MBS(毎日放送)

『集落みんなで同じお墓に入ろう』みんなで墓じまいを決断...少子高齢化の集落で住職が提案した「新しいお墓の形」

編集部セレクト

SHARE
X
Facebook
LINE

9月20日は彼岸の入り。少子高齢化が進む京都府郊外の集落では、各世帯で“墓じまい”をして『みんなで同じお墓に入ろう』という取り組みが進んでいるといいます。それぞれの家族でお墓を守っていくことが難しくなっている中での新しいお墓の形を取材しました。

京都府中部にある南丹市園部町の口司地区。住民の大半が60歳以上です。この地区のほとんどが檀家だという曹洞宗佛名寺の住職・森屋徹全さん(58)は、10年ほど前から頭を悩ませていました。

(曹洞宗佛名寺 森屋徹全住職)
「跡継ぎがいないとか、娘がいるけれどもみんな嫁いでいるということで、今後お墓を守るということに不安を持っているというご相談を多くいただいてきました」

そこで森屋住職が発案したのが『合祀塔』です。寺の裏に建つのは複数の家族が一緒に入るお墓である合祀塔。希望する家が墓じまいをして合祀塔に納骨する、という新しい取り組みを、住職は1年かけて檀家全員に説明して建立しました。

(森屋住職)
「(お墓を)掃除をしていくということにしてもなかなか人が減ってくると難しい。次の子ども達にもできるだけ守りやすい形を作って次に送っていくのがいいのではないかということで、最終的には皆さんに賛同いただいたということになります」

寺の運営を維持するためもあり、檀家だけではなく、地域や宗派を問わず納骨可能です。

(森屋住職)
「家が何々家と記名プレートをはめこんでいただく。うちの檀家さんはほとんど西田さん。ご存命の方であれば赤文字で文字を彫らせていただいている」

お墓の維持の難しさは全国的に顕在化していて、厚生労働省の調査(衛生行政報告例)によりますと、墓じまいを含む遺骨を別の場所に移す「改葬」は10年前に比べて1.6倍以上になっています。

地区にある集落の一つである下口司集落の住民は22世帯全てが墓じまいして合祀塔に入ることを決めました。
20220921haka-000246634.jpg
住民の西田早苗さん(78)は、15年前に夫が亡くなり、去年には義理の母親も亡くなりました。娘2人は結婚して家を出ていて、1人でお墓を守るのは大変だったといいます。

(西田早苗さん)
「美しいところやし、考えて合祀塔は作られていますので、大変良かったと思います」

集落全員で墓じまいすることになった下口司集落。森屋住職はこうした取り組みで身寄りのない無縁墓が少しでも減ればと考えています。

(森屋住職)
「このような形で残っていくようなお墓がこれから多く見受けられていくのではないかな思います。今の段階で将来のことを考えた上で墓じまいとか、そういうことを立ち止まって考えていく時期に来ているのではないかなと思います」

2022年09月22日(木)現在の情報です

今、あなたにオススメ

最近の記事

【大阪みやげの新定番】たこ焼き×サクサクパイの意外な組み合わせで大ヒット 花がモチーフの「大人かわいい」商品は地道な活動とSNSが追い風に みやげ店内での"場所取り"にもヒミツ

2025/12/06

ワイン造りに情熱捧げる滋賀のブドウ農家 目指すは地元食材を生かした料理と一緒に楽しむワイン いずれは世界へ...初めて挑んだ醸造のゆくえは?

2025/12/05

【カツめし】創業60年 親子2代ドライブイン洋食 京都・八幡「レストラン百花園」

2025/12/04

ひたすら試してランキング『あったか靴下』下着美容研究家と冷え性が悩みだというギャル曽根が選ぶ "しあわせなはき心地" 老舗のこだわりがつまった注目の1足とは?【MBSサタプラ】

2025/12/03

"勤務中は8時間以上トイレ行けない"重度障がい者の就労阻む壁「ヘルパーを利用しにくい」 国の支援事業導入の自治体は全体の「5%未満」...背景に予算不足や事業の認知不足

2025/12/03

大阪湾の"海の三重奏"が全国に! 「日本を元気にする魚の祭典」Fish-1グランプリで『魚庭の海づくり丼』が堂々の審査員特別賞受賞!

2025/12/03

お笑いコンビ「カベポスター」阿倍野警察署などで一日署長 年末に向け交通事故や特殊詐欺への注意呼びかけ

2025/12/01

【進化する文具】デジタル時代なのに『手帳』が人気! 「絵で記録」「新聞の見出し」で手帳を"育てる"ってどういうこと? 梅田ロフト文具担当オススメ最新文具とは

2025/11/30

SHARE
X(旧Twitter)
Facebook