険が効くので、諦めずに交渉することは大事だと思います。

2023年10月18日(水)現在の情報です

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