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コロナの疑問「『迷惑かけてごめん』と泣く陽性の娘にどう声をかけてあげれば?」「親子でのストレス発散をどうすれば?」精神科医が解説

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2月9日の毎日放送『よんチャンTV』では、新型コロナウイルスに関する視聴者から寄せられた「コロナ禍の心のケア」に関する質問について、精神科医の伊藤英樹医師に答えていただきました。

【視聴者からのメッセージ】
産休中で出産間近です。息子の保育園で陽性が出てから家庭保育をお願いされています。子どもと1日中家にこもって過ごす期間が3週間以上続き、お互いストレスからなのか、子どもはかんしゃくを起こすことが増えて、私も憂うつな気持ちになることが増えました。子育て世代の人たちの心のフォローが必要だと感じています。

(大吉洋平アナウンサー)
「3週間以上続く家庭保育で親子共々ストレスをどう発散すればよいのかということですが、どう思われますか?」
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(伊藤英樹医師)
「お母さんは電話でもオンラインでも、人と繋がることで乗り越えることが大事だと思います。お母さんが妊婦さんであるということは、これから出産間近、さらにマタニティブルーや産後うつになる可能性もあるということですね。一番大事なのはご主人、ご主人がいなければ、両親、それから友達、ママ友、妊婦さん友達、そういう人たちと一緒に繋がり、情報交換をすること。自分の辛さをお互いに全部吐露することです。そうすることで心に余裕が出てきます。やはり子どもは親を見ていますから、親がイライラしたり心がひどくなってしまうと、子どもがどんどんしんどくなっちゃいますので。そういう悪循環、そこを断つにはやっぱり人と繋がることです」

「若い世代ほどうつ病の可能性ある人の割合が高い傾向」

(大吉洋平アナウンサー)
「伊藤医師が中心となって行った、2020年6月の調査では、年代別に見たうつ病の可能性がある人の割合は20代で65%ということで、若い人の割合が非常に高いのがわかります。ここから読み解けることはどんなことでしょうか?」

(伊藤英樹医師)
「若い世代で割合が高く出ている要因の1つとして、経験値があります。人は『レジリエンス』と言って、耐える力というのを持っています。人生経験が少ない若い人にとってみたらとんでもないことが起こったわけですよね。学校も行けない、何もできない、外に出るなと言われる。病気にうつるのも怖いと。病気そのものと、それから病気における環境変化によるもの、社会全体が、それなりの雰囲気になってしまい、我々も非常に生活しづらくなってしまう。『みんなが寛容な精神を持つということ、みんなで乗り越えるんだ』という気持ちが特にメンタルにおいてはとても大事ですよね」

【視聴者からのメッセージ】
今、小学生の娘が陽性反応を受け、家族も濃厚接触者となり隔離中です。娘は陽性とわかった瞬間泣いてしまいました。『みんなに迷惑をかけてごめん』と何回も泣いていました。コロナ禍では子どものメンタルケアも本当に大切だと実感しています。

(大吉洋平アナウンサー)
「コロナ陽性になって泣く小学生の娘さんですが、先生、なんて声をかけてあげたらいいのでしょうか?」
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(伊藤英樹医師)
「『あなたが無事でいることが何より、コロナはそもそもうつるものなんだよ』と声をかけてあげてください。感染症ですからね、うつるときはうつります。社会全体で、あの人がうつったとか、あそこの会社がうつったとか、そういう風潮自体が一番良くないことです。お母さんとしてみたら、『無事でいてくれてそれでいいよ』ということを子どもに言えばいいし、子どもがそんなことを感じる必要はないわけですからね。それと怖いのは体調が悪くなっても子どもがその状況を言い出せないことです。そして病気が治っても、周りばかりを気にしてしまって、性格が変容してしまうことです。そっちの方が遥かに怖いですよね。みんなでうつらなくしようね、守り合おうねって思うことがとても大事なことだと考えます」

【視聴者からのメッセージ】
小学校低学年の息子が陽性で自宅療養中、担任から『みんなにはおうちの都合でお休みしたと伝えている。コロナで休んだと言わないように』と言われた。そんなに秘密にしないといけないのか?精神的に負担になっています。隠し事やウソがいけないことだと学ぶ年頃なのに」

(大吉アナウンサー)
「学校の方針も色々あると思うんですけれども、子どもに保護者の立場としては何と言ったらいいのか、どうでしょうか?」
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(伊藤英樹医師)
「『ウソをつくのは良くない。でも、先生も悩んでいるんだと思うよ』と言ってあげてください。うちのクリニックの外来には幼稚園、小学校や中学校など色々な先生がね、うつになって来られます。現に来られる方は、みんな真面目で誠実で陽気でいい先生なんですよ。そういう先生が自己の責任感や長時間労働などでうつになってしまう。先生たちが子どもを守ろうとして、『子どもがとてもかわいそうだ』と、先生も悩んで悩んで職員会議も紛糾して出た結果がこの学校の結果だと思うんですよね。子どもがウソをつくのをいいなんて教える学校はないし、教えたいなんて誰も思っていない。でもそれを言わざるを得ない環境、恐怖状態がですね、先生に言わせているわけなので、そのことを子どもにも理解させる、そう考えたらいいと思います」

2022年02月10日(木)現在の情報です

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