2024年04月16日(火)公開
【サッカー】「『颯太がいなきゃ』と思われる存在に」パリへ導くゴールに期待!川崎颯太"成長の原点"は『15歳の決断』 U‐23日本代表きょう(16日)中国戦【五輪アジア最終予選】
編集部セレクト
パリオリンピック出場をかけて、アジア最終予選に挑むサッカーU‐23日本代表。そのメンバーに選出された京都サンガF.C.のキャプテン・川崎颯太選手(22)は、「ボール奪取力」が武器の今注目される若手選手の1人です。「自分がチームの中心として、存在感を発揮する」こう意気込みを語る川崎選手に迫りました。
クラブ史上最年少でキャプテンに就任 「毎日努力したら、いずれ良い景色が見られると思う」
3年前の東京オリンピックで、久保建英選手や三笘薫選手らの活躍で快進撃を見せた日本。しかし、あと一歩及ばず結果は4位。悲願の金メダル獲得へ…今年4月4日、パリオリンピック出場権を懸けて戦うアジア最終予選のメンバーが発表されました。
(U‐23サッカー日本代表 大岩剛監督)「パリオリンピックに出場して勝ち抜くことに目標はあるんですけど、まずは最終予選をしっかりと勝ち抜くところにフォーカスをして、今準備を進めています」
7月に開幕するパリオリンピック。まずはその出場権をかけて戦う日本代表に選ばれた、京都サンガF.C.に所属する川崎颯太選手。去年、クラブ史上最年少となる21歳でキャプテンに就任した今日本で最も注目される若手選手の1人です。
(大岩剛監督)「京都でもあれだけのパフォーマンスと、チームからの信頼度。チームの中心としてみんなを引っ張ってくれる存在でもあります」
(京都サンガF.C. 川崎颯太主将)「やはり本番はパリにあると思うので、予選に選ばれたから満足するわけではなく、コンスタントに毎日毎日努力したら、いずれ良い景色が見られるかなと思っています」
そんな川崎選手の最大の武器は「ボール奪取力」。素早く相手のボールを奪い、攻撃の芽をつむディフェンス力こそが彼の一番の持ち味です。
それでも「オリンピック金メダル」という目標を持つ川崎選手は、今の自分のプレーに満足していません。
(川崎颯太選手)「純粋にゴールをとるためにどこに行くかだとか、相手ゴールをどんどん脅かすようなプレーをもっと増やさなければいけないなというふうに思いました」
オリンピックに向けて川崎選手にとっての課題は得点力。ゴールを奪うという目に見える結果を、自分自身に課しています。
今年3月までサッカー選手と大学生の“二刀流” 忙しい日々の中でも「学ぶ」ことをやめない姿勢
去年5月、取材班は川崎選手がいる京都サンガF.C.の練習場を訪ねました。川崎選手の1日は朝8時30分に始まります。2時間、みっちり練習した後は、時間の許す限りサポーターと交流。
そして、足早に向かった先は、立命館大学のキャンパスでした。そう川崎選手はプロサッカーチームのキャプテンでありながら、学生というもう1つの顔を持つ“二刀流”だったのです。
ゼミで学ぶ内容は「サッカークラブの地域貢献」について。忙しい日々の中、学ぶことをやめない彼の原動力とは…
(川崎颯太選手)「プロサッカー選手でいられる時間は一般の会社員に比べたら短いですし、少しでも学べることは学んでおいてから、セカンドキャリアを始めたほうが絶対に良いと思いますし、いつかはそれがサッカー選手としてもプラスになると信じてやるしかないなと思っています」
川崎選手はプロサッカー選手を引退した後の人生を見据えながら「今」を精一杯生きています。
プロサッカー選手と学問の二刀流を実践するその姿は、同年代の学生の心もしっかりと捉えています。
(在学生向けの講演会で話す川崎選手 去年6月)「セカンドキャリアをサッカー選手は、本当に何も考えていなくて。みんなで話をするんですよね、たまに。サッカー選手が終わったらどうしようか、みたいな話。稼げると思ってるの?と思いながら。そんな単純じゃねえだろみたいな、そのくらいサッカー選手は何も考えていなくて。それも1つ問題だとは思っていて」
戦う姿勢に知性を加えた川崎選手の生き方そのものがサポーターの心を捉えています。
(サポーター 去年7月)「大学生らしいチャーミングなところもあって、試合の時はすごく真剣な表情というのが、ギャップがすてき」
去年、現役大学生ながら異例となる日本代表にも初選出。そして、プライベートでも大きな変化がありました。去年11月、高校時代の同級生との結婚を発表。結婚相手とのなれそめをこう話してくれました。
(川崎颯太選手)「アラジンの実写版映画が4年前くらいにやっていて、それを見たのが付き合った日なんですよ。映画を見て告白したんですよね。(Q試合と告白、どちらが緊張?)告白はめちゃくちゃソワソワしました。エンドロールくらいからソワソワしました。いつするべきなんだろうみたいな」
サッカーを始めた当時は「ゴールにぶら下がっているだけ」 父が語る幼少時代
山梨県で生まれ育った川崎選手。取材班が甲府市の実家を訪れると、両親と愛犬が出迎えてくれました。川崎選手がサッカーを始めたのは幼稚園のころ。当時の印象は?
(川崎颯太選手の父・由太さん)「みんなと反対方向を向いて、ゴールにぶら下がっているだけで練習していないんですよ。この子はサッカーに向いていないのかなと思って、その時に(笑)」
しかしその後、サッカーにのめり込んだ川崎選手は、人一倍の負けん気で、人一倍の努力を重ね、頭角を表します。そんな川崎選手の姿を目の当たりにした両親は、こんな思いを持つようになりました。
(父・由太さん)「サッカーも一生懸命にやってもらいたいけど、それと同様に勉強も一生懸命にやってもらいたいという気持ちもありまして、数ある選択肢の中で、一番良いのが京都サンガだった」
15歳で単身京都へ 人生最初の大きな決断
京都サンガは、京セラ・立命館と手を組んで、勉強とサッカーの両立を目指す学生を支援しています。川崎選手は立命館の系列高校に通いながら京都サンガの下部組織に所属する決意をしました。15歳の川崎選手にとってそれは人生最初の大きな決断でした。その当時の思いを、自分自身に宛てた手紙に、こう綴っています。
『お前、京都に行くんだろ。今の俺は超怖い』
この手紙は、単身京都へ旅立つ自分を奮い立たせるために書かれました。
(父・由太さん)「卒業式が終わって(京都へ)行く何日か前に、急に、僕たちに話をしないで丸刈りにしてきたんですよ」
(母・亜矢子さん)「友達のお父さんの所に行って『丸刈りにしてくれ!』と言って、丸刈りにしてきました」
(父・由太さん)「だからよっぽど本人は強い覚悟をもっていったんだなと、今、改めて思います」
「恩返しのためにも、パリは絶対に行かなきゃ」
サッカーと勉強の二刀流を実現するために単身京都にやってきた15歳の決断が、川崎選手の成長の原点です。
(川崎颯太選手)「今まで積み上げてきた地位とかをなくして、全く俺のことを知らない京都に来てっていうのが、一番難しかったですし、逆にそこを乗り越えられたからこそ、今も乗り越えられていると思います」
川崎選手が日本を代表するサッカープレイヤーに成長できたのは“15歳の壁”を乗り越えた自信があったから。今年も2年連続でキャプテンを任される川崎選手。3月には大学も卒業し、また新たな一歩を踏み出します。
(川崎颯太選手)「本当に京都の人のいろんな支えがあって、ここまで来られたので、その人たちのために、恩返しのためにも、パリは絶対に行かなきゃなと思いますし、全ての試合で自分がチームの中心として、存在感を発揮して、チームを勝たせていければパリは見えてくると思うので、そこを自分に厳しく求めていきたいと思っています」
パリオリンピックイヤーの今年、得点力アップを課題に挙げていた川崎選手は、その人一倍の負けん気で、キャンプから自分を追い込み、さらなる進化を遂げました。3月2日、チームを今シーズン初勝利に導くゴールを挙げると、次の試合でも決め、2試合連続ゴール。アジア最終予選でも、チームをパリへ導くゴールが期待されます。
(川崎颯太選手)「『颯太がいなきゃ』というふうに思われる存在にならなければいけないと思っていて、『ピッチに颯太がいるだけで安心感が増す』とか、『チームにとって勢い増す』という存在になったら、チーム(日本代表)の中心としてやっていけるのかなと思います」
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