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【台湾統一選で与党惨敗】台湾国民は「抗中」より「親中」...日本のインバウンドに好影響?

2022年11月28日(月)放送

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台湾の地方選挙は与党が惨敗し、蔡英文総統が党首辞任を発表しました。中国との対立を打ちだしている与党でしたが、有権者から支持は得られませんでした。かえって親中とされる野党・国民党を利する形となり、台湾の対中国戦略はこれからどうなるのか。TBS元北京特派員の中国ウォッチャー武田一顯氏は「中国と事を構えるより、経済を選んだ結果」と話します。その影響で日本ではインバウンド客が増えると武田氏。大阪への観光客増への期待もできるとのことです。一方で中国本土ではゼロコロナ政策をめぐって民衆の不満が爆発、上海では異例のデモが起きでいて「天安門事件」以来の民衆の不満爆発との声も。(2022年11月28日MBSテレビ「よんチャンTV」より)

注目の台湾市長 蒋介石氏のひ孫でイケメン?

―――台湾統一地方選は「民進党が惨敗、国民党が躍進」これはなぜ?

経済と生活です、あんまり中国と事を構えたくないということが今回の選挙でね、国民党(ブルー)が勝って民進党(緑)が負けた原因です。

―――台北市長選は蒋万安さん43歳が当選しました。これは一つの大きなポイントになったわけですね。

(武田一顕氏)
台北っていうのは人口が260~270万人います。台湾の総統っていうと「台湾の指導者」みたいですけど、総統は「大統領」って意味です。選挙で選ばれた総統はこれまで4人いるんですがそのうち2人は台北市長がなっているんです。

日本だと、なかなか地方の首長からトップってないですよね。東京都知事なんてのは国会議員の上がりポストみたいになっちゃってます。だけど台湾の場合はそうじゃなくて、台北の市長しかも若手・弁護士・イケメン。

―――蒋氏は、初代総統・蒋介石のひ孫であり、台湾の大学を卒業後、アメリカのペンシルベニア大学に留学、カリフォルニア州の弁護士の資格を持ってらっしゃる。2016年からは台湾の”国会議員”になられたということです。

台湾は中国との距離が、近いわけです。言葉は一緒、元々内戦で負けて逃げてきた人たちが多くを占めてますから、そうすると中国が怖い。あんまり事を構えない方がいいんじゃないかという動きもあって、「独立独立」とあまり傾くと、ちょっとそれはっていうバランス感覚が働く時代です。

(豊田真由子元国会議員)
一つ気をつけなきゃいけないと思うのは、親中と言っても別に統一をして中国に組み込まれましょうという親中ではないわけですよね。あくまでも民進党に比べると穏健で中国と対話しましょうってこと。8割の人は「現状維持がいい」と言ってるので、平和的に台湾を守るためにみんなとうまくやっていこうということだと私は理解しています。

(武田一顕氏)
おっしゃる通りです。新しい市長さんも、例えば選挙は絶対にやらなきゃ駄目、資本主義もずっと。中国みたいなやり方をしようと言ってるんじゃないんです。対話をしようじゃないかと。蔡英文総統なんかは「会話もしたくない、顔も見たくない、話もしたくない」と。蒋万安氏はそうじゃない。怖いからちゃんと対話して変なことをしないよう押さえていこうということです。

(豊田真由子氏)
親米だとも言ってるんです。国民党の朱主席は6月にワシントンで「我々は親中と言われているが、終始親米なんだ」と言っている。親米で親日で、とにかくみんなと事を構えずに、この台湾を守っていきたいと。

―――そして武田さん、この蒋万安さんは「次の次」の総統候補になるんじゃないかということですか。

次の総統選挙は2024年1月です、1年2ヶ月後。台北市長になって1年で投げ出したら、これはやっぱり怒る。台湾の市民がみんな怒るからならない。台湾は「途中投げ出し」を嫌がります。


――豊田さんによりますと「国政選挙の与野党の構図と地方選挙は決してリンクしているわけではない」と。

そうです。日本でも与党は自公だけれども、野党の知事市長は、大阪とか滋賀とか東京とか沖縄とかいっぱいありますよね。何でかっていうと、外交とか国防はちょっと地方政治は関係がなくて、それよりも地域性とか本人の人気とか、経済とか身近な問題で選ばれるので、そこがちぐはぐになることはよくある。

台湾の友人に聞くと、みんなすごくシビアで、まさに中国がそこにある脅威なので、どうやって軍事侵攻もされず統一もされず、地方と国政のバランスを取りながらやっていくかということをみんなすごく選挙大好きで投票率7割とか9割とかあって、もう国の一大事なんです。前も同じように統一地方選で民進党は負けたんだけど2年後の総統選では民進党の蔡英文さんが再選されているので、今回の結果を受けてすぐ国民党に政権交代が起こるってことでは私はないと思っています。

「最高指導者に辞めろ」私は聞いたことがない

―――武田さんは今後中国は台湾に対して「北風と太陽」の太陽路線ではないか、ということですが。

(武田一顕氏)
別に怖い顔することはなく、台北では未来のホープが勝ったわけだから、しばらくは太陽路線で、それより中国は今、国内どうするかっていう方が大変になってきてるから、しばらくは台湾に対して軍事演習とかはしないと思いますね。

―――確かに中国国内では、ゼロコロナ政策を批判する大規模なデモ。「自由が欲しい」が大きなモチベーションになってるわけですよね。

コロナ前までは経済的には自由でしたが、それを今、完全に自由を奪われて監禁状態で100日間家から出られない人がいっぱいいるわけです。死ぬか生きるかって話になるからね。やることないからテレビ見たら、ワールドカップ。でもこの時期に起きたっていうのはワールドカップの影響だと思います。ワールドカップ見て、ちょっと一歩外に出たら誰もマスクなんかしてねえじゃねかと。

(豊田真由子氏)
共産党大会がありましたけども、周主席は「もうしっかり押さえ込んで」っていう感じだったじゃないですか。私も本当に天安門事件以来の動きだと思っていてやっぱりロシアと違うのは、やっぱりものすごく経済も発展して情報も入ってくるわけですよ。みんな教育水準も高くなって、自由とか人権って人間の根本の欲望だから、一番大事な部分をやっぱり押さえ込めなくなっている。この先どうするのかっていうのは日本も含めてものすごく影響が出てくるんじゃないかなと思います。

―――「デモは年内が山場ではないか」というのが武田さんの見立て。

デモは冬になるとでも起きないです、寒いから。天安門事件っていうのは2回あって。いろんな反日デモとか、私も何度も取材行きましたけども、大体デモは秋か春です。中国共産党にしてみれば、寒くなるまでが勝負。北京はマイナス20度まで下がりますから、マイナス20度じゃデモできない。

「ゼロコロナを継続」すると市民の不満はたまり、「ゼロコロナを解除」すると党内の求心力が低下する。習近平氏は非常に難しいところに立たされています。デモをほっとくわけにいかないから、どこまで広がるかっていうのは最大注目点。「習近平辞めろ」「最高指導者に辞めろ」なんてのは私は聞いたことがない。異常事態が今起きた。

―――連行された人って、今後どうなるんでしょう。

法律で拘束されて、ちょっと1.5倍ぐらい厳しい刑にされて、ちゃんと服役すれば出てきます。でもそうなってもいいと思うぐらい、もう住民の不安と不満が溜まっている状態だと言えます。

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