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丸飲みできる!?カツカレー「家族と同じメニューが食べたい」介護現場の声をきっかけに開発

2022年01月24日(月)放送

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介護の現場では、年齢や病気のため、かむ力や飲み込む力が低下した人には「刻み食」や「ミキサー食」を提供するのが一般的です。そんな中、「形あるものを食べたい」「みんなと同じものを食べたい」といった声をきっかけに、特別なメニューを開発したNPO法人があります。毎日放送の大吉洋平アナウンサーが取材しました。

見た目や味はそのまま!「丸飲み?カツカレー」

大吉アナウンサーが訪れたのは、京都府宇治市の『カフェぐりぐり』。介護施設を運営する「NPO法人おはな」が立ち上げたカフェです。「おはな」の森田浩史理事長に話を聞きました。
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(大吉アナ)「こちらのお店ではどういったものを提供されていらっしゃるんですか?」
(森田さん)「『丸飲み?カツカレー』というものを提供しています」
(大吉アナ)「カツカレーを丸飲み?どういうことだろう。カツはしっかり噛まないと食べられないじゃないですか。それが丸飲み?」
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聞いたこともない「丸飲み?カツカレー」とは一体どのようなものなのでしょうか。まずは試食させていただきました。見た目は普通のカツカレーと変わりません。
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(大吉アナウンサー)
「うわっ、スプーンを入れただけで肩ロースのカツが切れましたよ。(食べるのも)全く歯がいりませんでした。上あごに押し当てるだけで肉が溶けていくというか。本当にやわらかいマッシュドポテトがですね、喉の奥に流し込まれていくような感じ。不思議。お肉を『丸飲み』しています」
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はしで力を入れなくても切れるロースカツ。形が崩れないやわらかさに仕上げながらも、味はそのままです。

考案のきっかけは『みんなと同じものを食べたい』という現場の声

「丸飲み?カツカレー」を考案したのは、「NPO法人おはな」の理事長・森田さんです。年齢や病気のため、かむ力や飲み込む力が低下した人には、「刻み食」や「ミキサー食」を提供するのが一般的でした。しかし、「形あるものを食べたい」という介護現場の声をきっかけに、森田さんは「丸飲み?カツカレー」を開発したと話します。

(NPO法人・おはな 森田浩史理事長)
「同じ食卓でも、自分はミキサー、ほかの家族は普通のものを食べているというのは仕方がないんですけども、悲しいというか。糖尿があって、脳梗塞を繰り返して飲み込みが悪くて、『みんなと同じものを食べたい』と言って怒る男性の方がおられて、その方といろいろやりとりしながら、その方にも納得してもらえる食事をチームでつくっていった」
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カフェを訪れたお客さんは「丸飲み?カツカレー」を食べて次のように話しました。

(カフェに訪れた人・60代)
「歯がなくても大丈夫そうな感じ。歯茎で食べられそうな。自分の母も祖母も姑も、全部介護してきたんですけど、やっぱり一番は『食事をどのようにして提供できるかな』と思っていたので、もっと早くにこれが開発されていたらどんなに喜んで食べたかなと思いますね」

食材が溶けていくようなやわらかさ…その調理方法とは?

溶けていくような「丸飲み?カレー」。調理方法の秘密はどのようなものなのでしょうか。

(森田さん)「普通の豚肉なんですけども、『デリカッター』を使います。刃が細かくたくさんあるものです」
(大吉アナ)「剣山のようにたくさんの刃がついていますね」
(森田さん)「これを豚肉に押し当てます」
(大吉アナ)「たくさんの穴が豚肉に空きました」
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(森田さん)「たくさん穴が開いたところに、『酵素剤』といいまして、タンパク質を分解するものがあるんですけれども、これに漬け込む」
(大吉アナ)「介護の現場では一般的なものなんですか?」
(森田さん)「(介護)施設や病院とかだとよく使われているんですけれども、最近では在宅介護でも使われています。個人でも購入できるので」
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酵素剤に20時間漬けた豚肉を袋の上から触ってみると、とてもやわらかくなっていました。

(大吉アナウンサー)
「めちゃくちゃやわらかい。普段料理するんですよ。普通の肩ロースの感じで言うと全然違う。なんか、ふにゃふにゃ。肉の張りというものが消えているというか。全然違いますね」
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やわらかくなった豚肉を油で揚げて、もう一度「デリカッター」で穴を空けてから、トンカツを特殊な高圧調理器「デリソフター」に入れて30分。蓋を開けると「丸飲み?トンカツ」の完成です。
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同じ圧力調理器でつくったブロッコリーやにんじんも試食させていただきました。
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(大吉アナウンサー)
「やわらかいです。うわー、もはやクリーム。ブロッコリーがよくこの形状を維持できていたなと思うくらいやわらかい。見た目はちゃんとブロッコリーなんですが、口に入れたらもはやクリームですよ」
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この圧力調理器「デリソフター」は、パナソニックの社内ビジネスコンテストから生まれた製品で、きっかけは開発者の家族が食べ物を飲み込めなくなった経験でした。森田さんも開発に協力。さまざまな食材でやわらかさを試して現場の声を届けました。

(NPO法人おはな 森田浩史理事長)
「(調理器は)自宅でも使えるものなので、カフェで一度試したり食べてみたりして、『じゃあ自宅でやってみよう』と思ってもらえると広がっていく。そうなればいいなと思っています」

見た目はそのまま「やわらかメニュー」。森田さんは今後、豚の生姜焼きやキノコ料理などの新メニューにチャレンジしたいと話しています。

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