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【ダイハツ】 管理職と現場の乖離「失敗してもいいからチャレンジしよ、でスタートしても失敗したら怒られる」「間に合うのか」「何とかしろ」工場は26日全停止へ(従業員アンケート詳報)

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 「管理職は表向き『何でも相談してくれ』というものの、実際に相談すると、『で?』と言われるだけ…」。これは創業約120年の大手自動車メーカー「ダイハツ」の社員が漏らした言葉である。大規模不正を調査した第三者委員会の報告書では、役職員などを対象に実施したヒアリングやアンケートの声が公開された。そこには現場任せで管理職が関与しない態勢や、組織風土の問題が赤裸々に綴られている。 ダイハツはすでに、全車種の出荷停止を実施しているが、生産する工場も順に操業を停止し、26日に国内で全停止することになる。

「間に合うのか」「何とかしろ」 ミス叱責の風土…従業員の声(アンケートより)

◎管理職は表向き『何でも相談してくれ』というものの、実際に相談すると、『で?』と言われるだけで相談する意味が無く、問題点を報告しても『なんでそんな失敗したの』『どうするんだ』『間に合うのか』と詰問するだけ

◎「できない」が言えない雰囲気は、まだまだ残っているのではないかと感じる

◎不正行為の根本的な問題は、開発失敗・ミスを叱責する風土だと考える。日程を守りたかったから不正行為をしたわけではなく、日程を守れなかったときの叱責されることを避けたかったのでは?問題を起こした部署や担当者が会議で吊るし上げにされたり、必要以上の叱責を受けることがある。

◎『失敗してもいいからチャレンジしよ』でスタートしても、失敗したら怒られる

◎他者の失敗に対しては必要以上に叱責する場面も多い。またその解決に向けて協力する姿勢はなく、自分自身で元の描いたシナリオになるように『何とかしろ』が基本。助け合う風土は基本的にはない。

自己中心的な風潮、がリスク情報の伝達を滞らせた

 第三者委員会は、以上の声などから、現場が管理職に相談しにくい環境があったと指摘。また、「管理職の管掌する範囲が広範で、極めて多忙で、現場の業務や実情を理解する余裕がなかったとの供述が複数得られた」と、管理職側の状況も報告した。

 組織風土については、さらに厳しい指摘がなされた。「『自分や自工程さえよければよく、他人がどうであっても構わない』という自己中心的な風潮で、この組織風土がリスク情報の経営層への伝達を滞らせる土壌になっていた」とした。そして会見でこう述べた。

(貝阿彌誠 委員長)「こうした組織風土の問題は必ずしも開発部門に限られるものではなく、ダイハツの全社的な組織風土、すなわち「社風」として深く根付いている可能性があります。」

「組織的不正は認められなかった」けれども…

 第三者委員会は、【不正は組織的ではなかった】と認定した。それは詳しく書くと、「管理職が現場レベルの不正行為を指示し、あるいは黙認したというような、ダイハツが組織的に不正行為を実行・継続したことを示唆する事実は認められなかった」という。要するに管理職は「現場任せ」で、指示も把握もしてないから”組織的な不正ではない”というのだ。

 こうした社内の状況について第三者委は、「現場と管理職の乖離が顕著にみられた本件問題の特徴」と言い表し、自己中心な風潮がある組織風土については、部署間の連携も不足していると言い表した。

 大規模不正を調査した結果、明るみに出たのは、「上司と部下の縦の関係」「部署間の横の関係」双方の脆弱性だった。「組織的ではない」と評した言葉の真意は、ダイハツ工業は「組織の体をなしていない」という、厳しい指摘の表れかもしれない。

 アンケートで明かされた従業員の声には、どこかで耳にしたような話もあった。「組織の体をなしていない」職場は、果たしてダイハツに限ったことだろうか。

【ダイハツ工業 不正概要と原因・真因】

 自動車の安全性を確認するための試験を正しく行わず、不正なデータを用いて国の認証を取得していたことが今春明らかになり、今月20日、第三者委員会の調査で、不正は新たに25の試験項目で174あったことが判明。古いものは1989年から確認されていた。ダイハツは全車種の出荷停止を決定、生活に密接に関わる「自動車」企業の大規模不正は、世間に衝撃を与えている。

 不正行為の原因について、第三者委員会は、①過度に短期な開発スケジュールによる現場従業員への極度なプレッシャー、②現場任せで管理職が関与しない態勢、③業務のチェック体制の不備、などを指摘。さらに「真因」として、(1)不正対応の措置を講ずることなく短期開発を推進した経営の問題、(2)ダイハツの開発部門の組織風土の問題を挙げている。

2023年12月25日(月)現在の情報です

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