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【解説】「習氏がゼロコロナを言わなくなった」中国・白紙運動に習近平氏の焦り...中国の若者が『デモの力』を知った

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 中国が『ゼロコロナ政策』を緩和しようとしている動きについて、元TBS北京支局特派員の武田一顯氏は「白紙運動で中国の若者がデモで社会を変えられることを知った」と話します。また、竹田氏はデモの中で若者ら市民らから習近平氏と中国共産党退陣を迫る声が上がったことに対し、「習近平氏が衝撃を受けて焦りを感じたのでは」と話しています。12月6日の政治局会議でも習氏が「ゼロコロナと言わなくなった」ということで、ゼロコロナ政策変更を示す兆候がみられるとのこと。(2022年12月7日MBSテレビ「よんチャンTV」より)

謎かけです。「中国のゼロコロナ政策とかけて、しめ鯖と解きます。その心は?」

「どちらも骨抜きとなっております」
ちょっとスベりましたね。つまりここ数日で大転換して、だいぶ骨抜きになってきたなということです。

11月終わりに白い紙を掲げて「習近平辞めろ、共産党は下野しろ」というのをやったもんだから習近平さんもさすがに焦ったんです。10月の党大会で、本当の1強、自分だけが一番偉くて、あとは課長とか部長みたいな組織を作っちゃったわけで、よしこれで、と思ったら大衆から反発が沸き起こった。

そもそもゼロコロナ政策は、中国で1対14億って言われてるんです。賛成してやっているのは習近平さんだけ、残り14億人は、初期はよかったけれど今となってみんな反対してる。なおかつワールドカップを見たら、みんなマスクもしていない。そういう状況でデモが起き、一部では暴徒化したと言われますから、ゼロコロナ政策を、骨抜きじゃないけど少しずつ解除した。

一方で国民、特に若い人や学生は「デモやれば変わるじゃん」と思ってしまった可能性はありますよね。昨日も政治局会議という中国共産党の重要な会議があったんですけども、その中で習近平さんはゼロコロナって言わなくなっちゃった。


「言わないということが重要」です。俺はやめたんだ、って言えないメンツがあります。今までは進めてきてゼロコロナ成功だって言ってたのに、それを急にやめたとはいえないので言わない。『言わないってことは、徐々に解除していいですよ』という意味。だからさっきのしめ鯖理論になるわけです。表面は青魚のままなんだけど、中は1本1本骨を抜いて骨抜きにしていくという状態です。

―――そんな中、重なったのが江沢民元国家主席の死です。追悼を理由に群衆の押さえ込みに成功したとも言われています。

26日~27日にデモが起きました。翌週12月4~5日にどうなるのかっていうのに注目してたわけですが、その間のタイミングで、江沢民氏が亡くなった、そうして追悼式典が行われたんですけども、それまでの1週間は、「みんなうるさくするな、静かにしろ」と言った。中国人のマインドとして、江沢民氏の時代はよかったって思う人が非常に多く、マインドとして騒ぎを起こしたくない、なおかつ騒ぎを起こしては絶対にまかりならんと言って締め付ける言い訳にもなった。習近平さんからすれば、「ある意味いいタイミング」だった。

――7日は全国民に3分間の黙とうを求めたそうですね。

バスも止まって、みんなクラクションを鳴らしているシーンが放送されていました。完全な党と軍と国を挙げての葬儀ということになりましたからその間は、デモも一切何もしない。

―――ゼロコロナ政策の転換で今後どうなるのでしょう。中国の累計死亡者数は、発表だと約5200人ですが、アメリカ並みの死亡率を中国の人口14億人に当てはめてみると、死亡者数は400万人を超える計算になる、とロイター通信は伝えています。

これはあくまで仮定で、オミクロン株は基本的には病毒性が弱く、中国はいろんなメディアを使って「毒性が弱いから、今までとは違うんだ」っていうことを一生懸命喧伝しています。緩めたら死者がここまで伸びるかどうかっていうのは、何とも言えない、やったことないから。ただ400万人とか1日1万人なんていう推計、そこまでは私は行かないんじゃないかなと思います。

―――最近の習氏は「来年は経済を頑張ろう」と話したそうですね。

ゼロコロナを言わない、っていうことだけでみんなが解除してるんです。別に習近平さんが「ゼロコロナはやめたとは一言も言ってないです」。まだ留保してるっていうか、いつかまた広がったら俺はやっぱり正しいんだっていう懸念はあるけれども、世界的な流れから考えて、徐々に骨抜きで緩めていくんじゃないかなというのは楽観的な見通しですね。でも決して言わない。メンツのために今まで何年間も頑張ってやってきたわけですから、それをやめたなんてことはとてもじゃないけど言えない。

緩和とか解除も言わなくて「PCR検査の証明が要らない」しか言わず、緩和とか解除さえも言わない。しかし例えば中国は国内線の飛行機代が先週から3割ぐらい上がったという推計もあり、空港ではどんどん増便しています。そうすると、今度海外への渡航がどうなるか、つまり戻ったときの5日間の隔離ってのはまだ昔と変わってませんから、これがなくならないと往来は増えないですよね。

―――今後の中国はイベントが目白押し。年末から年始にかけて年越し、来年の1月22日は新年の春節です。

そこまでに入国隔離が解ければ日本にワーッと多くの人がやってくる可能性があるわけですよ円安だし。人が大勢集まって移動してのタイミングがあるわけですけども、この時期を迎えてどうなるか。私は専門だから中国から目が離せないです。

2022年12月07日(水)現在の情報です

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