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『処遇は"金次第"』現地紙元記者が語るフィリピン収容所の"内部事情"「月額12万円のVIPルーム」「職員通じマクドナルド入手可能」

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全国で相次ぐ強盗・窃盗事件を巡って、『ルフィ』などのアカウント名を使う人物が、フィリピン・マニラの入管施設内から実行役に指示を出している可能性が浮上しています。その収容所施設の内部事情はどのようなものなのか、フィリピン現地紙の元記者・水谷竹秀氏は「収容者は面会した時や職員の銀行口座を通じて外部からお金を手に入れることができる」と話し、その金で収容所の中で食事が可能だということです。また、月額12万円で「VIPルーム」を借りたりしていたということです。収容所内の処遇はまさに「金次第」という実態を語ってくれました。(2023年2月1日MBSテレビ「よんチャンTV」より)◎水谷竹秀氏 フィリピンの日本語新聞「月刊まにら」元記者として10年以上現地で取材活動。ビクタン収容所は毎月取材していた

「最近はオンラインカジノ摘発の中国人収容者が増えている」

---現地の状況に詳しい方にお話を伺います。フィリピンで発行されている日本語新聞、日刊マニラ新聞の元記者の水谷竹秀さんに伺います。水谷さんは10年以上フィリピンを拠点に活動され、ビクタン収容所はフィリピンに滞在中月に1回程度取材で訪問されているということです。今、いろんなものが押収されたスマートフォンも出てきた。水谷さんはどういうふうに聞いてらっしゃいましたか。

収容所の手入れが入ったっていうのは報道でも見ましたし、今やり取りしている元収容者からも聞いたんですけれども、これまで過去にも結構何度か手入れは入ってるんですね。実際そのたびに携帯電話やパソコンが押収されているが、なかなかその状態が改善されていないでいたが、今回マルコス大統領の来日が控えているので、フィリピン政府としてはそういう是正をしたいという意思表示をしてはいるんですけれども、おそらくほとぼりが冷めるとまた元の状態に戻ってしまうんじゃないかなっていうふうに私は見てます。

---4人の容疑者が収容されているビクタン収容所の内部はこういうふうになってるんだそうです。まず入り口のゲートは、緑の屋根のようなものが見えていますけども、ここがこの正面ゲートで、ゲート入ると、中にこの鉄の柵があって、A棟B棟がある。水谷さんこういう状況ですね。
そうですね。その図の通りでゲートを入ると鉄柵が目の前になんていうか、ちょっと動物園をイメージするとわかりやすいかもわかんないすけど、そういう感じで鉄柵が目の前に立ってる。その両隣に一般の収容者の棟が2階建てで並んでるという感じですね。

---収容所ですから水谷さんもちろん鉄の柵があるのは収容されている人たちが逃げないようにということですね
そうですおっしゃる通りです。

---基本的に4人部屋で16部屋あるということで、部屋の外にも雑魚寝で定員をはるかに超える収容人数だという。みんなダンボールのようなものを敷いてるのかな。水谷さんこれはどういうことなんですか。この人たちは部屋が与えられていないということなんですか。

僕がビクタンの収容所に通っていたときは、収容者はだいたい100人から150人程度だったんですね。定員がだいたい100人なのでほぼ収容室で収まる感じの状況ではあったんですけれども、ここ最近は中国の方のオンラインカジノで摘発された方が何百人っていうふうに移送されてきてしまったので、収容のキャパシティをオーバーしてしまった人数が今収容されている状態なので、こういう形でなんて屋外というか、一般の収容棟に収まりきらない人たちが、あふれ出てきて雑魚寝しているというような状況だと思われます。

---この図で言うとどの辺りになるんでしょうか?

おそらくですね鉄柵の向こう側が広場になってるんです。A棟とB棟の間ですね、その辺りから向こう側になるんだと思われますね。

---ですからこのあたりに収容された人たちが雑魚寝をしているような状況であるということですよね。雑魚寝をする人もいれば、一方でVIPルームもあるということでこれもちょっと驚いたんですけども、木とトタン屋根でできた10畳以上のスペースに1人から5人程度で生活をしていると。水谷さんが取材されたときにはこれ月額およそ12万円でその時々で相場変動かということなんですね。家賃のようなものがあるということですか。

家賃のようなものというか決まってるわけではないんですけれども、収容施設って言ってもやっぱり環境がちょっと劣悪な状況なんですよね。例えばフィリピンって年間通してすごく気候が温暖なのでやっぱりエアコンがない部屋だととても寝苦しい。普通に収容されているだけでかなり生活がしづらいような状況なので、お金を支払ってエアコン付きの部屋に住まわせてもらうという意味でVIPVIPルームにで生活をしている収容者っていうのは今までも何人かいましたね。ただその相場というか、この家賃みたいなものはおそらくその時々で変動するんじゃないかなっていう風に思うので一定決まってるわけではない。収容者の方から持ちかけるのか、もしくは職員から持ちかけるのか、ちょっとわからないんですが、今、例えば収容所の中で支給される食事が口に合わないということで収容者の方々はその外部から例えばマクドナルドみたいないなものを手に入れることができるんですよね。その場合は職員の方から今日は何にするっていう形で声をかけてきて「じゃあ今日はこれでお願いします」というようなのを例えばそのスマホの写真で見せて外部から手に入れてるっていうようなことは収容者の方が言ってました。

収容者には親族などから金を差し入れ、職員の銀行口座を借りることも

---基本的な話なんですけども、そのマクドナルドを差し入れして買ってきてもらうとか、VIPルームに月12万円で住むとかそういったことはこれ認められていないものですよね。

公には認められていません。もちろんただ内々でというか、収容者がいかに劣悪な環境から快適に過ごすために、職員に便宜を図ってもらう見返りとして、
お金を支払うっていうのはもう昔から続いてきている習慣みたいになってますよね。ちなみにこの収容所だけに限らず刑務所とかでも同じようなことが行われてますね。噂レベルでしかないんですけれども、実際聞いたことはありますし、これまで脱走しようとして捕まったっていうニュースは聞いたことがあります。正直その脱走しようと思えば何とでもタイミングはあるんですよね。例えば収容者の方が裁判所にケースを抱えている手続きで、職員と一緒に行くタイミングのときに逃げようと思えば逃げられないことはないです。要するに収容者が現金を持ってないといけないわけですよね。例えば収容者で日本に親族がいる方が、あるいはその外部の人が例えば面会時にお金を持ってきてくれたりっていうことがまず一つありますよね。面会する人がいない場合、例えば日本の親族が、例えば職員の銀行口座を借りて、そこにお金を送って、職員がその収容者に渡してくれる。でもちょっと抜かれるって言ってましたけど、そういう風ないうな形でお金をもらったりとか、今は携帯でやり取りができるので、多分携帯でお金のやり取りをしてる可能性がありますよね。

---これもちょっと驚きですけど、収容所の外から持ち込み以外に収容所内で稼ぐ人もいる。お好み焼きを焼いて販売していた。これは再三取材されたということなんですよね。

お好み焼きのようなものを焼いてたっていうことで、僕その時は檻の外から、見ておりました。先ほどご説明したその広場のところで日本人の方が鉄板の上で何か焼いてたんですよ。それを収容者に販売するという形でお金を稼いでたっていう人はいましたね。

フィリピンは逃亡犯にとって“逃げやすい国”

---あとはマッサージの施術など収容所の中で稼ぐのも、一つのコミュニティみたいなものが出来上がっているのかもしれません。ではフィリピンに逃亡した人たち、どうしてフィリピンに逃げるのかという話です。
以前はこの地面師事件というのがありました。東京・品川区の大きな旅館の跡地を購入し、大手住宅メーカーに持ちかけて約55億円をだまし取り、2018年にマニラで拘束されました。そして漫画村事件というのもありました。市販の漫画をネットで無料で読めるようにしたということでこの人物も2019年マニラで拘束されている。どうしてこのフィリピンに逃亡するのって話なんですけど。日本から近い、物価が安い、気候が温暖、そして収容されても金があればある程度自由を手に入れることができる。この4つの条件というのがやっぱり非常に好都合がいいということなんでしょうか。

そうですね、やっぱそのあたりの条件ってのはもう昔から日本人の観光客の間でもう常識化してるというようなところで、逃亡犯は元々もう1980年90年ぐらいからフィリピンに結構逃げて、それで逮捕されて強制送還されるっていう報道はもうずっと続いていたので、逃げる側からしてもフィリピンは逃げやすい国なんだなっていうのはある程度予備知識としてもあった上で逃げてくるんじゃないかなというふうに僕は見てますね。

---1980年代フィリピンパブにフィリピン人女性を斡旋するブローカーと日本の裏社会が繋がったというそんな背景もあるということです。 では今回の事件なんですけども、特殊詐欺の疑いで逮捕状4人はいつ日本にということですけども、3人は裁判の手続きが進行中すぐに送還はできない状態ですけども、非常にフィリピン政府も前向きに対応しているという話が現地から最新情報ありました。そして明日裁判所に2人が事情を聞かれる予定だということで渡辺容疑者と小島容疑者ですね。 さらに来週8日水曜日から12日日曜日、フィリピンのマルコス大統領が就任後初めて来日を予定しています。フィリピン政府は何とかそれまでに4人を強制送還したいということで、前向きに動いているということです。
立岩さん、フィリピンから指示をして犯罪を促すというか指示するということでしたけども、この事件に関してどうご覧になってますか。

新しいね、事件だと思いますよ。だから日本の警察も新しい対応を私は求められてると思うし。今回はね、警察庁が本腰を入れてやっぱ刑事局長主体の会議を開いて、これはやっぱ大きなメッセージになったと思うんでね。外交当局がフィリピン政府にものすごい要請をしたと思いますよ。

---そういうことが求められてくるんでしょうね。今までのような単純な犯罪で警察が対応する時代は終わったんだろうなというふうに思います。

2023年02月01日(水)現在の情報です

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