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なぜ桜は『花だけ先に咲くのか?』葉桜が増え、桜を見上げてふと疑問...理由を専門家に聞いてみた

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 桜も満開のピークが過ぎ、花が散って“葉桜”へ移り変わってゆく時季です。桜並木も『ピンク一色』の光景から、すこし『緑色』が増え、いつの間にか白やピンク色は失われていきます。

もちろん毎年の光景で、当たり前のような話ですが、ふと考えると、一般的な植物は「葉をつけて→花が咲く」順番のイメージではありませんか?。一方、桜は順番が真逆です。なぜ桜は、葉より先に花だけが咲くのでしょうか?そのワケについて、大阪市立自然史博物館の佐久間学芸員に解説してもらいました。

実は桜の種類によって違う 花と葉

「前提として、桜にも花が先のもの、花と葉が同時のものなど、様々な種類があります。」佐久間さんよりますと、桜=花が先、というのはイメージに過ぎず、実際には葉が先のものもあれば、同時に開くものもあるそうです。

山に生えていることが多いヤマザクラやオオシマザクラは、冬芽の中に『花芽と葉芽がセットで』入っており、花と葉が同時に開きます。

一方、しだれ桜に仕立てられることの多いエドヒガンは、同じように芽はついていても、『葉芽は開くのを抑えて、花だけを先に咲かせる種』だそうです。

さらに、山に咲くウワミズザクラやイヌザクラは、葉が開いた後に花が房になって伸びていきます。

 花が先に咲く要因として考えられるのは、「目立つため」だと佐久間さんは言います。桜は虫に花粉を運んでもらって受粉する「虫媒花」に分類されます。そのため、受粉するために多くの虫を引き寄せる必要があり、その手段として邪魔な葉を後回しにし、花だけを先に咲かせることで目立つ形をとったのだと考えられます。

「花が先」のイメージはソメイヨシノ

佐久間さんは、「私たちが、“花が先”というイメージを持つのは、ソメイヨシノが花を先に咲かせる桜だからです。」と話し、植栽された桜の大部分を占めるソメイヨシノの特徴が、そのまま私たちの桜へのイメージになっていると推測しています。

ソメイヨシノは、大きな花を咲かせるオオシマザクラと、花だけを先に咲かせるエドヒガンを掛け合わせてできた品種です。結果、ソメイヨシノが引き継いだのは、「大きな花を、葉よりも先に咲かせる」というそれぞれの特徴でした。

 これが「お花見に最適」となり、全国に広まりました。人間が自ら「花だけが先に咲く」という都合の良い桜を作り、それが日本中に広まって、「桜=花が先」というイメージが定着したと考えられます。

実は葉桜が来年の「出来栄え」を決める

 ちなみに意外な情報として、ソメイヨシノは雑種のため、自身で種を作ることができず、エドヒガンのように虫を誘って花粉を運んでもらう必要はないそうです。

 そのため「花だけが先に咲いて」、「受粉のため虫を引き寄せる」という本来の特徴も、ソメイヨシノ自身にとっては、必ずしも必要な機能ではない、と佐久間さんは言います。

 今年は全国的に開花が遅れた桜。佐久間さんによると、来年の桜の“出来栄え”は、次の開花のための栄養を蓄える “葉桜”の時期にかかっているとのこと。お花見シーズンがすぎ、我々にとって春の行楽はひと段落つきますが、桜はすでに来年に向けて、大切な準備の季節に入ります。

2024年04月10日(水)現在の情報です

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